第十七話 「初報酬で買い物」
ヴェスタリアとアルディーナの二人合わせて〈銀貨二枚〉という報酬。日本円換算で二千円。大した買い物ができないと思われるが、冒険者ギルドと提携しているお店だと回復薬などが割安で購入できる。
そのため、ヴェスタリアとアルディーナの二人は冒険者ギルド提携店に向かう。そのお店は冒険者ギルドのすぐ横にあり、店を間違えると言うことはない。
「ここだな。入るぞ、ヴェスティ」
「......買う必要ある......?」
ヴェスタリアの疑問を聞かずにズンズンと店に入るアルディーナ。普段は冷静なアルディーナだが、異世界”らしい”モノを見たりするとテンションが爆上がりして子どもの様になってしまうアルディーナ。
そんなアルディーナに異世界をある程度受け入れているヴェスタリアは、苦笑いしながら後を追って店に入る。
「おぉ、これはポーションか!......やはり、青色なんだな」
「まぁね。...まぁ、原理は分かってないらしいけど」
「ん?どう言うことだ?」
「ポーションの原材料は全て”緑色の薬草”なのに調合すると青色になる原理が職人も解明してないって。〈研国、ガガラルド〉で研究中らしい」
「ふーん...」
ヴェスタリアの説明に、素っ気ない反応を見せるアルディーナ。そんなアルディーナに「興味ゼロかよ...」と肩を落とすヴェスタリア。
そんな二人に、店員が近付いてきて話し始める。
「お客様!ポーションを買われるのですか?このお店は提携店ですので、定価の半額で購入が可能なのですよっ」
金髪で後頭部で一括りにした髪型、所謂ポニーテールの美少女の〈マリー〉が満面の笑みでセールストークを始める。
「ほう、半額か...幾らなのだ?」
「はいっ!コチラのポーションは”上級”ポーションなので、定価の大銀貨一枚のところ、なんと銀貨五枚ですよっ」
興奮したように話し始めたマリーは、両手を胸の前で祈るような形にして、マシンガントークを始めた。しかし、その可愛さには目もくれず手に持っていたポーションの価格にひっくり返りそうになるアルディーナ。
自分たちの初報酬では到底手の届かない価格なため、まだまだ買えないなとそっと棚に戻す。勿論、勇者の元々の所持金と魔王の所持金を合わせれば買えるのだが、今回は初報酬で購入したいと考えていたアルディーナ。
棚に商品を戻したアルディーナを見たマリーは、「駆け出しの冒険者か」と瞬時に理解し別の商品を渡す。
「コチラは下級ポーションでして、かなりお買い得ですよ!コチラの定価は銀貨一枚なのですが、ここでは半額の青銅貨五枚ですよ!」
両手をパーにして、「青銅貨五枚!」と何度も言っているマリー。安いがどれ程の効果かも分からないため悩んでいるアルディーナ。意外と庶民派な魔王なのである。
「店員さん、このポーション一つください」
見かねたヴェスタリアが下級ポーションを購入し、お店を後にしようとするが、アルディーナは「まだ見るぞ!」と駄々を捏ねる子どものようになっていた。
今度はその光景を苦笑いして見ているマリー。普段は頼りになるアルディーナだが、特定の場面はダメダメだな...と、内心で考えているヴェスタリアであった。




