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イシュト大陸物語  作者: 明星
啼泣
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第6話

「そろそろ行商人が来るんじゃないかって季節でね。僕とアッシュとカティナは村の外れの草原で毎日、これで最後かもって話をしながら遊んでたんだ」

「あの時間がずっと続けばよかったのにな」

不意にアッシュが口を開く。

「あの頃もそう言ってたね」

「そうだったか?」

「うん、そろそろ行商人が来そうだっていう話を聞いてから、アッシュは毎日そう言ってたよ」

アッシュはその事を覚えていない。しかし今の気持ちが昔と変わっていないのだと思うと、アッシュは少しの恥ずかしさと同時に嬉しさも感じた。


ここからは俺が話す、とアッシュが続けた。

「いつものように三人で遊んでた時だった、あいつは本当に、突然に空から現れたんだ」

名前を呼ばれアッシュが振り返ると、手に草の冠を持ったカティナが笑顔でそれを差し出していた。

その直後、空から熱い風を感じた一瞬のあと、カティナの体は竜に噛み千切られていた。

アッシュは言葉を詰まらせ、すまない、と深く息を吐き出して話を続けた。

「竜はそのまま飛び立つと口からカティナの体を吐き出して村に向かって飛んだ。そして、全てを焼き付くしたんだ」

家も人も、何一つ残さず、赤い竜は全てを焼き付くした。

「あんたも見たのかい?」

ヴェラがディーンに尋ねる。

「僕はその時、遊び疲れて寝てしまってたんだよ。だからアッシュに起こされた時にはもう村は燃えてた」

燃えている村を見て、ディーンすぐに村に向かった。その為カティナが赤い竜に殺されたと知ったのは、全てが終わった後だった。

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