第八話「受付と宿屋」
『ファーミラ王国』
丘の上にある王城がシンボルの国
その国のとある一画にて、とある二人組がヒソヒソと静かに行動していた。
「アルディ、これ本当に大丈夫か...?」
「大丈夫......うん、多分......」
「不安になるなぁ...言い方が...!」
勇者と魔王の二人は街に入り込み、変装魔王によって姿を変えていた。
勇者は元々、金髪に翡翠の瞳だったのだが現在は、黒髪黒目になっており
魔王は銀髪の長髪で紅目だったのが、茶髪の短髪で青色の瞳となっていた。
顔立ち自体は変わっていないが、髪色と瞳の色が変わるだけで印象が大きく変わって一目じゃ分からないようになっていた。
「大会の受付をしたら良いんだよね」
「そうだ。それと、冒険者ギルドにも登録しておこう、これから便利になるだろうしな」
「あ、それなら僕が勇者として登録済み...」
「目立たない。だろう?別のモノが必要だろう。私も作ったことはあるが随分昔だからな」
「あ、そうか...」
冒険者ギルドにて、登録をして貰うことのできる『冒険者カード』身分証として使うことができるが、死ぬ者も多く、割と簡単に作ることができる身分証なのだ。
しかし、簡単に作れてしまう分、ランクの低い冒険者カードの信頼度は低い。
「先に大会の受付だな」
「よし、行こうアルディ」
そうして、二人は周囲の視線を避けるようにコソコソと大会会場のある場所に向かっていく。大会のある場所の名前が『武闘大会コロッセオ、バトロイド』と呼ばれるところだ。
会場に着き、受付場所に行く。
会場前はすでに多くの観客や出場者で賑わっていた。二人は人混みを抜け、受付へと向かう。受付のところには女性が立っており、所謂、受付嬢がいた。そこへ行く二人。
「初めての大会出場でよろしいでしょうか?」
「あぁ、私とコイツ...ヴェスティ二人とも初めてだ」
「かしこまりました。では、初めての方にはこちらの契約書にサインをお願いします」
「うむ」
契約書には、長文書かれているが要約すると『死んでも責任は取りません』と書いてあった。それを読んだ二人はあっさりとサインをし提出した。
「...確かに、確認いたしました。大会は毎週日曜日に行われています。ですので、今回の大会は二日後になります。それまで選手の方は自由に過ごしていただいて大丈夫です」
「あぁ、分かった。ありがとうな」
「ありがとうございました!」
「いえ、お気をつけください」
受付嬢の笑顔を見て少しだけ照れる勇者ヴェスタリア。そのヴェスタリアの首根っこを掴み歩いていく魔王アルディーナ。
「ちょちょちょ、なにするんだよ!」
「デレデレしよって、みっともない。営業スマイルというのを知らんのか」
「知ってるよ!?けど、綺麗な人だったから少しくらい良いじゃないか!」
「はぁ...まったく、猿と変わらんぞそんなのは」
「ぐぬぬ...」
二人が言い合いをしながら向かっている場所は宿屋。大会は二日後のため、二日間は王国観光をすることにした二人。
観光する間泊まる宿は王国内で五本の指に入るほど評価の高い宿だが、冒険者のみが泊まれる宿なのだ。
「ほら、いつまでもイジケてないで、宿の受付を済ませるぞ」
「分かってますよ〜」
「まったく...すいません、二人です」
二人で宿の受付に行き話しをする。受付の女性は二人の顔を見て頬を赤らめる。無理もなく、二人は整った顔立ちなのだから。
「は、はい!お二人ですね!えっと...二人で十ゴールドになります!」
「おぉ、意外とするな...よし、これでピッタリだな」
「はい!た、たしかにちょうどいただきました!」
受付嬢との会話を終わらせて部屋に向かう二人。部屋の大きさは広いわけではなく、キングサイズのような大きいベッド一つと小さな机が置いてある程度の、恋人用みたいな部屋であった。二人もそれに気付いたのか
「......コレって恋人用の......」
「静かに......」
こうなっていた。
ただ、どうすることもできないので二人で仲良く寝て過ごし、次の日の観光に向け英気を養うのであった。




