65話 妹の妹がやってきた part4
お風呂に入った後、パジャマに着替えたエレナと俺はリビングのソファに座り、エレナの持参したゲームハードで妖神のマルチプレイをしていた。
「お兄さん強いですね……」
「まぁそれなりに」
2人で1つのモンスターを倒し、近くにあった俺の拠点に入った時、エレナは自分のキャラを操作しベッドへと寝転がる。
「ほら私の隣開いてますよ?」
「行くか!」
ベッドへ転がるエレナのキャラを自分のキャラで攻撃しながらツッコミを入れると、エレナのキャラも反撃してくる。
「私のアラブレアちゃんを!!ひどい!!!」
攻撃してくるエレナのキャラを避けながら、ベッドを見て「あ、そう言えば」と言いながら忘れていたことを思い出す。
「お前どこで寝るんだ?」
「どこか開いてないのですかー?」
「布団がないんだよ」
この家には部屋はたくさんあるが、布団が俺と父さんが住んでた関係で2つしかないのだ。
「じゃあお兄さんの布団で一緒にー」
元気よくそう言った瞬間に、お風呂へ入っていたはずのクレアが「ダメ!」と言いながら、急いでリビングに入ってきた。
なんちゅう地獄耳。
「友太君、駄目だよ?エレナは年頃の中学生なんだから……」
「えーでも、お姉ちゃんはお兄さんと添い寝したことあるんでしょう?」
ニヤついた顔でエレナはそう聞くと、クレアは「そ、そんな事ないよ」と言いながら焦った顔をする。
ここへ来た初日にお前から俺の布団に入って来たの忘れてないからな。
「本当かなぁ……?」
「ほ、ホントウだヨ」
「お姉ちゃんなら、やりそうなんだけどなあ。ねぇお兄さん?」
いやこっちに話を振ってくるなと俺はエレナの話を無視した。
ねぇーと言っても話してくれず、諦めた顔だった。
「絶対してると思うんだけど……。まぁいいやリビングのソファで寝るよ」
「友太君?毛布ならあるんじゃない?流石に何もなしで寝るのは風邪引いちゃう……」
「まぁ、毛布なら……」
急いで2階に上がって、物置部屋に入り、戸棚を開けるとすぐに毛布を見つける。
それを持ってエレナの元へと持って行く。
「これでいいか?」
「ばっちぐーですー」
無事これでエレナの寝床問題は解決した。
だが、クレアは何か不安があるのか、毛布を渡した後も心配そうな顔をしていた。
「今日はいろいろあって疲れた。とりあえず明日に備えて早く寝よう……」
俺は自分の部屋に戻って、吸い込まれるようにベッドへ入るとすぐに目を閉じた。
暫く経つと、もぞもぞと何か布団の動く音がした。え、何?ゴキブリ……?
流石に、この布団の中でご対面はしたくないな……。目をつぶってそのままやり過ごそう……。
だが、少し経って腕にプ二っと柔らかい物の当たるような感触が伝わってきた。
まさか……と思い目を開けると。
「エレナ!?」
「いやーバレちゃいましたかー。もっとお兄さんの寝顔見たかったんですけどね……」
信じられない夢かと思った。今日出会ったばかりのしかも中学生の女の子に添い寝されるなんて……。
こんな場面、誰かに見られたら速攻通報案件である。
「いやぁ……。一人じゃ寂しくて……」
「じゃあ、クレアの所へ行けばいいだろ?」
「いやぁ行ったんですけど、鍵がかかってまして……」
しまった……。鍵をかけていなかった……。
こうなることを見越して、鍵をかけておけば良かったと、未熟な自分の頭脳のなさを呪った。
「とりあえず、朝までお世話になりますー」
「お世話になります!じゃねーんだよ!!出ていけ!」
静かに目をつぶろうとするエレナを、俺は足で蹴り落そうとするが、がっしりとしがみついてなかなか落ちなかった。
「いやです。中学生の女の子をあんな暗い部屋に放置プレイするんですかぁ?」
「放置プレイってなんだよ!」
布団の中で、そう言い合いながらひと悶着していると、突如としてドーンという音を立ててドアが開く。
「やっぱり来てた!!」
「クレア!?」
「やばッ……。お姉ちゃん来た!!」
慌てた様子で、エレナは布団から出ようとするが、もう遅かった。
かなりクレアはご立腹の様子で、づかづかと俺の部屋へと入ってくる。
「えっと、お姉ちゃんこれはその……」
「私も友太君と一緒に寝る」
「はぁ!?」
なんでこうなるんだ……?
いつの間にか俺はクレアとエレナの姉妹に挟まれて川の字になっていた。
「やっぱり、お姉ちゃんも一緒に寝たかったんじゃんー」
「当たり前じゃん……」
「もしかして、お兄さんの事好きだったりするの?」
いやいやいきなり何てこと聞いてるの?エレナさん??
「もちろん、大好きだよ」
うっそー!!??クレアも俺の事好きだったのー!?今めっちゃ優奈の事で悩んでるのにどうすればいいんだよ。
「家族としてだけど……」
「なーんだ……」
エレナはつまらなそうな顔をしていたが、俺はほっと一息ついた。
あー良かった。家族としてで……。
「明日早いから、俺は寝るぞ」
目を閉じて寝ようとすると、左の方からエレナが俺の腕へたわわに実ったものを当てる。
「ひゃう!!」
「お兄さん?どうですか?私はお姉ちゃんより大きいんですよ?」
あーやっぱりですかというツッコミは置いておいて、俺は正気を保ちながら寝よう試みる。
だが今度は右側から、クレアが自分のたわわ実ったものを当てて来る。
「私も大きいもん……。エレナよりは小さいかもしれないけど……」
そう悲壮感漂うようなセリフを吐きながらクレアは不貞腐れていた。
「中学生に負けて恥ずかしくないの?お姉ちゃん……」
「うるさい……。これからまだ大きくなるもん」
「私もまだ大きくなるから、一生追いつけないじゃーん?」
「お尻の大きさなら勝ってるもん!」
「じゃあお兄さんに触ってもらいましょうかー?」
「そ、それは……」
等と男子に聞かれたら恥ずかしい内容を言い合う姉妹喧嘩を俺を挟んで行われていて眠れなかった。
だがここ兄として妹に負けるわけにはいかない……。気にするな、気にするな……。
気にしたら負けだぞ?俺……。だが……。
「眠れなかった……」
男として、やはり性欲と言うものには勝てなかった。
「おはようございまーすー。お兄さん」
「お、おはよう……」
俺はすっかりやつれていた。
「やつれてますね?大丈夫ですか?」
「お前のせいだ……」
モンエナを片手にエレナを睨みつけながらそう言う。
くっそ……。クレアもクレアだ。「大丈夫?」と心配してくれたがお前も原因の1つではあるんだぞ?




