書店
全員空港にいた。
「私はもうチェックインの手続きはじまるから、また連絡してね。」
メアリーはそのままタイに帰国することになった。
「メアリー、また会おう。」
二人は1分間キスをしていた。
「この二人いつまでいちゃついてるの?」
「また会うの約束だから!」
メアリーはみんなのもとを去る。
「次の搭乗手続きまであと1時間くらいね。」
全員空港を散策した。
「この化粧水安いわ。」
「肌に気を使うのね。そんなこと毎日気にしまことないわ。」
「その割には綺麗ね。」
「スキンケアとか化粧と気にするのは行事とかに参加する時くらいよ。今の子は小さい時から化粧するから不自然だわ。」
イェニーとフリアは二人だった。
「息子のことはまだ気になる?」
「完全には嫌いになれなかった。」
「戻る気持ちはある?あんたは魅力的なんだから良い出会いの一つや2つくらいあるでしょ。」
「分からない。」
フリアは本を落とした。
「別れてから、恋愛上手く行ってない。良いと思った人でもそりが合わなくて、恋愛にまで発展しないの。本が好きな人が良いわ。」
「それなら簡単よ。図書館に行くなり、本屋に毎日行くなり思わぬ出会いはたくさんあるわ。」
イェニーは本を拾って、彼女に渡した。
「思ってるほど世間は狭くないわ。だってメアリーとソジュンの二人が出会える機会だったあったんだから。」
「でも一緒に本を探すのは協力するわ。」
「何でそんなに協力するの?もう良いのよ。あなたが本を渡したこともう怒ってなんかいないのよ。過ぎたことだし。」
「そうしたいからよ。」
フリアは笑顔で笑いかけた。
「ウェルナー、机を使ったらちゃんと綺麗にしなきゃ。」
「何だよ。何も落としたりしてないぞ。」
「ちょっとゴミが残ってる。」
「ソジュン、お前は細かいな。ちょっとプラスチックで誰か倒れたりするのか?」
「ウェルナー、素直に言うことを聞くんだ。」
父親もそう言った。ウェルナーは細かいゴミをゴミ箱に捨てた。
「本当にメアリーって子女の子しか見えないね。」
「父さん、そう言うこと言うのは面白くないから。」
「何度も言いますが、メアリーは女の子ですよ。」
「悪かった。」
「僕に謝らなくていいので。」
周辺を散策した。するとイェニーとフリアと合流した。
「そろそろ列に並んだ方が良いわ。」
全員、列に並び出国手続きを済ませた。
「次は東京よ。まさかこんな旅する本があるなんて思えないわ。」
「映画みたいだな。」
飛行機に乗り、数時間で羽田空港に到着した。
「日本も初めて来たわ。」
「韓国もタイもだけど観光客すごい多いね。」
電車に乗って、中心地まで行った。
「まずは上野や浅草に行こう。」
ホテルに荷物を置いた。
「韓国も日本も面白そうな漫画ばかりね。」
「言葉が分からないのに漫画買うの?」
「言葉が分からなくても、日本に渡った記録になる。」
浅草はとても賑やかな雰囲気だった。でも古き良き姿があった。
「人力車乗りませんか?」
「お願いするわ。」
イェニーとエックハルトはお金を払って人力車に乗った。
「どうせなら着物でも着てみたかったわ。」
「君は何着ても私の女王さ。」
「映画の見すぎよ。」
「いや、本当のことだよ。本当にそう思ってる。」
軽く抱き合う。次第に強くなる。
「少し抱きしめすぎよ。」
「悪かったな。」
「お二人さん、写真撮りましょうか?」
人力車の車夫が後ろを振り向いて言った。
「せっかくなら、あなたも一緒に写って。夫の前に立って。」
「まずは二人だけの写真を撮りますよ。はい、チーズ。」
数枚写真を撮った。さらに車夫とも写真を撮った。
「最後までありがとう。楽しかったわ。」
二人は電車に乗って上野まで行った。
「美術館良かったわ。」
美術館に行った後にアメ横にも行った。
「これ何かしら?」
「鯛焼きですよ。」
「味はあんこの味とクリームの味があります。」
「あんこ鯛焼きとクリーム鯛焼き一つずつお願いします。」
中々食べない食べ物で新鮮な思いだった。
「魚の形のスイーツって発想が面白いわね。」
「この辺りは面白い食べ物が多いね。」
「そんなにいっぱい食べたら、余計ビール腹が悪化するわ。」
「そんなに太ってないぞ。」
「自分では分からなくても少しお腹が出てるわ。片手にビールのジョッキでも持ってる感じね。私の夫はビール腹だなんてここで叫ぶつもりなんてないわ。」
「そんなことやったら君のことを置いてどっかに行くよ。」
充実した一日になった。
「起きて、今日は例の書店が空いてるから準備しないと。ソジュンが案内してくれるのよ。」
「ちょっと待っててくれ。」
二人は鏡を見ながら隣り合わせで歯を磨いた。
「父さん、母さん、まだか?」
「ウェルナー!勝手に入るんじゃない。」
「そんなこと言っても、僕達家族だろ。それに少し空いてたから。」
全員、書店に向かった。
「本当にこの辺なのか?」
「そうですよ。ここら辺一体は古本の街なので。あと僕の日本の友達の綾人です。」
「どうも綾人です。」
「私はイェニーよ。隣が旦那のエックハルト。」
「こっちが息子のウェルナー、その後ろが息子の元カノだ。」
「すごい修羅場の予感だ。」
「あなた、そんなことまで言う必要なんてないでしょ。」
書店はとても古い建物だった。イェニーとエックハルトと同年代くらいの女性が店主だった。
「彼女は英語も普通に話せますので。」
「どういったようですかね?」
「ここは僕が説明します。」
ソジュンは店主に近づく。
「この前も綾斗が電話で言いましたが、僕が友達と本を売ってしまったんですが、その本この人達の大切な本なんです。代金は綾人か僕で払いますので返してくれませんか?」
「ああー、あの本か。」
彼女は立ち上がった。
「あの本だけど、この前売れちゃったんだ。」
「え?何だって!?」
「ちょっと何勝手に売ってるのよ。」
「すごい欲しそうにしてたから。」
「おばあさん、俺が電話で売り物にしちゃ駄目って言ったじゃないですか。」
「ただの本に見えるかもしれないけど、この本にはね。たくさん思い出が残ってるのよ。」
「少しだけ読ませて貰ったけど、ドイツ語はさっぱり分からないわ。」
「それで、本を買った人はどんな人ですか?いつ来たんですか?」
「2日前くらいにここに来て。じっくり見たあとお店を出たよ。」
「買った人はどんな人?」
「少し話したけど、カナダから来た外国人の女性よ。そこのお嬢様より5cmくらい高いと思うわ。」
「ちょっと待って。まだ日本にいるかもしれない。」
「そんなにその客と話したなら、何か連絡先とか知ってるの?」
「名刺みたいなの貰ったわ。探してみるわ。」
名刺を探しまくる。
「本が無事かも怪しくなってきたな。」
「変なこと言わないで。何としても取り返しに行くんだから。」
「見つかった!これよ!これ!」
名刺を皆に見せた。
「この人、画廊か何か開いてる人?」
「そうよ。」
記載されてるメールアドレスに連絡をした。すると返信が返ってきた。ウェルナーが確認する。
「待って!カナダに帰ってるんだって…」
「また国をまたいだのね。」
「もう聞けることは聞いたからこの店を出よう。」
全員お店を出た。
「これからどうする?」
「よく分からないけど、俺はこの件には深く関わってないから協力することは難しいな。」
綾斗が皆に言った。
「ソジュン、あなたはどうしたいの?」
「僕もこれ以上協力することは難しそうだから様子を見ることしか出来ない。」
「無理なんてさせないわ。でも本が見つかったら二人にも連絡するから。」
「私は行くわ。何だか私もあの本が見つからないと気がすまないから。」
フリアはついて行くことになった。
「俺はフリアが行くからついて行く。」
「何それ?真似しないでくれる。」
「そうさ。君の真似が好きなだけで、君のことが好きなわけではないから。」
「誰もあんたのこと好きだなんて言ってないわ。」
「でもあなたは息子のこと嫌いじゃないでしょ?」
イェニーも二人の言い争いに入った。
「嫌いならついて行かないから。」
ウェルナーは少し安心した。
「そうか。もう一度好きになれるように頑張るよ。」
数日間東京を観光しながら、カナダに行く準備をする。