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禁断の魔法師  作者: かちょ
魔法への目覚め
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競い合う魔法


午後の魔法実技の授業が始まると、教室はすでに緊張した空気に包まれていた。授業を担当するのは、冷静沈着で優雅なアレクサンドラ・レイヴン教師。黒い髪を後ろで束ね、鋭い目で生徒たちを見守るその姿は、まるで氷のように冷徹だ。


「今日は、少し変わった形式で実技試験を行うわ。」

アレクサンドラの言葉に、教室内が一瞬静まり返る。アイリス・フォルトナとレンの目が交わる。二人の間には、わずかな緊張とともに、競い合うような気配が漂っていた。


「試験は、あなたたちの魔法を、もう一度引き出すためのもの。レン、アイリス、あなたたち二人が、今日の競い合いを担うことになるわ。」

アレクサンドラは言い終わると、黒板に魔法陣を描き始める。その魔法陣の中心に浮かぶのは、実験用の小さな魔法の球体。アレクサンドラはその球体を手に取り、説明を続ける。


「この魔法球を、あなたたちの力で破壊しなさい。時間制限は五分。」

アイリスは少し冷静に、レンは少し興奮気味にそれぞれその魔法球を見つめる。授業が進むにつれ、二人の間に張り詰めた空気が広がっていくのを感じた。


「もちろん、相手より早く、正確に魔法を使うことが求められるわ。失敗した者は、今日の成績が下がるわよ。」

アレクサンドラは微笑みながら言ったが、その表情はどこか挑戦的だった。アイリスは冷徹にその言葉を受け止め、魔力を手に集める。


「準備ができたら、始めて。」

アレクサンドラの指示とともに、アイリスとレンの間で緊張が最高潮に達する。


「行くわよ!」

アイリスが先に動いた。素早く杖を構え、炎を操るように魔力を解放する。瞬時に火球が魔法球に向かって飛んでいった。その勢いはすさまじく、教室内の空気が揺れるほどだ。


レンも負けじと杖を握りしめる。「重力魔法、発動!」

レンの魔法は一瞬のうちに魔法球を包み込む。魔力の圧力で魔法球が少し浮かび上がり、次の瞬間、魔法球の周囲に重力が強化され、球体が歪み始めた。


「ふんっ!」

アイリスは冷静に魔法を連続で放つ。炎の魔力が舞い、魔法球を炎の中に包み込んでいく。レンはそれを見つめ、魔法の出力をさらに上げて、魔法球を制御する力を強めた。


「くっ…!」

アイリスがもう一度炎を放ち、今度はその威力が倍増する。レンは魔法の制御を少し強くし、魔法球を引き寄せるように重力を操作した。しかし、アイリスの火炎魔法も強力だ。双方が譲らず、魔法球の周りで爆発的な力がぶつかり合う。


その間に、サクラは少し離れたところから見守っていた。彼女は少し不安そうにしているが、どこか嬉しそうな表情も浮かべている。


「二人とも、すごい…」

サクラは少し驚きながら、呟いた。その表情は、誇らしげでもあり、少し羨ましそうでもあった。


アレクサンドラは冷静にその競技を見守りながら、試験時間をカウントしている。


「あと、30秒。」

アレクサンドラが告げると、二人は一層激しく魔法を交錯させ、最後の力を振り絞る。レンは、魔法球の回転を少しでも遅らせるために重力を極限まで高め、アイリスはそれを見越して炎の速度を加速させる。


タイムアップ!


アレクサンドラが時間を告げると、魔法球はどうにか、二人の魔法によって不安定になり、ゆっくりと崩れ落ちていった。


「終了。」

アレクサンドラが冷静に言い放つと、レンとアイリスは息を切らしながら互いに見つめ合った。最終的に魔法球は、二人の魔力が均衡して崩れたため、どちらが勝者と言うことはできなかった。


「いい勝負だったわね。」

アレクサンドラは軽く微笑んだ。アイリスはそのまま無言で、レンに少しだけ視線を送った。彼女の瞳の奥に、レンに対する尊敬とともに、少しの興味が見え隠れしていた。


「お疲れ様。」

レンは少し疲れたように微笑むと、アイリスも冷ややかに頷いた。


「次はもっといい勝負をしましょう。」

アイリスはそう言いながら、レンに軽く挑戦の意を込めて目を合わせた。


サクラもそのやり取りを見守りながら、微笑んだ。自分にできないことをしている二人の姿が、少し羨ましくもあり、でも嬉しくも感じられた。



---


その瞬間、レンの体が一瞬ふらついた。

彼は魔法の力を限界まで引き出していたため、魔力の消耗が激しく、その影響で軽いめまいを感じていた。しかし、それを無理に押し殺し、笑顔を見せようとしたその瞬間、足元がぐらつく。


「あっ…!」

レンは反射的に体勢を崩し、倒れ込む寸前にサクラが駆け寄って支えた。


「レン、大丈夫?」

サクラの声に、レンは少し驚きながらも、力を振り絞って笑顔を浮かべた。「あ、ああ、大丈夫だ。少し…力を使いすぎたみたいだ。」

しかし、言葉に反して、足元がふらつくレンをサクラがしっかり支える。


「無理しないで。先生も見てるし、保健室に行った方がいいかもしれないわ。」

サクラは真剣な表情で言うと、レンの腕をしっかりと支えながら、アレクサンドラに視線を向けた。アレクサンドラは冷静にその様子を見守り、静かに頷いた。


「レン、今日は休んでおきなさい。無理をしてはいけないわ。」

アレクサンドラの言葉に従い、レンはサクラに支えられながら、授業を終えることとなった。

後書きというか日記になってる(笑)

最近ダイエットしてます。

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