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勇者と魔王の遊戯  作者: 大乃正生
王国編
14/16

第十四話 「初めての依頼」

ヴェスタリアに引っ張られながら、目的地である森の付近までやってきたアルディーナ。既に心は穏やかになっており、引っ張られなくても良いのだが、童心に帰ったようで楽しく、そのままされるがままにされていた。


「いい加減、静かにして歩いてよ!アルディ!子どもじゃないんだから!」


「...分かった」


「うわぁ!?急に冷静になるなよ!」


どこかで見たやりとりをしながら、森の中に行く二人。森は王国の街から見える範囲ではあるが、森が広く、大きいため、遠近感が掴めないが王国から歩いて一時間はかかる位置にある。


「...あ、これが薬草かな」


「ふむ、そうだな。これもじゃないか?」


側から見ると、新人冒険者が薬草集めをしているようにしか見えないが実際は〈勇者と魔王が森の入り口辺りでしゃがみ込み、肩を並べて新人冒険者がするような薬草集め〉をしている状態だ。かなり、おかしな光景である。


二人は元来、真面目な性質のため黙々と薬草集めを行う。時折、依頼外の薬草なども集めつつ二人の袋を満タンにする。


「こんなモノでいいんじゃないかな、アルディの袋もパンパンだし」


「うむ。帰るか」


二人が話しているその時、近くの草むらが〈ガサガサ〉と音を立てる。音を立てる前から二人は既にその草むらに視線を向けており、何が飛び出してきても大丈夫なように構えている。


本当の新人ならば音が鳴ってから振り向くところを気配を察知してから注視していた。草むらから出てきたのはスライム。一般モンスターであり、一番村人たちにとって被害を出しているモンスターだ。


「...スライムか」


ヴェスタリアが呟いた後、適量の魔力を掌に集め放つ。スライムはその魔力弾に当たり消滅する。アルディーナはスライムに向かって手を合わせていた。


「...あ、ごめん...アルディ...魔物...」


「いや、良いんだ。私たち魔族、魔物だって人間を”襲っていた”時がある。殺るか、殺られるか。それは、どちらも同じだからな」


アルディーナの言葉に一安心するヴェスタリア。こうして、仲良くなり転生者仲間だと知ったとしても魔王であることに変わりはない。そのため、ここでこの関係が終わってしまうのではないか、と。焦っていた。


「...ふっ、そう心配そうな顔をするな。私にとってはニュースを見ている感覚だ」


「ニュース...?」


「あぁ、前世で見ていたニュース。遠いどこかで誰かが死んだと聞いても、悲しむ気持ちはあれどすぐに忘れるだろう?それに近い感覚だ。...流石に、身近な者が殺されれば取り乱すだろうがな」


その言葉に、理解するヴェスタリア。自分だってその気持ちを持った時がある。前世のニュースではなくこの世界に来て、遠くの村が壊滅した。と、聞きその村に向かった時などに悲しみもあったが、すぐに立ち直ったりしていた。


だからこそ、アルディーナの言葉に理解をし、納得をした。二人は薬草がパンパンに入った袋を持ち、帰り支度をする。


「それじゃあ、帰るか。ヴェスティ」


アルディーナの言葉に「あぁ」と短く返し、快活に笑う。先程までの暗い雰囲気を吹き飛ばすように。そして、帰り道にて


「おぉ!こんなところに!」


「?...どうしたんだ、アルディ?」


「コレコレ!」


そう言って拾ったものは、掌サイズよりも小さい緑色のボールみたいな見た目のもの。


「なにそれ?」


「む、知らぬのか?...これは、”マリモジュース”だ。...まぁ、勝手に私が命名したのだが」


「ま、マリモジュース...?」


「まぁまぁ、飲んでみろ」


そう言って、ヴェスタリアの顎を持ち上げ上を向かせる。所謂、顎クイをする。

そして、口元で緑の丸いボールをギュッと握り潰すと、中から緑色の液体が溢れ出る。


「!?うまっ!?」


「だろう?...たまに、見かけるんだ。...”食の国、グルマル”を知っているか?あそこで、知ってから好物なんだ」


「あそこか...行ったことないんだよなぁ...」


「そこも行こう。今は私たちは自由なんだからな」


「...あぁ!」


アルディーナも緑のジュースを飲みながら、王国に向かって歩いていく。

二人はこれから先の旅に心を躍らせていた。


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