表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/33

Karina

リズムが跳ねる。


独特のスウィグ感を持って、ドラムセットの中で、


里美が叩いていた。


ペパーミント。


里美のバンドが、リハーサルをしていた。


女の子バンド。


ギターが、激しくカッティングを繰り返し、


甘ったるいボーカルが吠える。


ダブルケイのステージ上。



ジャズ専門と思われているが、そうではない。


いろんな音楽を聴かせてくれる。


ただし、


恵子が気に入れば…だったけど…


今のママである明日香は、恵子より、情にもろかった。


だけど、お客さんの前で、演奏させるかの判定は、厳しかった。


例え、里美のバンドでも…。


「ちょっとずれてる」


さっきまで、ステージにかじりついてた香里奈が、


カウンターの中にいた明日香のそばまで、走ってきた。


絶対音感。


香里奈が、生まれながらに持ってるものだった。


明日香は、香里奈の頭を撫でた。


「あれは…いいのよ」


まだ4歳の香里奈には、わからない。



啓介が喜びながらも、心配していた。


「絶対音感を持ってることは、すばらしいけど…」


少しため息をつき、


「ズレていて、いいときもある。特に、今のメインミュージックは…。クラシックなら、いいだろうけど…ズレた感覚を気持ち悪いと感じるようなら…」


啓介は、心配気に香里奈を見て、


「音楽を、嫌いになるかもしれない…」



微妙な感覚を、教えてあげたいけど、


小さな香里奈には、無理だった。


せめて…楽しさを思って、ノリがよいロックや、ダンスミュージックを聴かせたけど、


香里奈は気持ち悪がった。


だけど、明日香のミュートの音や、啓介のサックスは、あまりいやがらなかった。


パパとママの声に聴こえるらしかった。


「ママのトランペット」


吹いてほしいらしい。


でも、今は里美たちの練習中だ。


明日香が困っていると、店の扉が開いた。


お客ではない。


天城百合子ともう一人。


天城志乃だ。



「志乃ちゃん!」


香里奈が走っていく。


香里奈より、3つ上の7歳の志乃は、


お姉さんのように、香里奈の相手を、よくしてくれていた。


「先生、おはようございます」


志乃の本当の姉である百合子は、今年20歳である。


結構、年の離れた兄弟だった。



高校1年の春に、


LikeLoveYouのCDを持って、ダブルケイを訪ねてきたのだ。


彼女は、残念ながら…音楽の才能を、見いだせなかったけど、


今は、大学の演劇部で…女優をしていた。


ここで得たボーカルレッスンが、役立っているらしい。


百合子には、才能がなかったが、


たまに、いっしょに遊びに来ていた志乃に、


才能があることを、啓介や阿部たちは見抜いていた。


今は、週に何回か、ボーカルレッスンを受けにきていた。



妹は、天才かもしれない。



明日香は…


仲良く遊ぶ志乃と、香里奈を見守っていた。


天才と絶対音感。


2人は仲良く、楽しく、音楽を学べたら、いいんだけど…


明日香は、2人の子供の幸せを願った。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ