美しい国ニッポン!!! 死ね死ね異世界!!
駅前のマクドナルド。
なけなしの金でチーズも何も挟まっていないプレーンのハンバーガーを10個買い、俺は夢中で貪った。
あまりの旨さに涙が零れる。
俺があまりに卑しく貪るので、周りの客が眉を顰めた。
向こうのテーブルの女子高生の一団などは露骨に嘲笑している。
『はふっ! はふっ! がつっ! がつっ!』
一通り喰い終わると、俺はデパートのトイレに移動し思う存分ウンコをした。
ウォシュレットが極めて心地よい…
その後、図書館を訪れフカフカのソファーに座って最新号のプレイボーイに目を通す。
【公費でこんな下品な雑誌仕入れるなよ!】
と一瞬だけ思うが、現に俺が読んでいる以上需要はあるのだろう。
だから仕入れたのだ。
キン肉マンとタフだけ読んで俺は居眠りをする。
ふと気づくと司書のお兄さんが丁寧な口調で、閉館時間を知らせてくれた。
帰路、スーパーマーケットの特売コーナーで寿司の盛り合わせを買った。
2200円の5割引きなので1100円である。
帰宅してコタツに陣取り、ひまわり動画で最新のアニメを見ながらチェリオで寿司を流し込んだ。
『ふーーーーーーー。』
腹が膨れた俺はゆっくりと寝転び、幸福を噛み締めた。
『やっぱり日本が一番!』
俺は満面の笑みでそう宣言する。
あれだけ恋焦がれた異世界への憧憬は微塵も残っていなかった。
異世界の実物を見て、如何にナーロッパが下らなく日本が素晴らしいかを痛感したからだ。
俺の名前は飛田飛呂彦、高校2年生。
(お察しの通り両親がJOJOマニアだ。)
先程、異世界にクラスメート達と集団転移した。
授かった異能はワープ。
先方の応対(加えてクラスメートからの態度)があまりに腹に据えかねるものだった為、最初の転移で祖国日本に帰還してやった。
あれだけ憧れていたナーロッパ風異世界…
いざ行ってみるとゴミだったわ。
流石に美しい日本と比較するのは酷か…
俺の能力がワープで良かった。
おかげで俺だけが帰って来れた。
共に集団転移した級友達は…
まあ潔くそこで死んでいけや。
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