第十話 「組合と姉御」
独特で奇抜な服を購入したアルディーナ。対して、旅人然とした服装の上から青色の生地に金色の線が二本だけの模様。背中真ん中あたりのフード付きマントを着ているヴェスタリア。青色のマントは勇者の時に手に入れたアイテムで、認識阻害の魔法が付与されていた。
そんな二人は、側から見れば〈一人は特徴のない普通な人。もう一人は攻めた服装をしている〉という逆に目立ってしまっているようになってしまっていた。
しかし、二人の感覚がズレているのか完璧に変装できていると、二人とも思い込んでいた。
「ふむ、服装は完璧だが...次はどこに行くか...」
「うーん...王国は栄えてはいるけど、目新しいモノはないからなぁ...」
「あ、冒険者ギルドに登録しに行こう。すっかり忘れていた」
アルディーナが冒険者ギルドへの登録を提案して、二人で向かっていく。
ファーミラ王国は、王国の中心に王城があり王城から円状に街が作られていた。
その中で、中心からそれなりに離れた場所であり王国の出口の近くに冒険者ギルドは存在していた。二人は特に気負う様子もなく入っていき、受付に行く。
「僕とこの人の二人を登録お願いします。」
「はぁい」
「ちょ、ちょ、ちょっと!ヴェスティ!!こっちに...!」
「うわっ!」
アルディーナに腕を引っ張られ、受付から少し離れた二人。ヴェスタリアはどうしたのだろうかとアルディーナの目を見ていた。
「受付嬢か...?アレが?」
「??...そうですけど」
「異世界のギルドの受付嬢と言えば美少女だろ...!?なんで、あんなゴッツイオカマなんだよ...!?」
「あぁ...まぁ、そういうものだって受け入れてたから...」
「確かに、私が失礼なのも分かっているが...異世界の夢が!」
魔王アルディーナが狼狽えるのも仕方ないのかもしれない。受付嬢である人は百八十は超えるであろう身長にムッキムキの肉体を持った女装した大男なのであった。
「多分、アレじゃないかな。新人潰しとかのために...」
「だとしても...」
「ねぇ、お二人さん♡どうしたの?」
低い声で二人に話しかけながら近付く受付嬢。
「あ、いや...すまない。気になることがあったのでな。ヴェスティに聞いていたんだ」
「あら♡私に言ってくだされば良いのに♡」
そう言いながらアルディーナの右頬から顎を軽く触れて妖艶に微笑む受付嬢。
受付嬢が二人と話している時にギルド内から声が飛んでくる。
「おい!フラン姉さんを困らせんな!」
「そうだ!姉御を困らせんじゃねぇぞ!」
見た目は完全なる世紀末のような、モヒカンやスキンヘッドの柄の悪い男どもが口を揃えて受付嬢の〈フラン〉を庇っていた。
「す、すげぇ人気...」
「そうだな...」
あまりの人気ぶりに二人は戸惑っていた。
アルディーナの心は〈美少女なら分かるが...〉となっており、ヴェスタリアは〈こんな荒くれ者が慕うのか...〉と。
戸惑っている理由は違ったが、二人揃って目を点にしていた。
「それじゃあ、実力を見るわ♡こっちにいらっしゃい」
そういい、立派な背中を見せながら歩いていくフラン。因みに、フランの服装は膝辺りまである黒色のブーツに股下三十センチほどの物凄く短い短パン。そして、ノースリーブのシャツであり、全てパツパツであった。髪型はおさげである。
「ヴェスティ、分かっていると思うが本気は出すなよ」
「分かってるよ。アルディこそ」
二人はそれぞれに小言を言いながら、ギルドの中庭に向かって行った。




