表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/83

66話 妹の妹がやってきた part5

 目の前には告白の返事待ちの幼馴染。そして隣には、銀髪の巨乳の女の子がいるこの状況……。


 もはや修羅場という言葉しか出ない状況だった。


「友太?隣の女の子誰?」


 いやでも落ち着け……。クレアの妹だぞ……?馬鹿正直に言えば、優奈は許してくれるはずだ。


「優奈、こいつは……」

「ハロ~ハロ~。久野原友太君の彼女のエレナでーす」

「えっ」

 

 俺が正直に話そうと思った矢先に、エレナはとんでもない嘘を優奈にぶちまける。


 自分の顔から血の気が失せて青ざめているのを感じていた。


 待て待て今の優奈にそれはまずいって……。


「友太?どういうこと?」


 まるで壊れた人形のような動きをしながらこちらへじりじりと近づいてくる。


 今ならまだ誤解を解ける……。だからもうエレナは喋らないでくれ……。


「だから、ちが……」

「何言ってるのー?友太くーん?昨日一緒に寝たのにぃ……」


 衝撃的なカミングアウトをした瞬間に俺と優奈の間には凍える吹雪が吹き荒れる。


 なんてこと言いやがるんだこいつは……。


「ねぇ……友太……嘘だよね?」


 助けてくれ。優奈は泣き始めるし、エレナは調子に乗るしでもうめちゃくちゃだ。


 突然泣き出してしまった優奈にエレナは不可解な面持ちをしていたが、すぐに何かを察した顔をする。


「もしかして、貴方……」

「な、何よ……」


 急にエレナから話を振られた優奈は涙を拭いてこちらを向く。


「友太さんを狙ってましたね?」

「なッ……」


 的を得た的確な指摘に優奈は動揺する。


 エレナさん、大正解だよ……。


「でも残念でしたねぇ……。友太君は黒い髪の女の子より、私みたいな銀髪の女の子が好みらしいですよぉ?」

「嘘でしょ……」


 その場で膝から崩れる優奈。それを見て、エレナはしてやったりと言った表情でニヤつく。


 なんちゅうゲスイ野郎だ……。俺はエレナのゲスイいたずらに戦慄していた。


「ねぇ、友太?嘘だよね?」

「お……」


 誤解を解こうと優奈に向かって話そうとした瞬間、エレナは俺の口に人差し指を押し当てる。


「もうー。友太君から告白してきたのにぃ……」

「だからちが……」

「それにぃ……。これからホテルでしょ?」

「な、何を言って!!」

「友太!!!」


 我慢できなくなり、掴みかかってきた優奈だったがそこに救世主が現れる。


「おーい、2人ともー」


 クレアがこちらに向かって走ってきたのだ。


 良かった……。良いところに来てくれた。


「クレアさん……」

「あれ?みんなどうしたの?」


 状況を把握できていないクレアに全部説明し、優奈にもエレナの事を話した。


「なんだ、クレアさんの妹だったんだ……」


 話を聞いて、ほっとした優奈の目には輝きが戻る。


「エレナ?優奈さんに何を言ったの?」

「別に失礼なことは言ってないヨ」

「嘘つけ、嘘を……」


 ぽこっと軽くを頭を叩くと、てへぺろと言うような表情をして反省していないようだった。


「ねぇ、友太君。エレナは何をしたの?」


 正直黙っていても良かったのだが、またクレアが鬼のような形相をしていて後で何をされるか分からないし、エレナも反省をしていないようだったので全て洗いざらい話すことにした。


「エ~レ~ナ~!?」

「ひぃ!!ごめんなさい、ごめんなさい!!」


 怒りが爆発したクレアから説教されるエレナはかなりしなびれていた。


 こうなるくらいなら、こんな事しなきゃ良かったのに。


「本当にそっくりだね。2人とも」

「そうだな。俺も最初家に来たときは見分けもつかなかったよ」

「ところで、友太……。黒髪より銀髪の娘が好きなのって本当?」


 つい先ほどエレナの嘘だと説明したばかりなのに、優奈はとても気にしている様子だった。


 そう話す優奈の顔が、凹んでいるところを見るていると、相当ショックだったのかなと思ってしまう。


「別にそんな訳はないよ……。ゲームのキャラの話って言うだけだよ」

「本当に……?」

「本当だよ?あんまりエレナの話を真に受けるなよ?」

「良かった……」


 慰めるように、俺はそう優奈に話す。


 はぁ、本当にエレナは面倒なことをしてくれた。今優奈は俺に対して相当神経質になっているというのに。


 そんな話をしていると、突如として誰かのスマホの着信音が鳴り響く。


「あ、私だ」


 スマホを取り出し、優奈は即座に画面を見ると青ざめた顔をして慌て始める。


「やばッ……。早く行かなきゃ……」


 どうやら、優奈の両親が呼んでいるのか、床に散らばった荷物をまとはじめた。


「じゃあ私はここで……」

「また学校でー」

「ぐっばーい」

 

 俺とクレア姉妹は手を振って別れると、優奈は急いで改札の向こうへ走り去っていき、2人の大人の男女に合流していた。


 ていうか、エレナがいる状態で優奈の母に会わなくて良かった……。会ってたらマジでやばい事になっていたぞ?


「それじゃあ、私達もイノン行こうか」

「おう、そうだな」

「行こう、行こうー」

 

 優奈を見送った後、俺達はバス乗り場に行き、イノンの直通のバスへ乗り込んだ。


 席へ座った瞬間、ポケットに入っていたスマホが振動する。


 どうやら優奈からのLINEのようだ。


『友太、早く返事お願いね?』


 早く返事しろって言われてもなぁ……。まだ考えてる途中だし……。そう簡単に返事ができる事じゃないんだよなぁ。


 とりあえず今言える事を返信する。


『わかった、もうちょっと待ってくれ』

『うん。待ってるね』


 その返事を見た後、スマホを片付けようとすると、もう一通返信が返ってきた。


『後、浮気は絶対許さない』

『は、はい!!』


 殺気だったメッセージに俺は、咄嗟にそう返信をした。


 まだ付き合ってもないのに、浮気は許さないってどういうことだよ……。


「はぁ……」

「どうしたの?友太君?」


 呆れてため息を付きながらスマホを片付ける俺に2人は心配そうな顔で見つめて来る。


「いやなんでもない」

「あー、さっきの優奈って人から怒られたんですねー?あちゃー」


 さっきのように俺をからかうエレナの頭にクレアの鉄拳がさく裂する。


「いったぁ……」

「またさっきみたいに怒られたいの?」

「ごめんなさい……」


 泣きながら謝るエレナを見て、こいつ本当に学習しないなと俺はほくそ笑んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ