表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁断の魔法師  作者: かちょ
魔法への目覚め
11/18

ヴェンデッタの襲撃


レンが立ち尽くしていたその瞬間、背後で大きな音が響いた。デパートの一角から、反政府組織「ヴェンデッタ」の構成員が現れる。黒い衣装をまとい、冷徹な表情を浮かべていたその女性は、鋭い眼差しでレンを見据える。


「何者だ、お前は?」レンは声を震わせながらも、必死で構えを取る。


その女性は、一歩も引かずに歩み寄ってきた。金属的な音が響く中、彼女の手には鋼鉄の刃が形作られている。その力強さから、彼女が鉄を操る魔法を使うことは一目瞭然だった。


「私はアリシア・グラード。ヴェンデッタの幹部だ。」


レンは息を呑んだ。自分が今、このヴェンデッタの幹部と対峙していることに驚きを隠せなかった。しかし、目の前で人質になっているコトネを助けるためには、ここで負けるわけにはいかない。


「コトネを離せ!」レンは必死に叫んだ。


その言葉にアリシアは冷たく笑った。「離すわけがないだろう。ヴェンデッタの目的のためには、お前もその少女も利用価値がある。だが、さっさと消えてくれるのが一番いい」


レンは背筋を伸ばし、足を踏みしめる。重力魔法を使う準備をしながら、アリシアと目を合わせる。


「これ以上、俺の邪魔はさせない」


その瞬間、レンの体から圧倒的な重力が放たれ、周囲の空間が歪む。アリシアはその攻撃を軽々とかわすが、その動きに合わせてレンはさらに魔力を込めて、足元の鉄製のパイプを空中に引き上げた。


「この程度か?」アリシアの笑みは変わらず冷酷だが、少しだけ動揺が見える。


その時、突然、別の魔力が空間を切り裂くように現れた。激しい炎が一閃し、レンの周りを囲む。


「うっ…!?」


その炎の中から現れたのは、アイリス・フォルトナだった。彼女は火炎魔法を使い、アリシアの攻撃を一瞬で防ぎながら、レンに向けて軽く頷いた。


「…大丈夫か?司馬」


「アイリス!?」


レンは驚きながらも、アイリスが現れたことで少し安心した。しかし、アリシアは冷たく笑う。


「二人がかりで来ても、私を倒すことなどできないわ」


アイリスは冷静に構えを取った。「その言葉、後悔させてあげる」


「やってみろ」アリシアは鉄の刃を振りかざし、周囲の金属を操りながら攻撃を仕掛けてきた。


レンとアイリスは息を合わせて、攻撃をかわしながら、アリシアを挟み撃ちにする。アイリスの火炎魔法がアリシアの動きを一時的に封じた隙に、レンが重力魔法で彼女を捕らえ、動きを封じる。


「これで…!」レンは全力で重力を集中させ、アリシアの周りに鉄の塊を押しつけていった。


その瞬間、アリシアはわずかながら力を振り絞り、鉄を弾き飛ばした。しかし、すでにアイリスの火炎魔法が迫っており、彼女は逃げ場を失っていた。


「もう終わりだ」アイリスの冷徹な言葉とともに、炎の波がアリシアを包み込む。アリシアは絶叫しながら倒れ込み、無力化された。


その後、事態はすぐに収束した。サクラが警察を連れて戻ってきた時、すべては静まり返っていた。


「レン、大丈夫だった?」サクラは息を呑んで、レンに駆け寄った。


「うん、何とか…」


そして、コトネが無事に解放されると、彼女は少し震えながらもレンに駆け寄り、感謝の言葉を口にした。


「ありがとうございます、レン先輩…」


レンは照れくさそうに微笑んだ。「いいんだ、助けられてよかった」


だが、コトネの胸には何か新しい感情が芽生えていた。レンに対する心の中の特別な感情。それは、確かに恋心として膨らんでいくのだった。


第1部完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ