六話 デート?
天羽 春海と名乗った彼女は、とても可愛い生物だった。
「秋也さん、ここの喫茶店はオムライスが美味しいんですよ!」
「へぇ、なら僕はそれを頼もうかな…。」
彼女の行きつけだと言う喫茶店に来ていた僕らは、腹ごしらえのために注文をした。
注文を終えた僕らは、適当に会話を交わした。
会話をしている中で、彼女が同じ学校に通っていて、一個下であることを知った。
「嬉しい偶然ですね!」
嬉しそうにそう言う彼女に、僕も同意した。
僕は初めて、こんなにも楽しい時間を過ごせていると実感しつつ、彼女が楽しそうに話すのを聞き続けるのだった。
ーーー
「……お兄ちゃん、秋さん大丈夫かな?」
「さぁ?…まぁ、アイツは顔が良いから大丈夫だろ。」
「…お兄ちゃんさぁ…、だからモテないんだよ。」
「なんでだよ?!」
突然馬鹿にされた俺は、思わず声を出してしまった。
「?」
俺と妹は頭を下げ、春海がこちらを見たので隠れた。
春海が目線を外したことをカメラで確認すると、再び楽しそうに話している二人のことを監視し始める。
「…お前、なんで俺がモテないって言えるんだよ?」
監視しながら、俺は妹に聞いた。
妹は軽くため息を漏らすと、「そういうところ」と言ってきた。
わけが分からなかったが、二人が席を立つのを見た。
「行くよ、お兄ちゃん。」
そう言われた俺は、慌てて残っていた食べ物をかき込む。
急いで店を出た俺たちは、再びアイツを追った。
次に行った場所は、区の図書館だった。
「…図書館?」
「ま、まぁ、デートで図書館ってのも良い…よね。」
二人は相変わらず楽しそうに笑っている。
図書館へ入っていった事を見た俺たちも、それに続いて図書館へ入った。
二人は何かを探しているようで、どうやら図鑑コーナーへと足を運んだ。
「図鑑か…、魚とかな?」
「恐竜かもよ?」
俺たちも図鑑のコーナーが見える位置で、監視をしながら近くにあった本を手に取った。
「…そういや、なんで俺らアイツら追いかけてんの?」
「お兄ちゃんか始めたんでしょ…。」
呆れられながらそう言われた。
実は最初の方からずっと監視をしていた俺たちは、最初は普通にコンビニへ向かっていただけだったが、たまたま二人を見かけたため、俺たちは追跡を開始したのだった。
図書館に入ってから約二時間ほどだったが、特に動きがなかったため、俺と妹はもう少し近づこうと思い、図鑑コーナーをチラッと覗くことにした。
「……?」
覗いてみると、すでに二人の姿はなくなっていた。
「あれ、二人はどこ行ったんだ?」
「でも出てくる様子はなかったよ…?」
困惑しながら捜索を続けていると、眠っている女子を見つけた。
その女子は、間違いなく天羽 春海だった。
しかし、その近くに秋は見当たらなかった。
「…何してるのさ、二人とも。」
少し焦っていると、焦る俺たちに聞き覚えのある声が話しかけてきた。
気配に気づかなかった俺と妹は軽く驚いた。
「ずっと追いかけてたでしょ?」
どうやら俺たちには最初から気づいていたようで、問い詰めるような形で話してきた。
「…いやぁ~、偶然だよ…。」
俺はとりあえず誤魔化したが、「嘘はダメだよ」と言い、おでこにデコピンをかまされた。
それは妹も同じで、俺たちはおでこを抑えながら謝った。
秋は笑い、「いいよ、許してあげる」と言ってくれた。
「でも、今度は一緒に行動しようよ。そのほうが楽しいでしょ?」
なんて器の広いやつなのだろうと思いながら、二人で感謝を伝えた。
その時、春海も目を覚まし、俺たちを見て驚いていた。
「い、いつからいたんですか…?!」
恥ずかしそうにそう言うと、俺たちは顔を見合わせて、笑ったのだった。
「いったいいつからいたんですかぁ〜…!!」




