新たな出会いと気になる存在
翌日、レンは学園の広場を歩いていた。まだ新しい環境に慣れ切っていないが、少しずつ周りの景色に目を向ける余裕が出てきた。その時、大きな荷物を抱えて歩く一人の少女に目が留まった。彼女は小柄で、両手に重そうな荷物を抱えているが、その歩き方は少しおろおろしているように見えた。
「大丈夫ですか?」
レンはすぐに声をかけた。少女は少し驚いた様子で顔を上げ、慌てて笑顔を作った。
「あ、はい…大丈夫です。ありがとうございます!」
彼女の声は明るいが、どこか少し照れくさいようだ。荷物が不安定で、彼女は必死に支えようとしているが、どうしても片手で持ちきれない様子だった。
「その荷物、重そうだね。手伝おうか?」
レンは自然にその荷物を半分引き受けた。少女は一瞬躊躇したが、すぐに「ありがとうございます」と言って手を貸してくれたレンに感謝した。
「ほんとにすみません、こんなに荷物が多くて…。今日は何かと忙しくて。」
「気にしないで。無理しないようにね。」
レンは落ち着いた声で言いった。その言葉に、少女は少し安心したようだ。
「私はコトネです。ありがとうございます。」
「レン。気にしないで。」
彼女は小さく笑いながら、お礼を言うと、歩きながら話し始めた。
「普段はこんなに荷物持たないんですけど…今日は急いでいて。どうしてもたくさん持たなきゃいけなくて。」
「わかるけど、無理しちゃだめだよ。」
「…ありがとうございます。」
コトネは少し照れながらも、嬉しそうに微笑んだ。レンの冷静な言葉と優しさに、少しだけ自分の心が落ち着いていくのを感じた。
コトネは、普段あまり男性と接する機会がないため、どうしても少し照れくさい気持ちを抱えながらも、レンとの会話に自然に流れを感じた。彼の落ち着いた態度や優しさが心地よくて、つい頼ってしまっていた。
「ところで、コトネって名前、可愛いね。」
「えっ、ありがとうございます。」
コトネは少し顔を赤くし、恥ずかしそうに下を向いた。彼女は男性とこんなに会話をすることが珍しく、ちょっとだけ緊張していたが、レンの穏やかな態度に少し安心していた。
「それにしても、今日は助かりました。本当にありがとうございました。」
「気にしないで。無理して荷物を持つより、頼った方が楽だよ。」
レンがにっこりと笑うと、コトネはほっとしたように微笑んだ。
その後、二人は途中まで一緒に歩き、コトネは荷物を届けることができた。コトネはお礼を言って、元気よく去っていったが、その背中をレンはしばらく見送った。
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レンはコトネとの会話が少し不思議で、そしてどこか心地よかった。彼女の少し照れた笑顔が頭から離れず、心の中で何かがふわっと温かく広がった気がした。
コトネ登場\( ´・ω・`)┐しゅたっ