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…筋トレしよ。

チャコちゃんは児童公園のブランコに俯いて座っていた。

俺、こういうウェットな場面が一番嫌いなんだけどな…



「飛田君…

どうしてここが分かったの?」



目を赤く腫らしたチャコちゃんが少し驚いたように顔を上げる。

《ワープで巣鴨中の観測ポイントを確保可能だからです。》

とも言えないので、適当にはぐらかす。



「取り乱してしまってゴメンなさい。」



『あ、いえ。』



「私、馬鹿だよね。

1人で盛り上がっちゃって。」



『あ、いえいえ。』



「迷惑でしょ?」



『いえいえいえ!』



主要取引先の親族だからな。

粗略には出来ない。

(色々探してるんだが、村上以外にマネロンを頼めそうな相手が見つからないのだ。)



「…彼女さんが居たのなら、言ってくれればいいのに。」



チャコちゃんは恨みがましい目でエヴァのペンダントを見つめながら言う。



『あ、いや。

彼女とかじゃないです。』



「でも、寝たんでしょ?」



『え!?』



「分かるわよ。

女だもん。」



…お、女にはそんな特殊能力があるのか?

怖い生き物だなぁ。



『相手は異世か… 外国の人だから彼女とかにはならないと思いますよ。

文化とか全然違うし。』



「…ヒック、ヒック。」



『え!?』



また泣き始める。



「その人、正ヒロイン臭がする!」



『せ、正ヒロイン臭!?』



何を言ってるかさっぱり分からないのだが、言いたい事は何となく分かる。

いや、正直エヴァには惹かれている。

でも種族違うし、恋人同士にはならないだろう。



「ねえ、怒ってる?」



『あ、いえ。』



「鬱陶しい女だと思ったでしょ?」



『あ、いえ。』



…女はそもそも鬱陶しい生き物なので気に病む必要はないぞ?



「本当にゴメンね。」



『あ、いえ。』



「また来てくれる?」



『え!?』



「嫌?」



『あ、伺わせて頂きます。』



「…そっか。」



参ったなー。

俺、このスキルを手に入れた時は万能感持ってたし、事実としてワープは最強格だとは思う。

ただなあ…

どれだけコスパ良く移動した所で、移動先でアクションするのは所詮俺だからなぁ。

今回だって女を発見して駆け寄る所までは最速でこなせたが、駆け寄った所でこの体たらくだからなぁ。

やっぱり最後は中身を問われるんだよな。


…筋トレしよ。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



その後、チャコちゃんが落ち着いたので巣鴨駅前のコメダ珈琲で一杯だけご馳走する。

内心、早く家に帰ってシャワーを浴びたい。



「ねえ、飛田君って行きつけの店とかあるの?」



最近の行きつけは村上翁に紹介されたソープランドなのだが、流石に口に出す程馬鹿ではない。



『吉野家ですかね。』



「もっとお洒落な店で。」



『今日が初めてだったんですけど、銀座の喫茶店はまた行くかも。』



「…私も一緒に行っていい?」



『え?

あ、どうぞ。(本当は嫌だけど)』



「彼女さん、怒らないかな?」



『あ、どうなんでしょう。

別に彼女とかではないですし、怒ったりはしないんじゃないですか?』



「一応聞いておいてくれない?」



『え!?』



「銀座の喫茶店に一緒に行っていいか…

彼女さんの許可が貰えたら、連れて行って欲しい。」



『あ、はい。』



やっべー。

ワープが糞の役にも立ってない。

この話が面白いと思った方は★★★★★を押していただけると幸いです。

感想・レビュー・評価も頂けると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
ボヤキ笑うw 小説的には一番の面白ポイントやねw
正ヒロイン臭! チャコちゃん、中々やるな
追(負)わせる女と追(負)わされる男・・・かな この時のトビタが極め付けに不憫と思ってしまった、その理由は女とのコミュニケーションで成功体験がないであろう男がこんな場面を強いられた事だ、エヴァさんなら…
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