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俺は殺人鬼じゃない。

さて、ゴブリンとの戦闘。

地球に戻って強盗殺人を成功させる為にも真摯に学びたい。



「おい、飛田。」



『ん? 何?』



「いや、何じゃなくてさ。

オマエだけ戦闘研修受けてない訳じゃん?

急に居なくなったから。

スキル教えろよ。」



『は?

いやいやいや、スキルなんて関係ないだろ。』



「おいおいおい。

団体行動だろ?

少しは飛田も自覚持てよな。」



絡んで来たのはクラスメートの高橋。

悪い奴ではない。

むしろ面倒見の良い正義感だ。

つまり、俺とは相性が悪い。



『ゴメン。

1人でやらせてくれない?』



「…飛田。

ゴブリンは凶暴だよ?

小柄だけどパワーは異常だ。」



『情報ありがとう。

高橋とつるむ気はないけど、何か情報を得たら提供するよ。』



「…なあ、飛田って何でクラスを拒絶する訳?」



『オマエらワープアって笑ったじゃん。

俺のこと。』



「…笑ったのは佐藤さん達だろ。

俺は笑ってない。」



『連帯責任。

嫌な奴の仲間も嫌な奴だ。

だから2-Bとは一緒にやれない。

許せないし、信用出来ない、』



「オマエもウチの学級のクラスメートじゃん。」



『そうだよ。

俺も、人の生まれを笑うような下らない連中の同級生だからさ。

信用してくれなくてもいいよ。』



「俺、飛田が死に掛けてたら助けると思うぞ?」



『迷惑だ。』



「飛田だって俺が死に掛けてたら助けてくれるだろ?」



『は?

この文脈で何でそうなるんだよ。

自己責任だろ。』



「でもさ?

俺が飢え死にしそうな時に、パンが余ってたらくれるだろ?」



『まあ、それくらいなら。

余った分くらいなら譲るけど。』



「期待しとくわ。」



『…なあ高橋。


別行動でいいよな。

勝手にやらせてくれ。』



「わかった。

死ぬなよ。」



『…善処する。』



俺が転移した後、植田と西岡が死んだとのこと。

2人共軽率で自分を客観視出来ないタイプなので、何となく死因が想像出来る。

クラスメートが討伐を拒否し始めたのも、この2人が死ぬ瞬間を見てしまったからだそうだ。

…まあ、気持ちはわかる。

三宅と言う女子が自殺したらしいが、特に感情は湧かなかった。

ああいう派手なタイプの女子とは会話した記憶がないからな。

まあ、水洗便所もないような世界に無理矢理連れて来られたら絶望もするよな。



「トビタ殿ー!!!

ゴブリンは樹上から射て来るよー!!!」



騎士団長が警告してくれる。

警告の内容よりも、あんな位置から声が届くことに驚かされた。

正直、ゴブリンよりも団長の方が俺にとっては怖い存在だ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



さて、ゴブリンを殺すこと自体は難しくない。

早速2匹を殺した。

一度でも目視に成功すれば、その真後ろにワープして後頭部に筒剣を撃ち込むだけ。

ヤバいと感じたら念の為ワープで距離を取る。

ゴブリンはかなり俊敏な種族だったが、それでも俺の背後ワープ戦法には全く対応出来て無かった。


この手を使えば幾らでも殺せるが、やめた方がいいな。

何せさっき聞いた話では、ゴブリン退治は本職の騎士でも苦労するとのこと。

団長曰く、一対一で殺害出来たら部隊内で一人前扱いされる程。

これ以上戦果を挙げてしまうと怪しまれ過ぎる。




(カチャンッ)



筒剣を仕舞う音は殆ど響かない。

やはりこれは武器と言うより暗器なのだろう。



よし、地球で金持ちの老人を殺すくらいは出来そうだな。

もう少し練習したい。

財布にびっしり札束を詰め込んでるタイプのオッサンを何人か殺して500万くらいの元手を確保しておきたいのだ。

その初動にさえ成功すれば…

後は危ない橋を渡る回数を減らせる。


俺は殺人鬼じゃないからな。

必要以上の殺生などは人間として言語道断だ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




そんな事を考えながらゴブリンの死体を眺めていると、高橋が駆け寄って来る。



「おー、飛田!

無事だったか。

しかも一匹倒してるし!!

オマエ凄いな!!」



…コイツ、俺を心配して探してやがったのか。

厄介な奴。



『偶然倒せたんだよ。』



「偶然?」



『コイツが地面を見ながらボーっとしてたから後ろから刺した。』



「何でボーっとしてたんだろ?

ゴブリンって隙の無いモンスターだと思うんだけど。」



『さあ、財布でも落としたんじゃねーの。』



「…あっそ。」



高橋の目に猜疑の色が浮かんでいる。

まあ怪しいよな。

俺がオマエでも不信感湧くわ。



「とりあえずオメデト。

これは臨時依頼だから金貨4枚が貰えるよ。

日当と合わせて計5枚の支給だな。」



『金貨!?』



「当たり前だろ。

俺達は命懸けさせられてるんだから!

報酬くらい弾んで貰わなきゃやってられないよ!」



『お、おう。

そうだよな。』



割り当てられた宿舎で休んでいると、団長の秘書官がやって来て本当に金貨をくれた。

相変わらず受け取りサインなどのチェック機能は存在しなかった。


500円玉くらいのサイズを想像していたのだが、大きく分厚い。

昔のカントリーマームくらいだろうか。

コインと言うよりメダルだった。


…これ、地球で売れるんじゃないだろうか?



よし!

強盗殺人が上手く行かなければ、金売却に切り替えよう!

この話が面白いと思った方は★★★★★を押していただけると幸いです。

感想・レビュー・評価も頂けると嬉しいです。

この続きが気になると思った方はブックマークもよろしくお願いいたします。



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― 新着の感想 ―
ゴブリンが雑魚だなんて、誰が言った? ってな( ´∀` )! そう、最近カントリーマアムが目に見えて小さくなってきてるのですよねー。 少し寂しい。
ゴブリンはエリートな世界でしたか あと異世界殺意高めですね 飛田氏は過激なこと考えたり口走ったりしてるだけで実際にはセーブ機能が仕事してるタイプじゃなくて、放火までやって下手したら殺人も余裕なぐらい…
飛田は才能があるのだろうな、殺す事の才能が 初戦で呵責なくゴブリンを殺せているのがその証左だ ところで武器は元世界からピストルとか盗んでバキュンバキュンやりません? 暗器は音を立てなくてそれはそれで…
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