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勇者と魔王の遊戯  作者: 大乃正生
プロローグ
1/16

第一話「テロと転生」


ビルが立ち並ぶ都会、東京・渋谷。

そのスクランブル交差点を呆然とした様子で、サラリーマンに手を引かれている青年がいる。青年はされるがままに手を引っ張られて着いていく。


青年の目には涙が見え、その青年を必死に励ましているサラリーマン。

大丈夫だ。助かる。どうにかなる。

希望的観測にしか聞こえないが、それでも何も言わないよりはマシだろうと、サラリーマンは考え声に出し続ける。

それは、自分自身にも言い聞かせているようにも聞こえる。



地面には鞄や靴が転がり、火薬の臭いがする。

なぜ、こんな所にいるのか。


銃弾が飛び、それに当たり亡くなる人。血が吹き出し倒れる人

なぜ、こんな事になったのか


泣き叫ぶ人を含め、叫び声や銃声が鳴り響いている。

なぜ、こんなにもうるさいのか。


頭の中で様々な疑問が

青年の頭の中で湯水のように湧いてくる。



時を遡る事、数時間前――。


三重県の北部

地方都市にある、少しばかり古めかしい感じの一軒家。


『トンネル効果、神隠し、未知なる現象に未知との遭遇!――――このように様々な理由のもと、この世界がゲームの世界である。と、言わせていただきます!...信じるか信じないかは...君次第だ!』


『おいおい!ゲームな訳ないやないか!そんな事を言うてるから変な宗教団体が現れるんとちゃうか!?』


『今さん!それは言っちゃダメですよ!』


『アカンのかいな!?』


テレビから聞こえてくる都市伝説系番組からの話や笑い声。それらは現代に限らず

昔から言われていた事を使った、面白話の様なモノ。番組名は『やりまくり都市伝説』


「......世界がゲームって...そんな訳ないやん」


そんな事を言いながら苦笑いしているのは

青華蒼月、高校2年生。17歳。

夏休み中だ。


「蒼月や、そろそろ行かないと間に合わないんじゃないか?」


「...あ、ホントや。東京かぁ...めんどくさい......」


蒼月は大学のオープンキャンパスに行く為に夜行バスを利用し、東京に向かおうとしていた。大学のオープンキャンパスに行くのに早いって事はないだろうと、蒼月は思い、高校2年生ながら参加を決めた。


「我が家は代々、何かと巻き込まれる体質らしいから、気をつけるんじゃぞ」


「...分かっとるよ、じいちゃん。昨日だって、変なヤツらの争いに巻き込まれたし...悪魔がどーのこーの、天使がなんとかかんとか、悪霊があーだこーだって言ってて...一体、どんな宗教なんや...」


苦笑いしながら話す。

先日も、厨二病なのか、宗教なのか

何か分からない事を言っていた者達の争いに巻き込まれていた蒼月。

その際、これ以上巻き込まれない様にと必死に逃げた為、その人らがどうなったかは蒼月は知らない。


「とにかく、巻き込まれやすいんじゃから気を付けるんじゃぞ」


「うん、ありがとう」


「東京なんて、物騒じゃからな」


「大丈夫やって。いくら巻き込まれやすい言うても、漫画の主人公とかじゃないんやから」


自分が巻き込まれ体質な事を棚に上げて、巻き込まれる訳がないと高をくくり談笑を続ける。


「蒼月、行くんか?」


「...あ、ばあちゃん。うん、行くよ」


「気を付けるんじゃよ、我が家は...」


「分かったってば!」


苦笑いしながらも、心配してくれている事に嬉しく思っている蒼月。

微笑ましい祖父母と孫のやりとり。


「うむ、ワシの若い頃は...巻き込まれ体質が幸いして、女の子百人に好かれてたからの」


「......それ、百回くらい聞いたよ...」


「...じいさんや、私も聞いた事あるよ。......一万回は聞いたね。.........全く、ホラ吹きもココまで来るとダメだね」


果たして、お爺さんの言っている事は

単なる見栄張りなのか、それとも本当なのか、誰も分からない。

けれど、お爺さんも巻き込まれやすい家系なのならば、何かあったのは間違いない。


「...じゃ、行ってくるね。じいちゃん、ばあちゃん」


「あぁ、いってらっしゃい」

「気を付けるんじゃよ」


蒼月は2人の言葉に分かったよ。と、軽く返しながら扉を開き外に出る。

時刻は9時を少し過ぎた辺りで街灯はあるが少し暗く、田んぼからはカエルの鳴き声が少し聞こえる。


そんな、田舎道を自転車で最寄駅まで走り電車に乗り込み街の方へ向かう。

街中のバスターミナルにて、少しばかり待ち、夜行バスに乗り込み

大学のオープンキャンパスの為に東京に向かう。


東京までは時間が掛かる為、スマホを使い

大学についてや、東京の観光地を調べている蒼月。

その中で、気になる記事を見つける。


「...運命教......」


ボソッと、声に出しつつ

記事を読んでいく。記事には、最近活発化してきている宗教団体の事が書かれている。

読んでいる記事には、今まで宗教団体が行ってきた事件について書かれていた。


色々な場所を爆破したり、銃を乱射したりと様々なテロ行為をしている。

それらを読み、恐怖しつつもしっかりと情報を頭に入れる。


そうこうしていると、東京に着く。

時刻は朝の6時。オープンキャンパスまではまだまだ時間がある上、お腹も空いた為朝ご飯を食べる為にバスターミナルを離れ、朝食を求めて移動を開始する。


(お腹空いた...)


心の中で、お腹が空いたと呟きながら

カフェを探す。

そして、スクランブル交差点にて信号待ちをしていた時の事。

いきなり、大きな音が鳴り響く。


蒼月を含め、信号待ちしていた人たちが困惑した様な声を上げる。

何が起きたのか、何の音だったのか

誰も状況が分かっていない。そんな中で悲鳴が聞こえ始める。


皆が悲鳴の聞こえる方向を向くと

マシンガンの様な物を持ち、乱射している集団がいる。

銃を乱射しているのは一人ではなく、何人もいる。そして、その人たちは同じマントを身につけ一様に目が据わっている。


最近、世間を騒がせている運命教

その宗教団体のテロ行為がスクランブル交差点にて起こった。

その事に気付き始めた人たちはパニックになり逃げ惑う。


そんな中で、逃げようと思っても

初めて実感する命の危機。

足が動かず、呆然としてしまう蒼月。

そんな彼の元へ、サラリーマンがやってくる。


「君!早く逃げるぞ!!」


渋谷のスクランブル交差点を

呆然とした様子で、サラリーマンに手を引かれる蒼月。蒼月はされるがままの様に引きずられている。

蒼月は呆然としている中で、妙に周りが鮮明に見え、サラリーマンの首に名札が掛かっているのが見えた。

そこには〈石土之 仁〉と書かれていた。


珍しい苗字だな。と、場違いな事を考えつつ走っていく。しかし、徐々に事態をしっかりと認識していく。


周りを見てみれば

地面には鞄や靴が転がり、火薬の臭いがする。銃弾が飛び、それに当たり亡くなる人。血が吹き出して倒れる人、泣き叫ぶ人。辺りは、叫び声や銃声が鳴り響き混沌とした状態。そんな街中にて


何も考えずに走るべきなのかもしれない。そう思いながらも、様々な疑問が頭の中に湧き出てくる。どうすれば助かるのか

どうすれば他の人を助けられるのか

なぜ、自分は助けられないのか

なぜ、自分は手を引かれているだけなのか

なぜ、なぜ、なぜ...頭の中で様々な疑問が

蒼月の頭の中で湯水のように湧いてくる。


本来、怖がりな性格の蒼月。

悲鳴を上げそうになるが、手を引いてくれている大人の存在。その存在のおかげで取り乱さずに踏みとどまれている。


「っ...」


負傷者や死者が増えていき、地面に人が倒れている為に足を引っ掛けて転びそうになり小さな声を漏らした蒼月の所へ銃弾が飛んでくる。


「ぐぁっ...!」


「!...くそっ」


蒼月の腹部に銃弾が当たり、血が吹き出す。

今まで感じたことのない痛み、熱さ、体から血が出続ける感覚。様々な感覚が蒼月の体中を駆け巡る。

痛さを含め、今の状況も色々な事を含め泣き叫びたい。そんな風に思いつつも、目には涙を溜め、唇を噛み我慢をする。


蒼月が倒れる前に肩を貸す仁、涙目になっている蒼月を見てどうにも出来ない歯痒さを感じつつも、励ます事はやめない。


「大丈夫だからな!」


自身も早く逃げたいと思っている筈なのに、自身の事だけでなく周りの人も助けようとする仁。そんな仁にこんな状況でも尊敬の念を抱く。必死に声を掛けつつ、蒼月の肩を持ち逃げようとする。

しかし、仁にも銃弾が飛んできて当たってしまう。


「うぐぅ...!......にげるんだ...はやく......」


お腹に銃弾が当たり、その場に倒れ込む仁。彼は銃が当たった後、蒼月の背を力強く押す


「...早く、逃げるんだ......!」


その言葉を最後に先程まで助けてくれようとしていた仁が倒れ込み、動かなくなった。どうにか助けようとするが血を流し過ぎたのか、力が入らない。


(なんで...この人は......見ず知らずの僕を...)


助けてくれた人の事を考えるが

そんな事を考えている暇はないと考えを切り替えて助けようと更に力を込めようとした時、近くで爆発が起き吹き飛ばされる。


(...あの人は......)


自分を助けようとしてくれていた人の事を考えるがそのまま意識を失ってしまう。







――


(......ここ、は...)


真っ暗な世界。右も左も上も下も

何もかもが黒く、何も分からない状態。

そんな所に青華蒼月はいた。

その世界は温かく、居心地が良く、懐かしい感覚になる。けれど、何故だか分からないがすぐにでもそこから飛び出したい欲求に駆られてしまう。


そんな時、いきなり

どこかに吸い込まれる様な感覚が蒼月を襲う。どうしようもなく、ただ、されるがままにその波に体を持っていかれる。

次の瞬間、眩い光が目に飛び込んできて

周りの音が聞こえてくる。


「元気な男の子ですよ!」


「おぎゃあ!おぎゃあ!」


そんな、女性の声が聞こえてくる。

言っている意味は理解できたが、何が起こっているのか、どう言う意味なのかが理解できず、声を出そうとしたのだが

泣く事しか出来ず、困惑。


困惑していたが徐々に周りがはっきりと見えてきてどう言う状況か理解をする。


(......コレって...転生...ってやつ...?......まさか、ね...?)


青華蒼月はテロに巻き込まれて死亡し

転生したのであるーー。


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