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逃げる本  作者: ピタピタ子
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「フリア、起きて!」

「中々起きないな。」

「起きろ!」

「ワハハ、やめて!」

エミリーはフリアをくすぐって起こす。

「朝ご飯作ってあるのよ。」

料理を食べる。

「味がいまいちだわ。美味しい料理という物を知らないわね。今度から私が朝食作った方が良さそうね。」

フリアはエミリーに言った。

「でもあなた起きるの遅いから料理出来るまで皆待つことになるわ。それなら私が作ったほうが良いわね。」

「あなたの国で食べられるうなぎのゼリー寄せって料理、あんな料理ばかり食べてるから舌が音痴なのね。」

「料理だけに価値をおかないで。それにその料理ばかり食べてると誤解されるのは困るわ。私はヴィーガンやベジタリアン料理だって食べるのよ。私達には素晴らしいお茶の文化もあるし、映画の舞台にもなってるのよ。福祉だってあなたの住んでる所よりずっと整ってるわね。」

二人は嫌味を言い合った。

「あの二人まだ喧嘩してるのか?」

「どうやらそのようね。でも止める必要は無いわ。」

「そうだな。」

朝食を食べ終わり、テーブルを掃除したり皿洗いをした。

「フリア、何してるんだ?」

チャールズがフリアに聞く。

「隣に可愛い猫がいるから猫が入れるように穴を開けようと思ってるの。手伝ってくれない?」

「手伝うも何もここは俺達の家だから。」

「猫が好きだからって何でも好き勝手しないで。」

「もう、ウェルナーお前の従妹何とかしてくれよ。親族の君が何とかしてもらわないも困るんだよ。妻に嫌味を言ったり、家を壊そうとしたり。」

「何で親族でもない俺に投げるんだよ。そもそも知らない人に本を渡したお前達にも問題あるだろ。」

「ふざけてるのか!お前ついてるのかよ!」

「それに俺とフリアはもう別れてるから関係ないんだよ!」

「ウェルナー…」

フリアが悲しそうに部屋を出る。

「フリア!」

ウェルナーは彼女が呼び止める。

「ここは私が行くわ。」

エミリーがフリアを追う。すぐ近くの公園で泣いてるのを見かける。

「フリアここにいたのね。ウェルナーの元カノだったのね。」

「何であんたがここに?笑いに来たのかしら?」

「そうじゃないわ。」

「私のこと嫌いなのにどうして?」

「流石に泣いてる姿見て喜ぶような人間じゃないわ。」

エミリーはフリアにハグをした。

「何で元彼のことはまだ好きなの?」

「好きじゃないわ。でもさっきあんなこと言われて何だか寂しい気持ちになったわ。もうあんなやつなんてどうでも良いと思ったのに。」

「それならいつでもより戻せるわ。それが今じゃなくても。」

「今は気持ちの整理がつかないわ。」

「私が言いたいのはあんたと元彼はいつでもよりを戻せる可能性があるってことよ。」

「私達、読む本の方向性の違いで別れたのよ。私が読みたい本を否定するようになったのよ。違う人になったような気がしたのよ。まるで火星人か何かにさらわれて洗脳されたかのようにね。だから私から別れを告げた。」

「本で別れるなんてそんなカップルが他にどこにいるのかしら?それなら本でよりを戻せば良いのよ。あんたの元彼は一時的に冒険しただけなのよ。」

「エミリーとその旦那みたいに馬鹿なことして、あまり美味しくない料理作ってる方が長続きするわけね。」

「気持ちに正直なだけよ。もう大丈夫そうだから戻るよ。」

「分かったわ。」

彼女達は部屋に戻った。

「フリア、余計なこと言った。すまなかった。」

ウェルナーはフリアに言った。

「もう過ぎたことはどうでも良いのよ。蒸し返すような女じゃないの。」

「一段落したから本について話さないと。」

イェニーが話題を戻した。

「この中でタイ語が分かる人は?」

沈黙が続いた。

「犯人探しをしてるわけじゃないのよ。この中でタイ語が話せる人は?」

また沈黙が続いた。

「この中でタイ語が話せる人は?」

「母さん、3回も聞き出すことないだろ。そういう質問は一回で十分なんだよ。」

ウェルナーが言った。

「残念ながらいないようね。それならタイ語の通訳でも雇おうかしら。」

「大学の知り合いでタイ語が分かるやつがいる。」

チャールズが言った。

「今ここには呼べないがタイ語の解読は出来る。東南アジアの歴史とかにすごい詳しいやつなんだ。」

「チャールズにそんな友達がいたなんて知らなかったわ。」

「人脈がこんな所で役に立つなんてね。」

ソーシャルメディアでDMを送った。

「あとは返信を待つだけだ。」

しばらくすると返信が来た。

「誰かまだ分かっていないようだな。」

大学の時の写真をさらに送った。すると電話で話せないかと返信が来た。

「もしもし、ラリー!久しぶりだな。」

「お前とはもう一生関わらずに済むと思ったけど。」

「よく講義とレポートで忙しい大学4年間を過ごしたじゃないか。」

「また都合良く俺を振り回すつもりなんだな。」


大学時代、チャールズとラリーは授業が一緒になることが多かった。

「隣良いか?」

「ああ。良いけど。」

授業が終わると一緒に教室移動することもあるがまともに会話などそんなしなくてラリーがいるのは気にせずチャールズは他の友達と一緒にずっと会話した。

二人が会話をする時と言えば…

「手が塞がったな。ラリー、コーヒー持ってくれ。」

「またかよ。またパシリかよ。」

「それほど頼みやすいってことだよ。悪い意味じゃない。」

何か荷物を持ってもらったり

「ジェームズがパソコン忘れたから、代わりに届けてくれ。次の講義で会うだろ?」

「分かったよ。」

何か頼まれごとする時くらいだ。

「チャールズ、今日は私とパブに行くわよ。」

「あら、チャールズと私先約があるのよ。あんたは一生チャールズから離れな。」

彼はかなり女子からモテるし、女性の扱い方をよく分かっている。一緒に歩いていてもラリーは誰にも相手にされなかった。

「よし、今期は好成績を収めた。」

「流石、チャールズだな。お前は天才だよな。」

チャールズは容量がよく、苦手だと感じた所はすぐに他の仲間やラリーなどと話していた。彼はラリーに嫌味を言ったり、悪口とかは言わなかった。だけど一覧の行動をよく思っていなかった。 

「ラリー、一瞬これ持って。」

「自分で持てよ。俺はチャールズの使用人じゃないんだぞ。」

「少し頼んだだけで被害者気取り?」

「あー、分かった!やれば良いんだろう!これが最後だからな!今後何があっても知らないからな。」

流石の彼も堪忍袋の緒が切れた。しかしチャールズは一瞬の怒りだと思いあまり大きなこととして受け止めなかった。


ラリーはペンのノック部分を何度も押しながら話した。

「そのお願いは断る。」

「頼む!忙殺された大学時代支え合っただろ?」

「支え合った?俺にしたこと覚えてないようだな。俺とお前の記憶と言えば、コーヒー、紅茶、コカ・コーラ、安い売店のサンドイッチ、糖分たっぷりのドーナツを持つように頼まれた記憶しかない!何でこの俺がチャールズと安いサンドイッチに振り回されなきゃいけないのか!他にも同じ学科のやつの忘れ物を届けるように頼まれたり、まさにお前のパシリだった!」

ノック部分を押すスピードが上がり、かなりの騒音になる。

「それは俺がお前の気持ちと向き合えてなかったから、謝るよ。それよりさっきからカチカチと何の音だ?大丈夫か?」

「大丈夫なわけないだろ!こんな音普通に生活してればするから。君は自分の有益になる時にしか俺に話しかけなかっただろ!」

「落ち着け!それは俺が馬鹿だった。マジで今困ってる状況なんだ。」

「それなのにいつも注目されるのはお前ばかりだった。こっちは謙虚に4年間努力して過ごして来たのに。人を踏み台にするようなやつばかりが目立つのが許せないんだ。」

チャールズも他の学生も当時、チャールズとラリーを比較して話すことはほとんど無かった。注目の的はいつもチャールズだったので、ラリーは劣等感を抱くようになった。

「お前を踏み台にするつもりは無かった。だけどこんな俺と成功してるお前を比較して何になるんだよ!」

ラリーはボールペンを壊して、また新たなボールペンのノック部分をカチカチと押す。イライラするとよくする癖だ。

「お前がいない所ではお前のことなんて思い出せずに済んだし、努力も認められた。こんな輝かしい人生なのにお前が電話して最悪な過去を思い出した。お前の頼み事はこれから引き受けない!」

電話が切れた。

「チャールズどうだった?」

エミリーが聞く。

「駄目だった。」

チャールズは皆に事情を話した。

「こうなったら通訳を雇うべきよ。ネットの翻訳はマイナーな言語だと訳がめちゃくちゃよ。」

「待ってくれ!今回は俺にも責任がある。もう少し任せてくれないか?」

「あんた正気?どんな物食べたらそうなるわけ?相手は過去の記憶を蒸し返して欲しくないのよ。」

フリアが言った。

「フリア、その気持ちはよく分かる。だけどここは彼に任せてくれないか?」

ウェルナーが言った。

「もう勝手にしなさい。」

「そうしたらまずどう説得するか考えるわよ。」

「イェニー、その前に観光するぞ。」

旧市街地を散歩することになった。

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