51話 6人で別荘に行った part1
小原が居なくなった後、優奈とクレアと同じ机でお弁当を食べながら喋っていた。
ベレー帽の女の子の事を、小原に聞いてたことが優奈にバレていないかひやひやしながら戻ったが、バレていないようだった。
「私、三瀬川さんとは喋るのも初めてかも……」
「私はこの間、友太君と買い物している時に会って喋ったことがあります。すごく優しい方でしたよ?」
「そうなの?」と聞いてくる優奈に対して、俺は「おう」と頷く。
確かにクレアの言う通り、おしとやかで礼儀正しく、とても優しい女の子だった。雰囲気は大和撫子という感じで小原とは全く逆の人種と言った感じだ。
「でもなんで、三瀬川さんの別荘に小原君がいくの?あの二人接点あったっけ?」
首を傾げて、優奈は僕らに聞いてくる。あーそうか、言ってなかったか……。
「あの二人付き合ってるんだよ……」
「へ……?」
そう言うと優奈は鳩が豆鉄砲を食ったような表情をする。よっぽどあの二人が付き合ってる事に驚いたのだろう。
そうだよな、誰もあの2人が付き合ってるなんて思わないよな。
「優奈さん?大丈夫ですか?私も最初聞いたときはびっくりしました」
クレアが顔の前で手を振ると、ようやく優奈は復活する。
「意外な組み合わせだね……。どうやって知り合ったんだろう?」
「三瀬川にそれも聞きたいな」
あの真逆の2人がどうやって付き合う事になったのか、本当に気になるな……。意外と小原が三瀬川に猛烈アタックしただけたったりしてな。
ふと窓の外を見ると廊下をあの時のベレー帽の女の子が歩いているの見えた。だがこちらに気づかず、別の教室へ歩いて行ってしまった。
歩いて行った方を見る限り、恐らく俺と同じ年齢であることは間違いなさそうである。本当に何者なんだろう?
「友太?どうしたの?」
不思議そうな目で優奈はこちらをじっと見つめていた。
「い、いやなんでもない……」
危うくベレー帽の女の子を見ていたところがバレるところだったぜ……。
でも優奈があんだけ毛嫌いしているという事は、優奈にとっても何かあるという事だよなぁ……。それも含めていろいろ気になるな。
「それにしても、水着まであるなんて相当すごいところよね」
「でも向こうにある水着、私にサイズ合うかな?」
大きくたわわに実った果実を自分の手で触りながらクレアは、心配そうな顔をする。
クレアが触るたびに、たわわに実った果実がバランスボールのように上下にはねていた。
「そ、そんなにでかいの?クレアさんの胸……」
はねる大きな果実を見て、優奈は震えた声でクレアに問う。
こらこらクレア揺らすな、揺らす度に優奈がダメージを負ってるから。
「はい……。実はKカップあるので今まで着てきた水着全部千切れちゃったんです……」
「け……Kカップ!?」
流石外国人だなと言ったところだろうか?いやいやそれでもクレアは大きすぎるよな?
あんな胸を支えられる水着なんてそうそうないぞ?今付けてる下着もよく耐えてるな……。
「友太、何想像してるの?」
「友太君のえっち」
睨みつけている優奈の隣で、少し顔を赤らめて笑顔でそう囁くクレア。
ダメだ……。あんな胸を見てしまったら、初日のお風呂の事を思い出してしまう。忘れろ俺。
「想像してません……」
「嘘ね」
「嘘だね」
バレバレか……。もう全てクレアのせいだ……と思う事にしようと。
「またどこかで二人でクレアさん用のを買いに行きましょう。変態友太には内緒で」
「そうですねー。予備に買っておいた方がいいかもしれませんねー」
2人はわざと俺に聞こえるように口約束をしていた。
水着……。楽しみだな。
旅行当日。俺達6人は特急電車に揺られていた。まさか中原の部活が丁度イベント終わりで数日休みになっているとは……。
席は女4人と、男2人で隣り合って座る形となっていた。それにしても小原は寝ているけどよくこんな揺れてるの寝られるな……。
「三瀬川、本当に良かったのか?俺達がお邪魔して、2人の方が良かったんじゃないのか?」
「いえ、2人だと味気なかったので……。それに久野原君やクレアさんの事がすごく気になっていたので」
「気になっていた?」
そう笑顔で三瀬川は言っていた。こんなただの何の変哲もない、言うなれば陰キャ高校生を気になる事なんてあるんだろうか?
「で、久野原君、クレアさんと一緒のベッドで寝たりしてるんですか?」
「ぶーッ」
唐突な質問にタンブラーから飲んでいたお茶を吹き出してしまう。
勘弁してください三瀬川、さっきまで楽しく談笑していた優奈と中原が俺の方を睨みつけてます。
「私と友太君は、別の部屋で寝ていますよ」
済ました顔でクレアは三瀬川の質問に答えた。普通の回答で良かったとほっと胸をなでおろした。
「でも、友太君の家に来た初日は……。一緒にベッドで……」
「おい!!」
こいつ言いやがった!つい座席から立ち上がって声を出してしまった。嘘だろ……?普通はそう言う事って自分の心の奥底にしまっておくものじゃないの!?
優奈と中原を見ると、「へー」「ふーん」と2人で声を合わせながら俺を睨んでいた。なんか黒い靄みたいなのが体から見えるような気がするのは気のせいだろうか?
「あらぁ……。そうなんですね!じゃ、じゃあお風呂とかは……」
思いがけない回答をもらって、嬉しくなったのか、目を輝かせて、鼻息も荒くしながらクレアへさらに質問する。
「お風呂も……実は友太君の家へ来た初日に……」
「ちょっと!?」
「あら、あらぁ……、クレアさんもっと聞かせてくれませんか?」
「もうやめてぇ!!」
顔を赤らめながら答えるクレアに、よだれを垂らしながら三瀬川はクレアにもっと質問しようとする。
なんなんだよぉ。そんな事聞いて何になるって言うんだよ。
「友太?後で話がある」
「シスコン久野原」
もう勘弁してくれ。2人からは蔑んだ目で見られるし、クレアからは全部バラされるし、もう嫌だ……、帰りたい。
「ん?なんだ……?」
少し騒がしい事に気が付いたのか、小原が目を擦りながら目覚める。
「なぁ、三瀬川が暴走してるんだよ……止めてくれよ」
興奮しながらクレアに質問攻めをする三瀬川を指を指すと、小原は「あぁ……」と寝ぼけながら納得する。
「アイツ実は兄妹が好きで、熱が入りすぎると俺でも止められなくなるんだよ」
「嘘だろ?」
「だからあきらめろ」
今日俺達が誘われたの、なんか理由が分かったような……。
別荘でも一波乱がありそうだ。




