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愛みのリリウム -神に愛された花たち-  作者: 虎依カケル
6章

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ルシルとウィリアムの話


 初めてリリアンを見たとき、彼女は愛された子だと思った。


 友達に囲まれて楽しそうに笑い、取り合いをされて困ったように笑っていた。母親とは血が繋がっていないと聞いていたが、家族全員に愛されて彼女は本当に幸せそうに見えた。


 その姿がお嬢様に似ているような気がした。


 自分は剣を一人で振るい、友達がいなかった。彼女はそんな自分に話しかけてくれ、笑いかけてくれて、優しくしてくれて……少しずつ彼女のことが好きになっていった。


 彼女の存在が大きくなってきたころ、彼女は姿を消した。どこに行ったのか、彼女の両親は口を開かなかった。そのとき、なんとなく彼女は神のもとへ行ったのだと思った。


 突然現れた御使いはリリアンのことを知っていた。彼女に会える。これは奇跡だと思った。

 久しぶりに会ったリリアンは少し消極的になっていたけれど、優しくて、温かくて……笑顔をくれる人だった。


 彼女はお嬢様に似てなんかいなかった。

 とても大切で特別な……唯一の存在。



「俺は……リリーの特別になりたい。それで、彼女の助けになりたい」


 リリアンが教会に行くことになり、学園に来なくなった。そんなある日、ウィリアムがそう零した。彼の表情は真剣で、彼女のために何かしたいと必死に考えていた。


 いつの間にか変わった呼び名にルシルは目を細める。


 彼がリリアンに特別な感情を抱いているのは知っていた。学園に転入してくる前から、彼はいつもリリアンのために行動していた。そうでなければ、自分はこの学園に入ることはできなかっただろう。

 面倒見が良くて、たとえ損な役回りだったとしても、相手のことを考えて行動ができる。ウィリアムはそういう人だった。……そういう人だから、リリアンを託すことができる。


「そう。あなたなら、きっとなれるわ」


 最後の思い出作りのつもりだった。死ぬ間際には、リリアンたちから離れて、一人でこの世に別れを告げるつもりだった。だけど、この命に使い道があるのなら……


「でも、そう思っているのはあなただけではないわ。リリーを助けるのは私の役目よ!」


 そう張り合って言うと、彼は目を瞬かせた。そして、顔をくしゃっとして笑う。


「何言ってんだよ。二人で助ければいいだろ?」


 彼はそう当たり前のように言った。……残された寿命が短いとわかっていて、そう言ってくれている。


「……そうね。その時が来たら、一緒に」


 ルシルはそう言ってから、ウィリアムの方に目を向けた。


「ねえ。私のワガママ、聞いてくれる?」


 きっと、自分は綺麗に死ぬことは叶わないだろう。だが、それは自分が望んだことだ。……自分が望んだことなんだよ、リリー。


 きっと、彼女は自分の死に泣いてくれるだろう。

 誰にでも心を砕く優しい子だから。

 でもいっぱい泣いたら、その分だけ……いや、それ以上に笑ってほしい。

 あなたの笑顔はいつだって、美しいのだから。



読んでいただきありがとうございます!

6章はここまでとなります!

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