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三話 御守

気付けばすでに、二年生も終わろうとしていたこの春、俺とアイツ、川端かわばた 秋也しゅうやは街に繰り出していた。


「…なんで僕が…。」


秋は嫌そうな声でそう呟いた。


「仕方ないだろ?お前ぐらいしか頼れるやつ居なかったんだよ。」


「だからって…、妹さんの誕生日プレゼントを僕に選ばせようとするとか、正直言っておかしいですよ…。」


呆れたようにそう言うと、ため息をつきながらも、こうして一緒に街へ出てきてくれた。


俺は目をつけていた店を見つけると、そこまで走って、秋を呼んだ。


秋はその店を見て、少しだけ感嘆していた。


「ここ、よく見つけましたね。」


「だろ?」


裏路地の入ってようやくあるその店は、一見質素な一軒家のように見えるが、店名の書いた看板がドアにあることでようやく店なのだとわかるような構造になっていた。


「…いや、本当によく見つけましたね…。」


驚きと困惑を同時にしつつ、秋は俺に続いて店へ入った。


店の中は、外見からは予想もできないほどに豪勢で、全ての物が丁寧に手入れされており、心から沸き立つワクワク感が収まらないような感覚になった。


「すごい…。

ここならいいものを見つけれそうだね。」


「じゃあさっそく探そうぜ。

俺はあらかじめ目をつけといたもんがあっから、それを取りに行くぜ。」


そう言い、俺はその場を離れた。


ーーー


安田やすだ 誠一せいいちが僕に背を向けどこかへ行ったのを見送ると、適当に近くにあったものを見ることにした。


ここには珍しい物が多くあり、キラキラとしている物が好きな人なら、ここは宝箱のように思うだろう。


少し探索した後、良さげなものを見つけた。


「…これは、あの人は喜んでくれるかな?」


僕はそれを手に取り、じっくりと観察した。


そこへ、店主らしき老人が近寄ってきた。


「それは、体温に合わせてリングの色が変わるというものだ。」


「体温に合わせて?…すごいですね。」


「試しに握ってみなさい。」


老人にそう言われ、僕はその通りに握りしめた。


数秒握りしめた後、手を開き、リングを確認する。


「…!オレンジ色になりました!」


「それが、暖まった状態だ。」


老人は得意げに笑い、他にもいろいろと教えてくれた。


商品を勧めている時の老人は、とても楽しそうに話していた。


「へぇ…。これって、全部店主さんが集められたものなんですか?」


「まさか。これらはもともと、儂の妻が集めていたコレクションだ。

妻は二年ほど前に亡くなったが、こいつらは捨てようにもよう捨てれなくてな…。」


老人は優しい笑顔を見せる。


「…捨てることができないなら、こうして、他の者たちに譲り受けるほうが良いと思い至ったんだ。」


「形見を売って、いいんですか?」


「あいつも、このままゴミになるよりも、誰かに大切にしてもらったほうが喜ぶからな。

…それに、こうして少しでも売れれば、孫のためにもお金を貯めておけるからなぁ。」


そう言いながら、老人は軽く笑った。


僕はそんな老人がすごいと感動し、僕はリングともう一つを購入した。


そこに、物を持った誠一が現れた。


「お!じっちゃん、約束通りまた来たぜ!」


誠一は老人にそう話しかけながら、持ってきたものを僕に手渡してきた。


「…これは…。」


「良いだろ!」


反応に困るものを持ってきた誠一に、僕は思わず言い淀む。


そんな僕を見計らって、老人が口を開いた。


「センスがない。」


「えっ!?」


老人に奪われるように、それを取り上げられた。


驚いている誠一に、老人はすぐに別の物を出した。


それは綺麗な朱色のシュシュだった。


「凄くいいですね。これにしたら?」


「えぇ〜…、う〜ん…。分かった…。」


少し不満そうにそう言うと、誠一はそれを買った。


買い物を終えた僕らは、その店をあとにし、適当な飲食店へと入った。


「いやぁ~、こんなどこにでもありそうなので良いのかね〜?」


誠一は不満をこぼしながら、頼んだコーヒーを飲んだ。


「そう言うのがいいんだよ。

だいたい、最初に持ってきた物なんかは、実用性がなさすぎるからね。」


「実用性ねぇ〜。」


僕の言葉をしっかりと聞いた誠一は、少し納得したようで、「そうだな」と笑いながら言った。


「そういや、秋は何か買ったのか?」


そう聞かれ僕はハッと思い、買ったものをテーブルに出した。


「リング?」


「これは僕のモノ。それよりこっち。」


僕はリングを懐に収め、買った御守を誠一に差し出した。


誠一は一瞬ぽかんとしたが、すぐにうれしそうな顔を見せてくれた。


「俺に買ってくれたのか!?」


嬉しさのあまり席から立ち上がった誠一は、すぐに辺りを見渡し、謝罪をしながら座った。


「…でもなんで俺に?

俺別に誕生日じゃないけど…」


不思議そうにそう聞きながら、御守を眺める。


「誠一は無茶しがちだからね。

これ以上怪我をしないようにって、そう思って買ったんだよ。」


説明をしたが、誠一は御守を嬉しそうに眺めていたせいで、僕の説明をちゃんと聞いていないように思えた。


誠一は御守をリュックに付けると、僕に嬉しそうに見せてきた。


僕は笑って、喜んでくれたことに嬉しく思った。


「ありがとな!スッゲー嬉しい!」


誠一は満面の笑みを向け、奢る宣言をしてくれたのだった。

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