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冷たい雨

冷たい雨が降り続いているのに

誰も

傘を差しださなかった


多くの人が

彼女の横を通り過ぎる

目も合わさず 足早に

まるでそこに

何も存在しないように

搾りだす声から

耳をふさぐように



思えば僕たちは

いつもそうだった


いつまでも止まない雨のなかで

いつしか学んでしまったんだ


自分が濡れないことが大切だ

目を合わせてはいけない

心を寄せてはいけない


思えば何人が彼女のように

ずぶ濡れになって 風邪をこじらせ

死んでいったろう


一人死に 二人死に

三人死に 四人死に


僕らはますます感じなくなる

雨の冷たさも

人の温かさも



冷たい雨は

朝が来ても降り続いて

多くの人が

彼女の横を通り過ぎる


僕たちは うっすらと笑みを浮かべて


今日食べるであろう ランチの話をする

最近お気に入りの アイドルの話をする

自分がどれだけ ついていないかの話をする


冷たくなった彼女に目をやることもなく

この雨が

ただ止むことだけを

待っている

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