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イシュト大陸物語  作者: 明星
老齢の鍛冶師
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第25話

「お、見えてきたな。あれがアレティアの町だ」

街道に沿って流れていた川は大きく左に曲がり川幅を広めている。

その川の両側には町。町は川に架かる大きな橋によって繋がっていた。

「鉱石を製錬する際に大量の水が必要らしくてね、ああやって川から製錬場へと水を引いてるんだとさ」


街道は川の東側の町へと繋がっていた。そこから更に延びる街道は砂漠の町、カーディフに繋がっている。

アレティアのかなり手前でファングには一旦荷馬車を降りてもらった。


「やぁいらっしゃい。君達はどこから来たんだい?」

町の入り口に辿り着くと、そこに立つ男がのんびりとした口調で聞いてきた。

「王都から来ました。途中でひどい嵐に遭いましたが、こちらに被害はありませんでしたか?」

馬を操るディーンが答える。

「それは災難だったね。この町も嵐のせいで一時期は大変な騒ぎだったよ。何せ川の増水で町を繋ぐ橋が壊れてしまったからね」

増えた川の水が運んできた倒木が重なり、町を繋ぐ橋の真ん中が破壊されたという。

「ある程度は修理されたんだけど今も重いものは渡れないから、諦めて帰ろうとする商人で道は混むし、怒り出す商人や泣き出す商人までいて、昨日までまるでここは納期の迫った製錬場のような慌ただしさだったよ」

今はもう落ち着いているから、ゆっくりしていってくれ、そう言うと男は荷馬車を町の中へと進めさせた。


町の入り口から川に架かる橋まで一本の通りになっている。その両脇には宿屋や商店などの施設が並んでおり、その奧には民家がひしめき合っていた。

「まずは宿だね」

通りに並ぶ宿屋から適当な一軒を選ぶ。

部屋を取り荷物を運んでもらい、宿屋の主人にアレティアのことを尋ねた。

鉱山組合は橋のこちら側に、冒険者組合は橋のあちら側にあると言う。現在橋を荷馬車で渡ることはできないため冒険者組合に行く時には歩いていかなければならない。

ひとまず石の調査を依頼するためアッシュ達は鉱山組合へ向かうことにした。

「それじゃあ俺は宿でゆっくりさせてもらうよ」

そう言って寝転がるマーヴィンを残して宿を出る。

日の傾きかけたこの時間、北から吹く風に肌寒さを覚える。

気が付けば遠いところまで来たものだと、アッシュは思った。

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