44話 幼馴染の家でパーティーをしたpart2
「友太君あーん」
オードブルを食べていると、隣に座っていたクレアが唐揚げを箸で掴み、俺の口まで運び口を開けるのを待っていた。
「だから優奈が見てるって……」
「いいじゃん別に、兄妹なんだからー」
とクレアはご機嫌そうに言っているが、優奈は俺を睨みつけながら、オードブルの中に入っているウインナーに箸を何度も、何度も突き刺していた。
ムカつく気持ちはよく分かるけど、ウインナーを何度も突き刺すのはすごく寒気がしてくるからやめて!
「ほーら早く食べてー」
前から睨みつける優奈の事を、全く意に介さない様子でクレアは無理やり食べさせようとする。
「わかった、わかった。食べるから!」
圧しに負けた俺は仕方なく「あーん」と言いながら口を大きく開けると、すぐにクレアはゆっくりと唐揚げを俺の口に入れた。
「美味しい?」
「う、うん。美味しい」
ようやく終わったと安堵のため息をつくと、今度は前から箸で掴まれたミートボールが運ばれてきた。
「友太、あーん」
今度は優奈の番かと、俺は心の中で頭を抱える。妹とあーんしたんだから次は幼馴染ともやろうねってか……。
ぐぬぬ……。しょうがない、優奈の機嫌を損ねないためにもここはやってあげよう。
クレアと同様に「あーん」と言いながら口を開けると、すかさず箸で掴まれたミートボールが口の中に入ってくる。
「美味しい?」
先ほどまでの鬼のような形相だったのが嘘のように、天使のような微笑みを優奈は見せる。
「すごく美味しい」
「ありがと」
機嫌良く優奈はお礼を言う。本当に怖いよこの人……。マジで機嫌損ねないようにしないと……。
ていうかそろそろ自分の箸で食べさせて。
「友太君、次は私だよ」
交代制でしたか……。そろそろ自分で食べさせてくれ。
そんな俺の思いも届かず、クレアはどれにしようかなーと俺に食べさせるオードブルのお総菜を悩んでいた。
悩んだ末、シューマイを箸で掴んで持ち上げようとするとうまくつかめてなかったのか、シュウマイが箸から落ちて、ピンク色のニットの大きく膨れた果実の頂上に着地する。
流石クレアの大きく膨れた果実である。着地したシュウマイは微動だにせず安定して頂上に鎮座していた。
「友太君、どうぞ」
「はぁ!?」
いやいやどうぞじゃないんだよ。何で乗せたまま差し出してくるんだよ。
「クレアさんさすがにそれはちょっと……」
何か様子がおかしい。優奈も俺と同じように感じたのか少し引いた顔をしつつ、クレアを止める。
「そうですか?じゃあ……」
そう言いながら指で服に乗ったシューマイを自分の口に運ぶと、何を血迷ったのか服をたくし上げる。
目の前にプルンと震えるピンク色で白のレースがあしらわれた布に覆われた白く柔らかそうな大きな果実が現れた。
「!?」
「クレアさん!?何をする気!?」
慌てている俺達を他所に、クレアはその果実の上に再度シューマイを乗せて、俺の前に差し出してきたのだ。
「友太君、これなら食べられるでしょ?」
「ダメ、流石にそれは一線を超えてしまうから」
慌てた優奈は立ち上がって俺の隣に移動して、引っ張ってクレアから離そうと遠ざける。
ダメだ、もう脳が追い付かない……。一体今何が起こっているんだ?
「友太くーん。こっちだよー。ほーら早くたーべーて♡」
そう言いながらクレアは、俺を逃がすまいと逆側の腕を掴み、自分の方向へと引っ張る。
やっぱりなんか様子がおかしいぞ?顔もなんか開始当初より赤い。しかもいつもと違って積極的になっている。
「痛い、痛い。お前ら引っ張るな!!」
「だって、離したら私の部屋で妹と一線を超えてしまうから!!」
「逃がさないよ~?友太く~ん!」
両方から2人は俺の腕を綱引きのようにもの凄い力で引っ張る。
「クレアさん、本当に落ち着いて!私の部屋でいやらしいことしないで!」
「もう、早くしないと風邪引いちゃーう!!」
クレアは声を大にして言い放ち、勢いよく引っ張ると、もう片一方の腕を掴んでいた優奈ごとクレアに引っ張られてしまう。
「う、うわああああ!」
「ちょ……いやああああ!!」
ドシーンと言う鈍い音ともに、俺はクレアの白く柔らかいたわわに実った果実の上へに倒れてしまった。
「いてて……」
「友太君。いい子いい子……」
クレアは俺の頭を優しく撫でて、満足したのか俺を抱きしめてそのまま気持ちよさそうに眠ってしまう。
今のうちにと思って、起き上がろうと腕をほどこうとするが、やはりかなりの力でがっちりホールドされていてほどけない。
何でこんな事に……と思いながら、ふと机の下を見ると、ギラギラと反射するお菓子の袋を見つける。
「チャラグミ……?」
遠目で見ても、わかるくらい大きな文字で書かれてるそのお菓子の袋は、恐らくクレアが買ったものだろう。という事はクレアが変になった理由もあのお菓子にが原因であることに違いない。
左手は何かの下敷きになっていて動かせないので、右腕を机の下にあるお菓子の袋に手を伸ばそうとすると、「んっ……」と言う息遣いが混じった声を優奈は出す。
「ちょ……優奈変な声出すな……いてて」
「友太……どこ触ってるの……変態!」
「そんな事言ったって、わからねーよ!!」
恐らく、左手にツルツルの布のような感触とがあるので、何か優奈の何処かの衣類を触っている事は確かだ。だけど起き上がることができないのでどこを触っているかを確かめるすべがない。それとなんかプニプニと温かい感触もあるしますます気になる。
「優奈……。ちょっと我慢して……今クレアの手をどかして起き上がるから」
「ひゃん……。本当に無理!!手を動かさないで!!」
「そんな事言ったって!!」
と2人でてんやわんやしていると、突如として後ろのドアが開く。
「え……?」
「何やってるの……?久野原君?」
入って来ていたのは、憤怒の形相をした中原だった。
「あの……マジで言い訳させて」
その後、中原に「キモイ」だの「馬鹿なの?」と罵声を浴びせられながら俺をホールドしていた腕をほどいたり、もみくちゃになった俺と優奈を起き上がらせてくれたりと助けてくれたが、妹と優奈を襲ったと勘違いした中原の誤解を解くのに時間がかかったのは言うまでもない。




