四話 出会い
春休み。
課題もすべて終えた僕は、久しぶりに外出していた。と言っても、小腹がすいたので、最寄りのコンビニへ行くだけなのだが…。
コンビニへ着いた僕は、適当にお菓子と水を購入し家へ帰ろうと歩き出したところ、路地から助けを呼ぶ声が聞こえた。
「……」
少し気になった僕は、そろりと路地へ入った。
二分ほど歩いたところで、二人の女子相手に、五人ほどの輩が群がっていた。
「やめてください!」
「いいじゃねぇのぉ〜。どうせ君らだって、そういうのを望んでそんな格好してんだろぉ?」
「ち、違います…!」
一人の女子は今にでも泣き出しそうな顔で、輩の言葉を否定している。一方で、もう一人の女子はキッと輩を睨み、どこかで見たことのある目つきだった。
激しい言い合いが行われる中で、輩の一人が突然怒りだした。
「お前らみてぇなメスはな、大人しくついてくりゃ良いんだよ!
俺らを苛つかせんじゃねぇよガキが!」
トンデモ発言をした輩は、弱々な女子の腕を力任せに掴んだ。
「キャッ?!」
「ッ!!この…!」
腕を掴まれた女子を助けようと、もう一人が手を出そうとした時、容赦なく彼女のお腹を輩は殴った。
女子は血と唾液を吐き、その場で倒れ込む。
倒れ込んだ女子の髪を掴み上げ、輩はそのまま引っ張ってどこかへ行こうとした。
恐怖で動きそうになかった僕の身体は、なぜか今更になって動いていた。
「……っ!!」
「…アッ?何お前?」
気づいた時には、輩たちの前に飛び出していた。
頭の中が真っ白な状態で、特に何も考えていなかったせいで、ただ突っ立つだけになってしまった。
「邪魔だぞガキ、そこ退けろや!」
輩は威嚇するように近くにあったゴミ箱を蹴飛ばし怒鳴った。
その瞬間、僕は一気に冷静になった。
「……その子たち、僕の知り合いなんだよ。」
「…は?」
何も感じなくなっていた僕は、輩たちを睨みつけた。
「…僕の知り合いが何かしたんなら、お詫びに何でも奢ってやる。
だけど、その子たちが何もしてないのに絡むっていうんなら…。」
「だったらなんだよ、アァッ?!」
「……」
不思議な感覚が全身を駆け巡る。
心地良い…、何かは分からないが、身体中を心地良さが駆け巡っている。
「ビビって声も出ねぇのか、アァンッ?!」
脳にそれが達した瞬間、僕は腕を伸ばしてきていた輩の一人を殴り飛ばしていた。
「え……、…えっ…!?」
輩は宙を飛び、壁に激突したのを見た輩たちは、僕に襲いかかろうとして、なぜかそれを辞めた。
「わ、悪かった…!も、もう何もしねぇ!」
輩たちはそれぞれ謝罪をして、倒れた輩を抱えてその場を去った。
一体何だったんだろうと思いながら、二人の女子に近づいた。
「あの…、大丈夫、ですか?」
久しぶりに女子と話すため、僕はどのように話しかけたらよいか分からずに、とりあえず心配をしておいた。
腹を殴られていた女子は、お腹を抑えながら立ち上がった。
「…べ、別に助けなんて要らなかった…。」
「そ、そうですか…。」
お腹を抑えながら、その女子はその場を去った。
取り残された女子と僕は、少し気まずい雰囲気の中で、何をすべきかを考えた。
「…あの…、た、助けてくれて、本当に、うれしかったで、す…。」
その子はオドオドとしながらも、しっかりと感謝を伝えてくれた。
僕はなぜか恥ずかしくなり、そっぽを向いてしまった。
「…そ、それは…、よかったです…。」
「あ…、は、はい…。」
気まずさが天を突き抜けそうだったので、僕は歩いていく女子の背中を指さした。
「…えと、いっ、ちゃいますよ…、あの人。」
そう伝えたが、女子は「え、えと…。」と言いながら、動こうとしなかった。
「…よかっ、よかったら!
一緒に来てくれませんか!?」
突然の誘いに、僕は呆然とした。
「あ、いきなり過ぎます、よね。
助けてくれた、お礼に…、その…、一緒にご飯でも、と…」
理由を聞いて、最初は断ろうと思ったが、その子の目を見ていると断りづらくなってしまった。
「あ!…あぁ、じゃあ一緒に、行きますぅ…。」
僕は彼女に負けて、一緒にご飯をすることになったのだった。




