41話 妹と幼馴染と遊びに行ったpart2
目的地の駅に着き、電車降りてそこからバスを乗り継いで30分。やっとこさイノンに着く。
「やっと着いた……」
「なんでこんな朝早くから行こうって言ったのかすごく疑問だったんですけどこう言う事だったんですね……」
「ここへ着くまででも一苦労だな」
つくづく思うが、イノンまで最寄駅から電車一本で行けるようにならないかなぁとつくづく思う。電車を降りてそこからバスを経由するのがとても面倒だ。
ちなみにだがここへ着くまで1時間半もかかっている。あの電車を乗り過ごしていれば、恐らくここへ着くのはお昼ごろになっていただろう。田舎恐るべし。
「アパレルショップから先に行くから」
「行くよ友太くん」
2人は俺の両腕を両脇から逃がさないぞと言わんばかりにがっしりと固める。
「ちょ……おい。そんなにガッチリ固めなくても俺は逃げねーよ」
「「ダメ」」
声を揃えて2人は俺に言う。そんなに面と向かって強く言わなくても……。
「今日は離さないんだから」
「そうです。今日はずっと私達から離れちゃダメです」
「あー、へいへい……」
とは言ってるが、今日は2人にとことん付き合うつもりだったし、別に俺は買うものも特になかったから気にはならなかった。強いて言えば自分の服を1着くらいは欲しいなくらいは思っていたが。
「ほら早くしないと、パーティの時間が無くなっちゃう」
「早く行きましょうー」
ずるずると引きずるように2人に両脇から抱えられてアパレルショップまで、連行されて行ったのだった。
さてそんなこんなで2人に引っ張られて女性向けのアパレルショップやってきていた。煌びやかな店内でおしゃれな服を着た女性の客がたくさんいた。てかマジで店内に男の客がほとんどいないじゃん。嫌だなぁなんか女性の楽園にお邪魔してる感じがして……。
俺がソワソワしている間にも、2人は気にせず服を選んでいた。
「クレアさん、ピンクが好きなんですね」
「私、昔からピンクが大好きなんです」
そう言えば、料理をしている時に付けているエプロンもピンクだったけ?今着てる服もピンクだし、手に持っている服もピンクだから相当ピンクが好きなのだとわかる。
後はハートが付いてるのも好きなのかな?さっき言ったエプロンにも今持ってるカバンに付いてるし。
「じゃあピンクならこれとか似合うんじゃないですか?」
「すごく可愛いー。あ、この服とか優奈さんに似合いませんか?」
「ちょっと派手過ぎるかも……」
と2人はお互いの服を、あーでもこーでもないと言いながら、近くにある鏡で自分の体に服を合わせながら選んでいた。
なんかすごくいずらい……。このキラキラな空間にいるのがつらいよ俺。
こっそり抜けようかなと考えていると、優奈が2着の服を持ってきてこちらに歩み寄って来ていた。
「友太、どっちが私に似合う?」
そう言って俺に見せてきたのは、黒い生地で薄いワンピースのような服で、恐らくブラウスとかの上に重ね着するようなタイプだ。
もう1つは白いTシャツに黒いワイドパンツというシンプルなものだった。うーん悩むがパンツスタイルは苦手な中原を思い出すしなんか嫌だなぁ。となると俺が選ぶべきは。
「こっちで」
黒い生地で薄いワンピースのような服を指差すと、優奈は「これがいいの?」と言って俺が選んだ服をじっと見つめた。
まずい、優奈の好みじゃない服を選んでしまったか?白いTシャツに黒いワイドパンツの方を選んだ方が優奈的には良かったのかな?
「ふーん……。友太ってこういう服好きなんだ」
「別に俺が好きって訳じゃないけど、お前に似合うかなぁと思って」
「私に?」
照れた表情で、優奈は鏡の前に立つと自分の身体に再び俺が選んだ服を合わせる。
「まぁお前が好みじゃないなら良いんだけどさ……」
「ううん。この服が私に似合うって言ってくれたんだからこれにする」
機嫌良く優奈は俺が選んだ服を籠に入れていた。良かった優奈の好きそうな服を選べて……。さて次は。
「友太君、どっちがいい?」
お次はクレアだ。クレアが出してきたのはピンク色で黒いバイカラー襟が入ったギャザーフレアスカートのワンピース。そしてもう1つは薄いケープが付いたキャミワンピースだった。
「本当にピンク好きなんだな」
「さぁ選んで」
笑顔で2着の服を持つクレアだが、俺にはわかる。優奈と違ってクレアはどれを選んでもハズレではないんだと、だって2つともピンク色なんだもん。でもどっちもワンピースなんだよぁ。片方は肩に薄い生地のケープがついてるワンピースだからお得度で言えばこちらの方が良さそうである。
ハズレはないとは言え、適当に選ぶとクレアの機嫌が悪くなりそうで怖い。
うーん、正直どっちもクレアには似合いそうなんだよなぁ。いろんな意味でこれは優奈よりも難題だ……。
「どうせ友太に買ってもらうんだし、どっちもって言うのはどうですか?」
「え?」
清々しい顔で何すらっとえげつないこと言ってるんですか?優奈さん……。
「そうですねー。友太には服を買ってもらうって約束ですもんねー」
「マジで言ってる?」
「だって約束だもんね?」
笑顔で2着の服を俺に渡してくるクレア。こういうのって結構高いんじゃなかったけ?
両方の服の値札を恐る恐る見ると、両方ともかなりのいいお値段が書かれていた。ぶっちゃけこの前のバイト代があるから買えるんだけどなぁ……うーん……。
「友太?」
「中原さんの料理、中原さんの料理、中原さんの料理」
2人は俺を蔑んだ目で睨みつける。クレアに至っては恨みを込めて念仏を唱えるみたいにぶつくさと言っている。周りにいた女性の客もあの男の人何かしたの?という不信感を募らせた表情でこちらを見つめている。
流石にこれ以上は周りいる女性の客にも変な目で見られるし、男久野原友太、覚悟を決めるしかなさそうだ。
「わかった。買うよ」
「やったー」
「クレアさん良かったね」
嬉しそうに2人は喜びを分かち合っていた。食べ物の恨みは怖いなと改めて実感した瞬間だった。
さらば……2人の諭吉くん……。




