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勇者と魔王の遊戯  作者: 大乃正生
王国編
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第二十一話 「大金と食事処」


ギルドの奥へと進む、ヴェスタリアとアルディーナ。いつもなら騒がしいフランが静かに前を歩いているのを不気味に感じ、何があったのだろうか。と心配している二人。


ギルドは王城に比べれば、小さく見えるが、実際にはギルドの方が大きく作られている。外観だけを見れば、王城の方が大きい上に、絢爛さだけを見れば王城の足元にも及ばない。


しかし、ギルドの中は魔法が掛けられており実際の外観よりも広いのである。

人類を始めとした、建物の中で暮らしている生物は、建物の中を広くさせる魔法を使っているのだが、皆ができる訳ではない。


家を建てるのはもちろん、魔法を掛けるのにもお金が掛かってしまうため、どちらにしてもお金に余裕がある者たちだけができることなのであった。


閑話休題


かなり長い、奥へと続く廊下を歩くヴェスタリアとアルディーナ、それからフラン。

無言で歩いているのも、そろそろ苦痛に感じるほど歩いたところで漸く部屋へと着く。


「...こんな奥の部屋へと連れてきて...何かあったのか?」


怪訝な視線をフランへと向けるアルディーナ。ヴェスタリアもアルディーナの半歩後ろで、困惑した表情でフランを見ていた。

そんな二人の視線を受け、フランは微笑みながら座ることを促す。


「ちょっとね、向こうじゃダメなの♡」


一体何があったのか。アルディーナとヴェスタリアは考え込むが答えが出る前に、対面に座ったフランが口を開いた。


「二人の討伐してくれたゴブリンの亡骸だけどね、かなり状態が良いの♡」


「つまり...?」


「ゴブリン一体につき、金貨一枚になるから、合計の金貨が三十枚になるんだけど、嵩張るなら大金貨三枚でも良いわよ♡」


「いや...は、え?...痛っ!」


フランの言葉を聞き、結論を急がせていたヴェスタリアだが、ゴブリンの討伐金額を聞き戸惑いの声を出しながら、後ろに倒れていき、頭を打っていた。

日本円に換算すれば、三千万円。かなりの大金だ。


そんな大金を前に、ヴェスタリアは「何かの間違いでは」と戸惑っていたのだが、アルディーナは流石は魔王と言うべきか「意外と多いな」という淡白な感想で終わっていた。


嵩張るなんて事はない、と言い金貨三十枚を麻袋の財布に入れジャラジャラと音を鳴らしお金持ちになった気分を味わうヴェスタリア。鼻が若干高くなっているように見える。


お金が集まり、ホクホクと言った具合の二人にフランは提案をする。


「こんなに強いのなら、二日後、つまり明後日に開催される武闘大会、それに出たらどうかしら?」


「『コロッセオ・バトロイド』で行われるやつですか?」


「そう!それよ!優勝賞金はなんと白金貨が一枚よ!はぁ〜んっ、夢が広がるわぁっ♡」


「...既に登録してます」


「あら、そうだったの?♡」


白金貨。日本円に換算すると一億円。とんでもない額であるのが分かる。

元々、賞金額を知っていたヴェスタリアとアルディーナ、だからこそ大きな反応をせず、交戦的な笑みを浮かべていた。


二人の交戦的な笑みを見たフランは身震いしそうになりつつも、笑顔で話し出す。


「...二人なら優勝しちゃいそうね♡相手を殺しちゃダメよ?♡」


フランの言葉を聞き、ヴェスタリアは「殺しませんよ!」と早めにツッコんでいたが、アルディーナは「相手の態度次第だな」とニヤリと笑い、冗談を言っていた。


その冗談に、ヴェスタリアは苦笑いしていたのだが、フランは「その悪い男って感じ、さいこう〜!♡」とクルクル周り、テンションが上がりに上がっていた。


フランを置いて、ヴェスタリアとアルディーナは部屋から出て、受付のあるギルドのエントランスまで戻ってきていた。


「うぅ〜む、まだ依頼をすべきか否か...」


「王国で、情報収集の方がいいんじゃないかな?」


「...ふむ、それもすべきことだな」


「今は、四時位、かな...だから、あんまり時間ないし、情報収集は明日かな」


「うむ、そうしよう」


二人はこれからの方針を固めつつ、ギルドから出て食事処に向かっていく。

節約をするヴェスタリアだが、これほどの大金が入ったのだから、と言う思いからたまには贅沢も良いか、と思い

王国内でもそれなりに値段の張るご飯屋へ入って行く。


店のスタッフに案内され、席に座りメニューを開いたと同時に


「は?」


と、困惑気味の言葉が漏れるヴェスタリア。それもそのはずで、前世は普通の高校生。今世でも田舎の村で生まれ育ち、勇者となり世界を旅する時でも節約に節約を重ねていたヴェスタリア。


メニューに書かれている食事の値段は、最低価格が銀貨から、中には大銀貨級の物すら存在している。


日本円に換算すると

最低価格が一万円からであり、中には十万円のものすらある状況。

小市民なヴェスタリアは震える瞳をアルディーナに向けるが、アルディーナは「案外、リーズナブルだな」と呟いており、その言葉を聞いたヴェスタリアは顔を真っ青にしていた。


「お、おぉぉいっ...!!アルディ...ッ!銀貨以外の物を頼むなよぉ...ッ!」


小声で叫ぶと言う、器用なことをするヴェスタリア。それに対してアルディーナはどこ吹く風、と言った様子で「気にするな」と言った具合。


店から出た時、アルディーナは満足そうだが、ヴェスタリアは頭を抱えていたそうな。


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