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イシュト大陸物語  作者: 明星
啼泣
124/408

第19話

残された三人は思い思いに周辺を調べた。

しかし、ダンの言うように小動物を襲った正体に繋がるものは何もなかった。

「そうなると、やはり」

ニコルが顎に手を当て考え込む。

「お二人についてきて頂いたのは僕の考えを聞いてほしかったからです」

覚悟を決めたようにニコルは二人を見据える。

「先程宿屋で言い掛けていたことですね?」

「はい。今までもずっと、そうなんじゃないかと悩んできましたが、あまりにも現実離れしていることでしたので、誰にも相談できませんでした」

意を決したニコルは言う、この度々起こる動物の虐殺、それをやったのは自分なんじゃないかと。


行商人が来るようになり、村に十分な量の物資が揃うと近隣の住民がカフ村に移ってくるようになり、もともと小さな村だったカフ村は新しい村人を受け入れる為に森を切り開くことを余儀なくされた。

当初ダンを始め、森で生計を立てる者達によって森の開拓は反対されたが、幾度もの話し合いの結果、開拓後も十分な狩場を用意するということで合意に至った。

今まで狩場とされていた場所は切り開かれ平地に変わった。そこから更に奥、今まで狩人達も立ち入らなかった森の奥を新しい狩場とした為に開拓を推進してきた村人達により探索が行われた。

人の手が入っていない森の中は確かに多くの獲物を孕んでいたが、同時に何匹もの魔物の姿が確認されることとなる。

意気揚々と森の中を進んでいた村人達も、魔物相手には逃げ腰となり、ダン達との約束を反故にする者も現れ始めた。

これに怒ったダン達は、その責任を発端となったニコルへ押し付ける。暗にリオを人質にとるような発言に、ニコルは単身森の中へ入り魔物を討伐することを余儀なくされた。


「お一人で、ですか」

「はい、幸い生息していた魔物は小型のものでしたので何とかなりました」

「それはすごいことですね」

普通の村人にいきなり魔物と戦えと言っても、そう簡単に戦えるものではない。ましてや複数いる魔物を討伐するなど容易なことではないのだ。

「いえ、実のところどうやったのか記憶にないんです」

単身森に入ったニコルは恐怖で足が進まなかったという。

「村の人を恨みましたよ」

と笑いながら言ったこの言葉は、恐らく本心なのだろう。

それでも森をさ迷うちに魔物の集団を見つけてしまった。見つけたからには倒すしかなかった。

お守りとしている首飾りを強く握りしめ、魔物の集団に襲いかかった時、ニコルの記憶はそこでプツリと途絶えた。

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