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禁断の魔法師  作者: かちょ
革命の兆し
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交錯する運命


6月の空は爽やかで、梅雨入り前の清々しい日差しが学園を照らしていた。しかし、学園内では何か不穏な空気が漂っていた。生徒たちの間には、ヴェンデッタの活動に対する懸念や不安が広がり、どこかしらピリピリとした緊張感が漂っている。それでも、学園側はその状況に対処すべく、1年生から3年生までを対象にした合同授業を実施することを決定した。


その目的は、協力と団結を深めること。ヴェンデッタの影響が学校に及びつつある中で、協力し合い、問題に立ち向かう力をつけることが、学園にとっても重要だとされていた。



---


合同授業が始まる日、学園の大広間には1年生から3年生までの生徒たちが集められていた。スクリーンには、グループ分けの結果が映し出され、学年を超えた新たなチーム編成に、生徒たちの間に緊張が走る。


「このグループ分けが、これから数週間にわたって行われる授業のベースとなります。」理事長の穏やかな声が、学園の広間に響いた。「各チームで協力し、魔法の精度を高めるとともに、他学年との交流を深めてください。」


スクリーンに映し出されたのは、1年生のレンとサクラが同じグループに入っていることを示していた。そのほか、2年生にはアナスタシア・クレアとカリーナ・ラルフ、3年生にはエリザベス・アシュフォードとダリル・ハリントンという、計6名のチーム編成だった。


レンは最初、この組み合わせに驚きとともに若干の不安を覚えていたが、すぐに隣でサクラがにこりと微笑んで言った。


「一緒に頑張ろうね、レン。」


サクラの言葉に、少し安心したレンは、彼女と共に前に進む覚悟を決める。



---



合同授業の最初の課題は、魔法の精度を高めるトレーニングだった。障害物を動かすというシンプルな内容だったが、その精度を求められるため、思った以上に難易度は高かった。


レンとサクラは、2年生のアナスタシアと3年生のカリーナと共にチームを組むこととなったが、アナスタシアの冷徹な態度とカリーナの温かな雰囲気のギャップに少し戸惑いながらも、課題に取り組んでいた。


「最初は難しいかもしれませんが、きちんと順番にやりましょう。」アナスタシアは、冷静な目でチームメンバーを見渡す。その眼差しには厳しさがあり、どこか一歩引いているような印象を受ける。


「私は何でも手伝いますから、遠慮せずに言ってくださいね。」カリーナは、あくまで優しく声をかける。彼女の柔らかな物腰に、サクラは少し安心した様子で頷く。


レンは、サクラと同じくまだ経験が浅いため、最初はうまく魔法を制御できない場面が続いた。しかし、サクラの助けやカリーナのフォローを受けながら、少しずつ魔法の精度を高めていく。


アナスタシアは時折その様子を無言で見守りながら、指導していたが、何かを考えているような表情を浮かべていた。



---



グループ内で、特に目を引いたのがエリザベス・アシュフォードだった。3年生の生徒で、生徒会長を務める彼女は、物腰が非常に冷静で、どこか威圧感さえも感じさせる存在だった。その容姿も、どこか古典的な美しさを誇っており、髪を整える仕草や言葉遣いには品位が感じられた。


「エリザベスさん、何か助言はありますか?」と、カリーナが優しく尋ねると、エリザベスは無表情で一瞬目を伏せ、静かに答える。


「精度を重視すること。焦らずに、段階を踏むことが大切です。」彼女の言葉は、どこか冷徹で計算高く、その一言で場の空気が引き締まるように感じた。


レンはエリザベスに圧倒されるような思いを感じていた。彼女の眼差しには隠された目的があるように思え、それがレンには少し怖く感じられた。



---



授業の途中で、レンはエリザベスの態度に不安を覚えることがあった。彼女は、他の生徒たちに対してやや冷たく接し、特にレンに対しては目を合わせることすら少ない。レンもそれに気づき、少しずつエリザベスが他の生徒に対して抱く微妙な態度を感じ取っていた。


サクラがエリザベスに声をかけると、エリザベスは冷たく答えることが多く、サクラの心情も少し沈んでいた。しかし、カリーナは変わらず優しく、サクラを励ますようにしていた。


「エリザベスさん、もし何か問題があれば、遠慮せずに言ってください。」カリーナが優しくエリザベスに声をかけると、エリザベスは少しの間黙った後、冷ややかな声で言った。


「問題はありません。ただ、皆さんがもっと効率的に動くべきだと思うだけです。」彼女の言葉は短く、そして冷たかったが、その裏には彼女なりの理想があることをレンは理解し始めた。


その時、教室内でヴェンデッタに関する報道が流れる。テレビのスクリーンには、魔法社会を揺るがすようなニュースが映し出されていた。ニュースキャスターが言った。


「ヴェンデッタの影響が学園にまで及ぶことが懸念されています。現在、学園内でも警戒が強化されています。」


その報道を見て、エリザベスは無言で画面を見つめ、何かを決意したように深く息を吐いた。その表情には、今後の計画に対する覚悟が見え隠れしていた。


レンはその様子を見つつ、これから起こる事態に対して不安とともに覚悟を決めるのだった。

新キャラ多すぎてすみません(;_;)

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