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禁断の魔法師  作者: かちょ
魔法への目覚め
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レンの魔法



レンがエルザ・アカデミアの敷地に足を踏み入れてから、まだ数日しか経っていなかった。しかし、すでに彼の世界は一変していた。何よりも圧倒的だったのは、周囲を取り囲む女性たちだ。彼一人だけが男子で、すべてのクラスメートは女性。しかも、彼の魔法の力が周囲に知られたことで、その注目を一身に集めていた。


「司馬レン…あなたが本当に男性の魔法使いだなんて…」


最初にレンに声をかけてきたのは、アイリス・フォルトナだった。彼女は入学初日にレンと火花を散らした少女で、銀髪と冷徹な眼差しが印象的だった。最初は冷たかったアイリスだが、今ではその態度も少しずつ変わり、少なくとも他の生徒たちと同じように、表面的にはレンに接するようになっていた。


「まあ、魔法が使えるのは事実だけど、あなたにはまだ試練が待っているわよ。」


アイリスは言うと、少し挑戦的な笑みを浮かべた。レンもそれを受けて、軽く頷いた。


「どんな試練でも受けて立つよ。」


レンはその言葉を無意識に口にしていたが、心の中で自分に言い聞かせていた。ここで、ただの普通の少年として過ごしているわけにはいかない。自分の力を証明し、認めさせなければならない。


その時だった。


「レン、こっちに来て!」


突然、後ろから大きな声が聞こえた。振り向くと、そこにいたのは、まさにサクラ・アマミヤだった。彼女は、最初にレンを助けた少女で、今ではすっかり友達のように接してくれている。サクラの笑顔は、どこか頼りにしたくなるような優しさを漂わせていた。


「サクラ、どうした?」


レンが声をかけると、サクラはにっこりと笑って手招きした。


「実は、今日から『魔法実践クラス』が始まるんだけど、あたしと一緒に受けようよ!あたしもまだまだ勉強中だけど、あなたならきっとすぐに追い越せるよ!」


レンは驚いた。自分が最初にこの学園に来たとき、魔法の使い方がまるでわからなかった。しかし、サクラの言葉に励まされるように、少しずつでも学んでいけばいいのだと心が決まる。


「うん、よろしく頼む。」


サクラはレンの答えに嬉しそうに頷き、二人で一緒に教室へ向かうことにした。



---


魔法実践クラスの教室に入ると、すでに多数の学生たちが席についていた。レンとサクラが席に着くと、講師が前に立ち上がり、授業が始まった。


「さて、今日はあなたたちに一つの課題を出します。今から私の合図で、各自が自分の魔法を使ってみなさい。」


講師の声が教室に響くと、学生たちは次々に呪文を唱え始めた。アイリスもその一人で、彼女の周囲に青白い光が現れ、しばらくすると、その光がいくつかの小さな火の玉となって浮かび上がった。


「すごい…」


レンは目を見張った。アイリスの魔法は、極めて精密であり、まるで彼女が魔法そのものを操るような安定感があった。


「次はあなたよ、司馬レン。」


講師がレンを指名した。クラス全員が一斉に彼を見つめる。レンは少し緊張したが、心を落ち着け、手を前に出した。


『いけ…』


レンの中で何かが解放される感覚があった。魔力が手のひらに集まり、青白い光が次第に強くなっていく。


「え…これって、あの時と同じだ!」


自分の手から放たれる光に驚くレン。だが、今回はあの時のように力を乱すことはなかった。レンは意識して魔力を制御し、光の束を天井に向けて放った。


その光は、教室の天井に当たって爆発的に広がり、みんなの目を引いた。


「すごい!」


クラスメートたちの歓声が上がる。その中には、少し驚いた様子のアイリスの顔もあった。


サクラはその様子を見て、満足げに微笑んだ。


「やっぱり、レンはすごい!」



---


授業が終わり、レンとサクラが一緒に校庭を歩いていると、アイリスが突然、二人の前に現れた。


「さっきの魔法、なかなか面白かったわ。でも、あれだけじゃまだ足りない。」


アイリスはレンをじっと見つめ、にやりと笑った。


「次の実践で、もっと強力な魔法を見せてみなさい。私と戦って、どれだけの力があるか試してみたいから。」


レンはその挑戦的な言葉に少し驚いたが、すぐに顔を引き締めて答えた。


「いつでもいいよ、アイリス。」


アイリスの挑戦を受け入れたレン。彼の中に、さらに強くなりたいという気持ちが沸き上がった。


次の試練が待っている。魔法の力を使いこなし、この学園で生き抜くためには、まだまだ成長しなければならない。


だが、レンは確信していた。この学園で、彼の人生はきっと大きく変わると。


---


新たな仲間たちと寮生活



授業が終わり、レンはサクラと一緒に寮へ向かうことになった。エルザ・アカデミアは全寮制で、すべての生徒は学園内の寮で生活している。レンが寮に到着した時、すでに他の生徒たちは部屋で過ごしている様子だったが、彼にはまだ自分の部屋がどこか分からなかった。


そのとき、レンの前に一人の女性が現れた。彼女は美しい黒髪を持ち、優雅で華やかな雰囲気を漂わせていた。年齢は30代前半、落ち着きの中に強い魅力を感じさせるその女性は、ミリア・ヴァンティア先生という名前だった。


「あなたが司馬レンくんね。ようこそ、エルザ・アカデミアへ。」


レンは少し緊張しながらも、礼儀正しく頭を下げた。


「ありがとうございます、ミリア先生。」


「それでは、君の部屋を案内しよう。」


ミリア先生は優雅に微笑んで言うと、さっと歩き出した。レンも少し戸惑いながらも、彼女の後をついていく。寮は学園の敷地内でもひときわ大きな建物で、立派な石造りの外観が特徴的だった。中に入ると、広々としたホールが広がっており、数多くの扉が並んでいる。


「こちらが共用エリアよ。食堂、休憩室、そして娯楽室があるわ。すべての生徒が使える場所だから、リラックスして過ごしてね。」


ミリア先生は説明しながら、レンを案内していく。途中、食堂の前を通りかかると、食事の準備が整っているのか、厨房から食欲をそそる香りが漂ってきた。


「食事の時間は決まっているから、なるべく守るように。遅れると、学園生活が少し厳しくなるわよ。」


「わかりました。」


レンはその言葉を素直に受け入れる。すると、ミリア先生は静かに微笑んで次に進んだ。


「さて、こちらが君の部屋よ。」


ミリア先生が指し示した扉は、他の生徒たちの部屋よりもひときわ大きく、豪華に装飾されていた。その部屋は特別な感じを漂わせていた。


「君の部屋は特別だからね。他の生徒とは少し違う部屋を用意したわ。これから君の学園生活の拠点になる場所だから、自由に使ってくれて構わない。」


レンはその言葉に驚きながらも、心から感謝の気持ちを表した。


「ありがとうございます。こんな素晴らしい部屋をいただけて…」


「心配しないで。君はこの学園で特別な存在だから、他の生徒と同じように過ごせる場所を提供するのが私たちの務めよ。」


ミリア先生はにこやかに答え、レンの肩を軽く叩いた。少し間をおいて、彼女はさらに言葉を続けた。


「それと、君にはすぐに他の寮生たちと仲良くなってもらいたいと思っているわ。仲間との絆が、君の魔法の力にも大きな影響を与えるから。」


レンはその言葉に力強く頷いた。この学園での生活が、ただの学びの場でないことが感じ取れた。


「はい、頑張ります。」


ミリア先生は満足げに微笑んだ。


「それでは、君の新しい生活が良いものになりますように。」


レンはその言葉を胸に、新しい一歩を踏み出す決意を固めた。


早く涼しくな〜れ(∩^o^)⊃━☆゜.*・。

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