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勇者と魔王の遊戯〜責務から逃げた勇者と魔王の旅ーしかし、その旅は世界の運命を変える始まりであった〜  作者: 大乃正生
王国編

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第三十九話「実践」


アレックの年齢を聞き、驚いていたが気を持ち直し空島へと向かう。


「アリーラピールって、どんな所なんだ?」


アレックは落ち着きなく、ヴェスタリアとアルディーナの周りを飛び跳ねるようにしながら聞いている。


「ん~…空島ラピリアのおかげで潤っている町…と言っても分かんないよな」


「分かんねぇ!!」


ヴェスタリアの言葉に、元気よく笑顔で返事する。

あまりの潔さに、ヴェスタリアもアルディーナも苦笑いしている。


「潤ってる…濡れてんのか!?」


「違う違う!」


アレックの驚いた様子に笑いながら否定をする。


「ん~、まぁ、町自体は王国とそんなに変わらないよ」


唇を突き出し、「なんだよ、つまんねぇの」と言いながら小石を蹴るアレック。


そんな会話をしながら歩いていたのだが…。


「なぁ、まだつかないのか?」


「まだだよ」


「まだか?」


「まだまだだよ」


「なぁ…」


「まだだって!」


アレックは質問攻めにしながら歩いていたが、子どもにはただただ歩いている時間に感じているのだろう。


つまらないらしい。


「ねぇ~」


アレックの声が響く。


「…仕方ない。いきなりだが、実践を積んでみるか?」


「!!…戦いを教えてくれんのか!?」


「あぁ」


アルディーナが、アレックへと話す。


「細々と、何かをやるよりも、いきなり戦うのがいいのさ」


「な、なるほど…」


アレックはアルディーナの言葉に、感心している。

しかし、ヴェスタリアは心配そうにしている。


「なにするんだ!?ヴェスティかアルディが、戦ってくれるのか!?」


「いいや、違う」


「え?…じゃあ、誰と戦うんだ?」


「アイツらさ」


アルディーナが指さした先には、二匹のゴブリンがいた。


「な、なんか強そうだぞ…?」


「いざとなれば助けるさ」


アルディーナの言葉にホッとしているアレック。


ヴェスタリアは変わらず心配そうだ。


「やってみろ」


アルディーナの一言に顔を引き締め、ゴブリンたちの前に姿を現す。


「ぐぎぎ!」

「ぎゃ!」


二匹のゴブリンだ。


ナイフを手に持ったアレックは、ゴブリンに突っ込む。


「ぐぎゃ!」


「ガハッ!?」


ゴブリンの持っているこん棒でお腹を殴られ、吹っ飛ぶアレック。


「ぎゃぎゃ!」


吹っ飛んだアレックへと、もう一匹のゴブリンが近付く。


「ふぐぅ……ッ!」


アレックは痛みにより、蹲り動けないでいる。


「ぎゃぎゃ!」


蹲ったアレックへと、ゴブリンはこん棒を振り下ろそうとするが…。


「ぎゃ!?」


こん棒が吹き飛ぶ。アルディーナの援護である。

魔法を、正確にこん棒に当てたのだ。


「…大丈夫だ。しっかり援護はする」


ヴェスタリアは、ゴブリン二体を消し飛ばそうとしていた。

それをアルディーナは見抜いていたので、ヴェスタリアが動くより先に援護をしたのだ。


「…ッ!」


アレックは起き上がり、ゴブリンの首元にナイフを突き立てる。


しかしーー。

〈ガキンッ!!〉と硬い音を立て、ナイフの刃が真ん中から折れた。


「なッ!?」


アレックは、驚きの声を上げるが即座に切り替える。


「アルディ!!ヴェスティ!!!」


助けを呼んだのだ。


悲痛な声を上げるが、アルディーナは助けない。

ヴェスタリアは助けたそうにしているが、助けない。


まだアレックは戦える、と二人は考えている。


先ほどのゴブリンの首元にナイフで切り付けた動きが良かったからこそ、見守っている。


「…ふ、ぐぅ…!」


ナイフが折れて使い物にならなくなったことに、泣きそうになっているアレックだが、二人が助けてくれないと分かると構えなおす。


折れたナイフを握り締め、構える。


「ぐぎゃぎゃ!」


知能はないはずなのに、どこか馬鹿にするような笑みを浮かべるゴブリンたち。


「う、おおぉぉッ!!」


雄叫びを上げ、ゴブリンに突っ込むが簡単に躱される。


「ガッ!?」


そして、顔をこん棒で殴り飛ばされる。


その光景を見たヴェスタリアが、口を開く。


「……もう限界だ。助けるぞ」


「…あぁ」


ヴェスタリアの言葉に、アルディーナは静かに頷く。


「大丈夫…じゃ、ないよな。治癒魔法かけるから」


「……ッ……ヴェスティ~~!!!」


アレックは恐怖から涙と鼻水を流し、ヴェスタリアに抱きつく。


「怖かったよな、もう大丈夫だから」


「えぐッ……ひっぐ……ゴブリンは……?」


「もう、倒してある」


あまりの速さに、アレックは気付けなかったのだ。


「やっぱり強い~~~!!」


大泣きしながらも、興奮してヴェスタリアに抱きついていた。


「…アレック」


「……なんだよ、アルディ」


援護をしてくれていたことに気付かなかったアレックは、助けてくれなかったアルディーナを睨んでいた。


「戦い慣れしていたが…どこかで、戦っていたのか?」


「…アルディには言わねぇ」


下唇を突き出し、拗ねた様子のアレック。


「じゃあ、僕には教えてくれる?」


「…ヴェスティはダメ」


アレックのわがままには、ヴェスタリアもアルディーナも苦笑いをするしかない。


「…そろそろ、行くか?」


「ヴェスティがおんぶしてって」


アレックは甘えん坊のようになっていた。


ヴェスタリアは、困ったように笑いながらもアレックをおんぶする。


「じゃあ、行こうか」


「…今度からは、すぐ助けろよ」


「それじゃあ、修行にならないだろ」


アルディーナがアレックに言うが、アレックは〈キッッ!〉とアルディーナを睨む。


「知らない!次からは、ヴェスティに修行をつけてもらう!」


アレックの声が響き渡る。


アレックの文句を聞きながら、道を進んでいく。


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