第7話
「人の成長はとても早い。そして人は困難な状況を乗り越えた時に最大限に成長します。私はあなた方に期待しています、参加して頂ける気持ちになればいつでもお越し下さい」
そう言ってレジエスは3人を見送った。
「期待してもらえるのは嬉しいけどね、あたしはあんな目に遭うのは二度とごめんだよ」
「それには俺も同感だ」
全く歯が立たず、仲間を守ることができなかった。
自分も、そしてファングも、あの時殺されなかったのは理由の分からない奇跡だと思っている。
「俺の目的は赤い竜だ。蜥蜴じゃない」
荷馬車に戻ると相変わらずファングは体を丸めて眠っていた。道行く人達は特にファングを意識するでもなく歩いている。
「ここまで安心しているようなら、ファングにとって王都は危険な場所じゃなさそうだね」
ディーンは優しく、寝ているファングの背中を撫でた。
「宿を探しながらで構わない、鍛冶屋を見つけたら止めてくれ」
ニコルに押し込まれた黒い剣によって、アッシュの盾は表面の鉄板はおろか土台の木の部分まで切り込まれていた。このまま使っていてはいつ盾が二つに折れてしまうか分からない。アレティアに向かう前に修理をしておきたかった。
「うん、わかった。それならヴェラの知り合いを訪ねるのは明日にした方がいいかな」
「もともと不規則な生活をしている人だからね。訪ねる時間は気にしなくてもいいよ。でもまぁ、ゆっくり話を聞くなら明日にした方がいいだろうね」
ディーンは馬を歩かせ鍛冶屋を探す。しかし目立つ鍛冶屋は王都に集まった冒険者達によって既にどこも手一杯だった。
断られた鍛冶屋に別の鍛冶屋を教えてもらい、そうしていくつかの鍛冶屋を訪れ、断られることを繰り返すうちにアッシュ達は少しずつ人気のない通りへ入っていった。
民家に囲まれ寂れた商店が点在する通りを進む。古い外観の宿を見つけ、少し進んだ先にこれまた寂れた鍛冶屋を見つけた。




