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46話 幼馴染の家でパーティーをしたpart4

「さすがに言い過ぎじゃないか?」


 桃香が居なくなったキッチンで、戸棚からコップを取り出して麦茶を注ぐ優奈に問う。


「友太は優しすぎ、お母さんにはもっと強く言わないと、わかってくれないよ?」

「そりゃそうだけどさ……」

「自業自得ね……」

「いや何がだよ」


 腕を組んでほら言わんこっちゃないと言った顔で、中原が言い聞かせて来る。


 別に優しい事の何ダメなんだ?


「まぁ、でも面白いお母さんでしたねー」


 ゆっくりと麦茶を飲む優奈の隣でごくごく飲みながら、少し面白おかしく笑いながら言う。


「ずっと一緒に居ると分かるよ。あの人の鬱陶しさが……」

「あははは……」


 毒舌を言う優奈に愛想笑いをするクレア。これが優奈の本当の怖さだぞ?わかったか?


 もう絶対あの時みたいに怒らせてはいけないぞ?本当に頼むよ……。


「とりあえず、パーティの続きやろっか」


 優奈は立ち上がって、コップ洗って片づけて部屋へ戻ろうとする。

 

「てか、クレアはもう平気なのか?」

「うん、平気ー」


 笑顔で、体を使って平気アピールをするクレア。さっきより顔もしっかりとしているしもう大丈夫そうだ。


「まぁでもとりあえず、麦茶はもっていくよ」


 俺は麦茶が入ったアクリル冷水筒を持ち、3人と一緒に優奈の部屋に戻ってパーティーを再開したのだった。



 



 陽も落ちてきたころ、俺達はパーティをお開きにして解散の流れとなっていた。机にあんなにもたくさんあったお総菜は4人でほぼ食尽くしてしまっていた。


「こうやって大勢で集まるの久しぶりだったから凄く楽しかった」

「私もです。また4人で集まってやりましょうねー」


 この場にいる全員の顔を見ながらクレアは言う。それに対して俺達は「そりゃもちろん」と返した。


 でも今度は、優奈の家じゃない所がいいな……。


「優奈さん、せっかく親睦を深めたんですから、中原さんをあのグループに招待しませんか?」

「そうだね。奈津季入る?」

「グループ?」


 紙コップに入ったジュースを飲みながら、中原は何それと言った感じの顔で聞く。


 まぁそりゃ急にあのグループって言われたら何の事だかわけわかんないよな。


「まぁ友太と仲良くなった人たちを集めてるグループみたいなものだよ」

「じゃあ私は入れないじゃん」


 確かにこいつは俺に面と向かって嫌いと言うようなやつだ。正直仲良くなったとは思えない。


 だか優奈は微笑みながら中原に近づく。


「でも奈津希? 友太の家に手作りの料理を届けたんでしょ? 忘れ物しやがってー嘘ついてまで届けに行くなんてー。仲良いねぇー」

「はぁ? ちょっと待って? 何でそれを!? まさか久野原君、優奈に話したわね?」


 優奈の口からの不意打ちに驚いた中原は、すぐに俺の方を向いて睨みつける。


「いや、てか優奈に話してなかったのかよ」

「言ってるわけないじゃない!そんな事!!」


 2人で言い合ってると、クレアと優奈は「仲良しですね」と口々に微笑みながら言い合っていた。


「本当にあんたの事嫌い……。クレアさん? そのグループに招待して。久野原君がやった悪事を全部話すから」

「いや悪事って何だよ」


 「はーい」とクレアが返事をしたと同時にまるでもう手元で準備していたかのようにスマホを操作するクレア。


『中原奈津希が久野原フレンズに入室しました』


 早い……。もう入ってきた。やっぱりクレア、スタンバってたな?


 そういえば中原のLINE交換したことなかった。この機会に追加しておくか。グループには動物のスタンプが中原から送られてきていたので追加するべく、プロフィール画面を表示させると。


「自撮り……」


 トプ画には中原の自撮り写真が設定されていた。初めて見た……。ちなみにクレアは花で、優奈は猫である。


「何?悪い?」


 ドン引きしていると勘違いしたのか、中原は機嫌を悪くする。


「いや、別に悪くねーよ」

「自撮りすごく可愛いってさ」

「な、な、な……」


 優奈の言葉に中原は顔を一気に紅潮させる。やっぱりこいつ可愛いって言葉に弱いな?でも俺はそんな事言ってないけど。


「でも、友太? 奈津希は髪の毛が長かった頃も可愛かったんだよ」


 そう言って、スマホを操作してグループLINEに貼ってきたのは、優奈と中原の2ショット写真だった。そこに写っている中原は確かに腰の当たりまで長くて、綺麗な髪の毛だった。


「中原さん、可愛いー」

「ちょ……優奈勝手に貼らないでよ……」


 恥ずかしそうに、中原は優奈に消すように訴えかけるが、「いいじゃん別に」と言って聞く耳を持っていなかった。

 

「で、どっちの奈津希が好き?」


 また優奈は俺に二択を迫らせやがって……。だが俺が答えるべき回答は。


「ど……」

「どっちもはなしだからねー?」

 

 ふふんと鼻息を荒くしながら答えを待つ優奈、余計なことを言ったらどうなるかわかってるよな?と言いたげな顔で俺を睨む中原。そしてどう答えるんだと楽しみに待つクレア。


 どうすればいいんだ……。でも正直言って長い髪の毛中原は違和感がある。まぁ今の中原が見慣れてると言うのもあるが……。となると。


「う……うーん。今の中原かな……」

「だってさ、よかったね奈津希」

「ふ……ふん……久野原君のくせに生意気……」


 と口では言っているが、表情は満更でもなかった。良い選択ができて良かったな俺。









 

 さて陽が沈み、パーティが終わって4人でお総菜の残骸を片付ける。本当にあっという間だった。楽しい事をしていると時間が経つのは速いんだなと感じさせられるひとときだった。


 隣では優奈とクレアが楽しそうに、次はいつやる?と話していた。


「本当に仲良いわね二人とも」

「まぁな。前に大喧嘩したときはどうなる事かと思ったけど、仲良くなってくれ良かったよ」

「そうだったの? でも良かったじゃない」


 俺が、ゴミ袋を縛る横でテーブルを拭きながら、笑顔で話す中原だったが、ニンマリと仲良く話しながら片付ける二人の姿を見ている俺を見て「うわぁ」と感情が冷めた声を上げる。


「なんだよ」

「優奈とクレアさんを見るあんたの顔がきもかった」


 態ととわかるように気分が悪そうな表情をしながら、中原は俺に話す。

 

「そんなにきもかったか?」

「吐き気がするくらいきもかった」

「いやそこまで言う事ないだろうが……」

 

 泣きそうな顔で俺は中原に訴えかけると「めっちゃ真に受けてる」と言いながら中原は含み笑いを始める。


 それを見た俺は流石にカチンと来てしまった。

 

「お前なぁ。いっつも、いっつもムカつく事言いやがって!」

「なによぉ……。ただの冗談なのにー」


 ブチギれる俺に不貞腐れた様子で、口をとがらせていた。


「本当かよ……? 信じられないんだが……」

「だって、あのLINEグループにも入ってあげたでしょ? だからこれからは仲良くしよ?」


 さっきまで悪事を全部書いてやると言ってたやつが何言ってんだか……。でも正直こいつには感謝しているところもあるしこのまま仲悪くのはちょっと嫌な気もする。


 仲良くしよ?と言ってくれてるし、俺もそれに応じるとするか。


「まぁ、俺もお前とは別に仲良くなっても良いかなって思う」

「は? やだ」

 

 俺がそう言った瞬間、中原は急に蔑んだ目で見る。


「いやいや何で!?」

「あんたから言われると、寒気する……」

「やっぱさっきの言葉、撤回だ」


 ダメだやっぱりこいつとは仲良くできないや……。


「友太君と中原さんも仲いいですねー」

「そうだね、奈津希と友太はすごく仲の友達になりそう……」

「ならねーよ」

「ならないよ」


 声が重なり合う俺と中原を見て、優奈とクレアは笑いながら「仲良いじゃん」と2人で声を合わせて言う。


「仲良くねーよ!」

「仲良くないわよ!」


 悔しいかな、こちらもクレアと優奈と同じようにまた声を合わせてしまったのだった。これが俗に言う喧嘩するほど仲が良いってやつなのだろうか?いや絶対違うな……。こいつとはそりも合わないし仲良くなる日来ない気がする。


 その後、それぞれ余ったお総菜を4人で分け合って解散し、クレア主催のパーティーは終了する。本当にいろいろあったけど楽しかったな。だが、もうこれ以上優奈と中原以外に友達を増やすのはごめんだ。中原とも仲良くするのも嫌だったのに結局仲良くしてしまった。


 優奈……。もうこれ以上お前の友達を紹介するのはやめてください。

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