第2話
「仲間外れだなんて、そんなつもりはないよ」
ディーンが慌てて訂正する。
「そりゃああたしはあんた達とは知り合ったばっかだけどさ、それでもいろいろと感謝してるんだ。あんた達が何か困ったときには力になるからさ」
遠慮なく言いなよ、そう言うとヴェラは視線を落とし、またファングの頭を撫で始めた。
「王都で人を紹介してくれるんだろ?それだけで十分だ」
アッシュの言葉にヴェラが顔をあげ、ため息をつく。
「そうじゃなくてさ」
とヴェラは頭を掻きながら続ける。
「あたしもあんた達の仲間にしてほしいって言ってるの。恥ずかしいから言わすんじゃないよ、おバカ」
そう言ってヴェラはアッシュとディーンから目を逸らした。
「俺はもう仲間だと思っているんだが」
とアッシュがディーンを見ると、ディーンはそうだね、と呟いて微笑む。
「ヴェラ、僕達はとっくに君のことを仲間だと思ってるよ。じゃないとあんな危険な目にあってまで石の調査を受けようなんてしないよ」
ディーンの言葉を受け、ヴェラは改めて二人を見た。
「そうかい?ならお願いなんだけどさ、あんた達のこと、教えてくれないかい?あんた達の村で何が起こったのか、そのカティナって子に何があったのかをさ」
興味本意で知りたいわけじゃないよ、とヴェラは続ける。
「あんた達が竜を追いかけるって言うならあたしはそれに協力したい。だからこそ、知りたいんだ」
「どうしてそこまで?」
竜のことは本来ヴェラには関係のないことだ。にも拘らずここまで言ってくれる理由が分からない。
「詳しい話は王都で聞けるから今は簡単に説明するけどね、あたしはその石と竜には何らかの繋がりがあると思うんだよ」
「この石と竜が?」
そう言ってアッシュは石をまじまじと見つめた。
「ああ、大昔に人間が北の竜を討伐したのは、その竜が魔物の親玉だって話だったからさ。魔物と竜に関係があるのなら、死骸と似た黒い液体を生み出すその石だって、何か関係があるかもしれないだろ?だからあたしは知りたい」
そう言ってヴェラは真っ直ぐ2人を見つめる。
「ディーン、頼めるか?」
少しの沈黙のあとアッシュが口を開いた。
「いいけど、僕は全てを見たわけじゃないから」
「ああ、最後は俺が話す」
分かったよ、とディーンは頷き、十年前の赤い竜の凶行へと繋がる話をし始めた。




