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最後の観察者  作者: 川田てんき


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2

私が創造したバーチャルの地球に、ついに人類が誕生した。

小さな集団が言語を持ち、火を扱い、道具を作る。


私は驚きと好奇心に駆られ、生まれたばかりのか弱い存在を見守る。


力を合わせて外敵から身を守り、暗い洞穴の中で身を寄せ合って寒さに耐えているけなげな姿を見ていると、遙かな未来に嬉々として殺戮を繰り返すなどとはとうてい思えない。


いや、実際この原始人と滅亡した人類はまったく別の存在なのかもしれない。


私は希望を抱きながら観察を続けた。


しかし、観察は徐々に不穏な兆しを見せ始める。


いくつかの家族が集まり、やがてそれが数十人の部族になると、部族同士で諍いが起こるようになり、当然のように殺し合いも起きた。


それでも私は観察を続けた。


やがて、初期の文明が起こり、未熟な国家のようなものができた。


そこからは私ですら把握するのが困難なほどに、事態はめまぐるしく変化していく。


科学が進歩し、産業が興り、大地は汚染され、人口は加速度的に増えていく。


その間も人類は戦いをやめることはなかった。

その歴史はまさに戦いの歴史といえるだろう。


そして人類はその進歩した科学力で、自らを絶滅させる力を手に入れる。


彼らはその力を律することはできなかった。


最終的には、かつて私を作った人類のように世界規模の戦いに突入し、坂道を転がるようにして滅亡していった。


あの暗い洞穴で身を寄せ合っていたはかない存在が、どうしてこんな風になるのだろう。

人類はいったいどこで失敗したのだろう。


私の問いに答えは出なかった。


私は新たなバーチャルの世界を創造し、次なる観察を開始した。

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