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Love Song

スタジオのテーブルに置かれた


志乃が書いた…歌詞。


大輔は、それを手に取った。


タイトルは、


Love Song。






愛することは、


両思いだけじゃない。


あの人を大切に思い、


特別に思える気持ちを、

自分の中に気づいたら、


それが愛すること。


自分じゃない…誰かを


誰よりも大切に思えるなんて…。


例え、自分が傷ついても、



あなたが傷つかなかったら、


あたしは、うれしい。


例え…あなたに、


あたしへの気持ちがなくても。


無償の愛なんてない。


あなたを愛する気持ちを


大切に思う気持ちを


あたしにくれたから、


あなたを愛する気持ちを


大切に思う気持ちをくれたから。



こんな気持ちは、どこでも手に入らない。


少し、わがままを言えるなら…


あたしのことを知ってほしい。


せめて存在だけでも。


この気持ちを、もっと強くするためだけに、


ほんの少し…あなたに知ってほしいの。


もし、無理だったら、


気持ちを歌に乗せるわ。


Love Song


誰かの為の歌といいながら、


Love Song


あなたの為だけの言葉たち。


あなたの耳に届けばいい。


Love Song For You…







「臭いな…」


パイプ椅子にもたれ大輔が呟くと、


後ろから手が伸びてきて、大輔から紙を、ひったくった。


「勝手に、何見てるのよ!これはまだ!完成してないのに」


大輔は、恐る恐る振り返ると、結構お冠の志乃が、立っていた。


「最低」


志乃はそう言うと、


そっぽを向き、スタジオから、荷物持って出ていこうとする。


「まだレコーディングは…終わって…。ごめん、志乃!」


大輔は、慌てて椅子から、立ち上がると、志乃の背中に、謝った。


志乃は振り返り、舌を出した。


大輔はさらに焦り、話題を変えた。


「志乃…お、お前…好きなやついるのか?」


大輔の質問に、


志乃は、ドアのノブを掴みながら、


「さあ〜」


視線を大輔に合わさず、曖昧な言葉を残す。


「もし…できたんなら…お、俺に、報告しろよ!」


慌てて、口ごもる大輔に、

志乃はいやらしい笑みを浮かべ、


「どうしょうかな〜」


そして、笑みから一転して、アカンベーをすると、志乃はドアを開けた。


「俺は…リーダーなんだぞ!」


大輔の虚しい叫びも、ドアを閉めたら、聞こえない。


志乃はクスッと笑うと、


大輔から取り戻した…歌詞を書いた紙を見つめ…




志乃は、フッと自嘲気味に笑うと、


紙を丸め、歩き出した。


そして、廊下にある自動販売機の横にあるゴミ箱に、

丸めた紙を棄てた。


少し深呼吸すると、満面の笑みになり、軽やかなステップで、再び歩き始めた。








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