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イシュト大陸物語  作者: 明星
啼泣
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第28話

何も解決策を思い付かないまま日が暮れる。

情報のなさから、場合によってはニコルも共に王都まで連れていきそこで調べればいいのではないかという意見も出たのだが、何にしても今すぐどうにかできるような話ではなかった。


「今日あんなことがあったばかりですので、僕とヴェラが部屋の前で交代で見張りをします」

「わかりました。よろしくお願いします」

弱々しく答えニコルは店の奥へと入っていった。

「リオちゃんも部屋に戻りな」

ヴェラの言葉にリオは首を横に振る。

「ニコルさんの嫌な姿を見ることになるかもしれませんよ?」

ディーンの言葉にも、リオの反応は同じだった。

「今夜また暴走したら、俺はニコルさんの腕を切り落とすことになるかもしれない。それでもですか?」

アッシュの言葉にも強く反抗する。

「私は今までニコルさんに助けてもらってばかりでした。だから私は、ニコルさんを見守りたいって思うんです。何もできないですけど、それでも、見守りたいんです」

「わかった。でも何があってもリオさんは店の中で待機していてください。何か聞こえても勝手に動かないように」

アッシュの言葉に頷いたリオは台へ向かい、椅子に座ると帳簿をつけ始めた。

「あんたはどうするんだい?」

ヴェラに聞かれ、アッシュはファングと一緒に外で待機すると言って店から出ていった。

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