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逃げる本  作者: ピタピタ子
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メール

フリアは3人のために料理を作った。

「フリア、私達も手伝うわ。」

「料理は私だけで十分よ。」

3人は散らかった部屋を掃除した。

「この机昨日食べたクロワッサンみたいな色してるな。」

「あんたはそんなつまらないことしか言えない息子なのかしら?」

「例えだよ。」

フリアは料理を作り終わる。

「出来たわ。」

料理をテーブルに並べる。

「フィデウアよ。」

カタルーニャの料理を作った。

「スペインって料理が上手いんだな。フランスと同じくらい料理は上手いな。」

「ドイツの料理よりバラエティー豊富なのよ。」

フリアはワインを飲みながら話す。

「それ何のワイン?」

「テンプラニーリョよ。」

全員赤ワインを飲んだ。

「ワインはフランスって言われるけど、こっちはぶどうの収穫が盛んなのよ。」

「スペインワイン悪くないな。」

ワイングラスを置く。

「あなたとこうやって食事するのも久しぶりね。」

イェニーはフリアに言った。

「そうね。最後にドイツに来たときね。」

何回かベルリンに来ることがあった。

「いつも来てくれる時、よく喋るし笑顔が素敵だったわ。」

「もう来るなんて無いです。ウェルナーと私は関係ない人間なので。」

「でもしばらくあなたにお世話になるわ。」

彼女はワインを飲んだ。食事が終わり、作戦会議をした。

「イギリス人女性の名前は?」

「エミリーよ。」

「連絡先は分かる?」

「交換してないわ。いらない本だと思って渡しただけよ。」

「他に連絡出来る手段は?」

「無いわ。」

「そんな。うそだろ…」

イェニーとエックハルトは呆然としていた。


エイミーは夫とチェコに住んでいるイギリス人女性だ。

「スペイン旅行また行きたいわ。素敵な思い出たくさんあるわ。」

スペイン旅行の時の写真をたくさん眺める。

「何この顔?面白すぎるわ。」

「俺はそう言う顔の男さ。」

わざと変な表情をして旦那のチャールズはエイミーを笑わした。

「私はとんでもない人と結婚した女なのね。」

「そうだ。エイミー、捕まえるぞ。」

変顔をしながら、チャールズはエイミーを追いかける。彼女はベッドに隠れた。

「見つけたぞ。」

「きゃー、ちょっと何よ!」

二人はくすぐり合った。

「エイミー!」

「チャールズ!」

二人はキスをした。また追いかけっこをした。エイミーは何かにつまずいて転ぶ。

「ハニー、大丈夫か?」

「これくらい平気よ。」

仲睦まじい夫婦だ。

「その本どうしたんだ?」

「これ、バルセロナ観光してた時にフリアっていう女の人から貰ったものよ。お土産で良いなと思ったけど、スペインに観光に来たはずなのにドイツ語の本よ。」

「読めない本を貰っても意味ないな。何でドイツ語の本なんて渡したんだ?」

「よく分からないわ。基本初対面の人からもの貰うこと無いけど、今回は良い思い出になると思って貰ったわ。だけど読めなきゃ意味がないわね。」

本をめくりながら話す。

「結構見た感じ古い本だな。」

「そうね。」

最後のページまで開く。すると何かが書いてあった。

「これ、メールアドレス?何でこんな所に?」

「さあな。メモ代わりに書いてたこと忘れたんじゃないか?」

エイミーは書いてあるメールアドレスを写真に収めた。

「そんなことより、さっきの続きするぞ。」

二人は抱き合った。

「この時間が楽しいわね。」

二人はベッドで抱き合いながら話した。


フリア達は中々手がかりをつかめずにいた。

「警察に捜索願い出した方が良いんじゃないか?」

「警察は嫌いだけど、一応やってみるわ。」

「そうだ。みんなで協力してエイミーって人をインスタグラムで探すのはどう?」

フリアは提案した。

「一人だときりが無いけど、4人で探せばきっとたどり着くわ。」

「そうは言っても顔を覚えてるのは君だけなんだぞ。」

「とにかくそれっぽい人がいたら私に見せて!」

4人でエイミーを探すことになった。

「エイミーってこのエイミーかしら?」

「違うわ。」

「フリア、このプロフィールの女性は?」

「この人じゃないわ。」

手当たり次第探す。

「この人はどうだ?」

「そんな顔の人じゃないわ。彼女はブロンドヘアの女性よ。」

「ブロンドヘアならこの人は?」

「違うわ。そもそも眼鏡なんてかけてなかったわ。」

「もうきりがないぞ。」

「しょうがないでしょ。それとも他に何か良い案でもあるわけ?」

「良い案なんて無いよ。」

「それならこの方法しか無いわ。」

「ちょっと疲れた。休憩しよう。」

全員手を休めた。

「お貸し出してくるわ。」

チョコレートをみんなに配る。

「神経を使う作業したらチョコレートが良いわ。」

「通訳並みに頭使うな。」

「通訳したことあるの?」

「若い時お祖父ちゃんのモゴモゴ聞き取りにくい声を通訳してたけどな。」

「あなた、お祖父様を何だと思ってたのよ。」

フリアはウェルナーの方を向いて言った。

「ウェルナー、本さえ見つかればもうこれで終わりよ。」

「一生会いたくないということか?」

「会うのは無理だわ。」

「まだお前に対して気持ちがある。気になってる人はいるのか?」

「いたわ。本が好きでかなり詳しい架空の人物だったけど。」

「そいつは今まで見た男の中で誰に似てる?」

「ウェルナー!助けて!」

「あんたの母さんが呼んでるわ。」

ウェルナーはイェニーのもとに来る。

「母さん、どうしたんだ?」

「猫が家に入り込んだわ!」

「母さんビビり過ぎなんだよ。」

イェニーは犬や猫があまり得意じゃない。

「さっき私にくっついて来ようとして気絶する所だった。早くどこかに追い払って。」

「猫は母さんなんてこれっぽっちも興味ないから。」

渋々と猫を隣の部屋の男性のもとに戻した。

「どこから入り込んだのかしら?」

「うちの家と隣の家族の間に穴を開けて猫の通り道を作ったのよ。」

穴を指で指した。

「結構大きな穴だな。」

「私が作ったのよ。」

「あんた正気なの?」

イェニーが動揺した。

「何が問題なの?」

「この会話隣に筒抜けなのよ!」

「安心して、ウェルナーとは聞こえない所でプレイしてたから。老人とは違うのよ。」

「そう言う問題じゃないわ。息子達の世代は侮れないわね。」

猫がまた入ってきた。

「出てけ!」

イェニーはすごい剣幕で叫んだ。

「私がいる間は穴は塞いでもらうわ。」

飾ってる絵を移動させて穴をふさいだ。

「これで入って来ないわ。それよりエイミーは見つかったのかしら?」

「全然手がかりなしよ。」

「母さん、これやってて意味あるのか?」

「探偵とか雇った方が良いじゃないか?」

「探偵は信用できないわ。」

「私もそれには同意だわ。」

携帯でエイミーを探してると、通知がたくさん来てるのに気がついた。

「最近バタバタしててメール見えなかったわ。」

メールを確認する。

「これってもしかして…」

「イェニー、どうしたんだ?」

「母さん?」

全員、イェニーのもとに行く。

「エミリーから3週間前メールが来てたのよ。」

「どんなメール?」

「もし良ければ一度お会いしてお話したいってね。」

「何で母さんのアドレス知ってるんだ?」

「知らないわ。エミリーが魔女かなんかなのかしら?」

「とにかくどこの誰か聞かないと何も進まないわ。」

メールを送った。しばらくするとメールが返ってきた。

「相手はチェコのプラハに住んでるわ。どうやら旦那がいるみたいで。」

写真をみんなに見せた。

「そうよ!エミリーはこの人よ!」

フリアが言った。

「このアドレスを知ってるのは本にアドレスが書いてあるからだって。」

「イェニー、わしらの希望が見えてきたな!」

「あなた最高!」

二人は抱き合った。

「とにかく会う約束しないと。」

メールでやり取りをしてチェコで会うことにした。

「向こうが会って欲しいみたいよ。向こうの自宅に泊まって良いみたいよ。」

「私もついて行くわ。」

「母さんと父さんだけだと心配だから俺もついて行く。」

「あんた達二人は良いわ。」

「いや、二人だけは危ないからついて行く。」

ウェルナーとフリアもチェコに行くことになった。

「電車と飛行機どっちが良い?」

「距離も遠いから飛行機が良いわ。」

この時、新たな不運な出来事に巻き込まれることは誰も想像していなかった。

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