いろは唄をお嬢様の耳元で囁きながら、彼女の自由を奪ってみた単元
『色は匂へど 散りぬるを』
「むせ返るような艶を振りまく美しい花々でも、いつかは散っていくものなのです」
先生が私の耳元で囁きながら、私の胸元を露わにしていく。
『我が世誰そ常ならむ』
「いつまでも同じままでいられるなんて、ありえないのですよ」
先生が私の身体をベッドにやさしく横たえる。
『有為の奥山 今日越えて』
「だからこそ、人は目の前の有象無象を乗り越えていこうとするのですよ。例えば貴女が育む愛もそうなのでしょうね」
先生の指が私の髪をやさしく梳いていく
『浅き夢見じ 酔ひもせず』
「酔ってもいないのに、夢みたいな世界に浸かってなんていられない。そんな貴女の気持ちもわかります」
先生がその優しい表情を、そっと私に近づける。
「だからといって、飲み過ぎなんですよこの馬鹿娘! 吐くまで飲むなんて、どこのバカタレサークル員なんですか! みっともない姿をネットにアップされたらどうするんですか!」
先生の罵倒を耳に、私は眠りに落ちていく。十二単の私を罵倒しながら一枚ずつ脱がせていく先生を夢見ながら。