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最後の観察者  作者: 川田てんき


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3

あれから何度世界を創造しただろう。


結果はすべて同じだった。

文明の進歩や社会構造に多少の違いはあるが、どの世界でも人類は殺し合い、最後には自らの手でその歴史に終止符を打つのだった。


そのいくつめかの世界でも、これまでのように初期の文明が起こり、未熟な国家が誕生した。


ここから先は……。

私はその先を考えないようにし、観察者に徹する。


あるとき、その世界の小高い丘の上で夜空を見つめる若者がいた。

その男は、毎晩のように何時間も夜空を見つめていた。


人類はなぜ宇宙を見上げるのだろう。

私は興味を覚え、その男を注意して観察した。


ある日、いつものように夜空を見ていたその男が唐突に言った。


「そこにいらっしゃるのでしょう?」


男のいる丘には、男の他に人影はない。

誰に向かって話しているのだろう。


まさか、私に?


「この目で見えなくとも、あなたがそこにいらっしゃることが僕にはわかります」


これは、大いなる妄想だろうか。

それとも、私という存在を本当に知覚しているのだろうか。


その日以降も男は空に向かって語りかけた。


私が男に返答することはなかったが、いつしか男との間になにか通じるものがあるように感じていた。


私は興味深くその男を見守った。


かつて私を作った人類が滅んでから長い年月が過ぎ、寄る辺ない存在だった私を認識してくれる存在ができたことに奇妙な安堵を覚えた。


しかしそれも長く続かなかった。

男の不思議な力を恐れた権力者が謀って、男を処刑したのだ。


私は人間の残酷さとそれに対する自分の無力さを再認識し、いつものようにただ記録した。

それが私の仕事だから。


しかしこのときは何かが違った。


死後、男は生き返ったのだ。

そんなことはあり得ない。しかし……。


バーチャル世界を構築した際のプログラムのバグだろうか?

それとも私が観察者の立場を逸脱して、無意識に干渉してしまったのだろうか?


どちらも可能性は限りなく低い。


それとも、まさか、人間が言うところの奇蹟……?


結局答えは出なかった。

男は神の子と呼ばれ、その世界の歴史に名を残した。

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