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サメ兵器シャークウェポン  作者: アースゴース
第3章 真・異世界決戦編 サメ&地球VS魔道帝国マジック・モンス
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第71話 矢倍高校連合軍VSマジック・モンス軍団その4 『ヴィクセント&レブリガー』


 時は(さかのぼ)り、少し前。


 「行くのか」

 「ああ、ドクター・ホンマ」


 本間研究所にて、本間博士とヴィクセントが話していた。

 彼らの周りでは、職員が慌ただしく行き来している。


 「イスゲ・ミゴソクが来たということは、虫一匹に至るまでアンデッドにされ、永久に不浄の地へと変えるということ……我々もアンデッドになるのはゴメンだ。それに……」


 モニターに映し出された映像。

 そこには、アンデッドと化したダルガングと隕鉄号が、ゾンビ魔怪獣と共に大暴れする光景が映し出されていた。


 「ダルガングと隕鉄号に世話になった身としては、彼らに申し訳が立たん」

 「なるほどな、介錯してやりたいということか」


 本間博士はマジック・モンスを死ぬほど嫌悪(きら)っているが、ヴィクセントの考えには一定の理解を示していた。

 死してなお操られるという(はずかし)めを受けているのなら、戦士として一思いに終わらせてやろうという気持ちは、彼が若かりし頃には持っていた想いだったからだ。


 「……正直に言って、わしはお前達を信用しておらん。が、ここまで来たらもうお前達が裏切ろうとどうでもいいことじゃ。好きにせい」

 「それはいいのか……? ま、まあそれならば、ありがたく好きにさせてもらおうか」


 ヴィクセントは、改めて空を仰ぐ。

 研究所のハッチはすでに開かれており、いつでも飛び出せる状態だ。

 そんな彼女に、近づいてくる人物がいた。


 「ヴィクセント、槍がいるんだろう?」

 「レブリガー殿……私にはこれがある。本当は魔力の籠っているものが良かったが……」


 レブリガー・ヘルカイト。

 彼は竜を名乗る、リザードマンに偽装した竜人だ。


 ヴィクセントは、彼に持っている槍を見せつけた。

 総オリハルコン製の長槍で、この世にまたとない逸品であることは、ヴィクセントから見ても間違いない。

 しかし、何よりも魔力が存在せず、手に馴染(なじ)まないことが不満だった。


 「いや、私が槍になろうと思ってね」

 「何を言って……ふうん、そういうことか」


 レブリガーが何を言っているのかを理解したヴィクセントは、もはや無用とばかりに、その場に槍を突き立てた。


 「では行くぞ!」

 「君なら上手く扱えると信じている!」


 2人は、空へと飛び立った。

 その瞬間、2人の身体は変貌を遂げる!


 『カ……ガァァァァッッッ!!!』


 ヴィクセントの身体が、肥大化していく。

 更に、全身に黄金とも白銀とも取れない色の毛が生え、最終的に巨大な獣へと姿を変えた。

 それはまさに、九尾の狐と言うべき巨獣だった。


 『グワァァァァォォォォァァッッッ!!!』


 角の生えたリザードマンのような姿のレブリガーは、ほとんど巨大化だけにとどまった。

 その姿は巨大化し、竜人だった頃の面影を残した赤い竜。マジック・モンスでは暴威を振るい、魔王との死闘によって絶滅させられた最強生物、まさにドラゴンである。


 しかし、それだけではなかった。

 レブリガーはドラゴンから更に変化し、その身を細長い物体に変えたのだ。

 それは、『竜の槍』とも言うべき武器だった。


 『なるほど……竜の槍(レブリガー)の名に相応(ふさわ)しい槍だ。マジック・モンスですらお目にかかれない、竜神武装(ドラゴン・ウェポン)……それが貴方の真の姿か』

 『その通り。私は生まれながらの竜神武装、竜の槍(レブリガー)灼熱地獄(ヘルカイト)に鍛え上げられた竜の槍(レブリガー)!!!』


 古代のマジック・モンスは、驚異的な異能を持つ魔怪獣が跋扈(ばっこ)する今と比べても、地獄のような環境だった。

 その中で最強の種族と(うた)割れたのが竜/龍である。


 レブリガーは、世にも珍しい生きた竜神武装だった。

 かつての力はほんの砂粒ほどしか残っていないが……今の時代なら、それで充分。

 ヴィクセントは、鋭い牙の生えた大口でレブリガーを咥えた。


 『では行くか! 目標は……ダルガング!!!』


 ヴィクセントの巨体が、風のおゆに空を駆けた。




 ◇




 『女狐ぇぇぇぇ!!! ちょこまかと逃げてるだけかぁぁぁぁ!?』

 『貴様に戦士の立ち合いが分かるのか? 随分と勉強したのだなぁ』

 『抜かせぇぇぇぇ!!! おいフラッシュゴーレムゥゥゥゥ!!! そっちのスカした石ころ野郎を砕いてやれぇぇぇぇ!!!』

 『ブラッシィィィィ!!!』


 戦場は、混戦を極めていた。

 地球のロボット軍団及びヴィクセント。そして、イスゲ率いるアンデッド軍団。

 質と数、中々決着がつかないのだ。


 しかし、最初に崩れた均衡があった。

 それは、ゴーレム同士の戦いである。


 『オオオオォォォォ……』

 『ブラッシブラッシ!!!』


 イスゲによって作り出された、フラッシュゴーレム。

 幾多もの魔怪獣を繋ぎ合わせたそれは、まさに動く肉塊のような様相であった。

 そして、肉体を構成する魔怪獣のどれもが、国を滅ぼしてなお有り余るほどの活力を持った強力な者達。


 イスゲが邪法によってリッチーと化してから、何百年もの研究を積み重ねてきた最高傑作である。

 その身体から噴き出る『闇』は、触れた生物をアンデッドに変えてしまう恐ろしい瘴気だった。

 かつては、これによって敵対する国々を滅ぼしてきた。中には、マジック・モンスよりも巨大な国や超魔獣の群れすら存在したが、フラッシュゴーレムの敵ではなかった。


 「凄いパワーだねぇ……じゃあこうしようか」

 『オオオオォォォォ!!!』


 だが、ここにいるのは並の敵ではない。

 超魔獣たるロンズデーライトゴーレムと、それをたった1人で操る魔女グリットのコンビなのである。


 ロンズデーライトゴーレムは、グリットの指示によりわずかな隙をつき、空に拳を振り上げた。

 曇天が雲1つなく晴れ渡り、空には夕焼けが広がる……


 『しまったぁぁぁぁ!? フラッシュゴーレムゥゥゥゥ!!! ロンズデーライトゴーレムに光を与えるなぁぁぁぁッッッ!!!』

 『ブ、ブラッシィィィィ!!!』


 イスゲの目が、他へ向いたわずかな時間に、空が晴れたのだ。

 直接的な戦いに慣れていないイスゲのミスだった。


 フラッシュゴーレムは指示を受け、すぐさまロンズデーライトゴーレムを闇で覆った。

 闇で日を隠すまでの応急処置であり、グリットを殺すためである。


 『瘴気の闇に呑み込まれたんだ、これで奴らは――』

 「輝く巨星は墜ちて尚――」

 『あ?』

 「光を放つのさ」


 凝縮されたがゆえに巨大な質量を持った闇から、輝く拳が現れた。そして、フラッシュゴーレムの頭部をいともたやすく打ち砕く。

 そのあまりのあっけなさに、イスゲは何が起こったのか理解できなかった。


 『な、フラッシュゴーレ……うぉぉぉぉ!?』

 『よそ見か?』

 『よそ見が悪いかぁぁぁぁ!? 奴が動けんならこっちに集中するまでよぉぉぉぉ!!!』


 復帰したイスゲは、ダルガングの操作に専念した。そして、ロンズデーライトゴーレムが動けないことを看破した。

 ロンズデーライトゴーレムは、しばらく動けない。今のグリットでは、あまり無理に動かせないのだ。

 伊達に長年生きていないイスゲには、そういった観察眼が備わっていた。


 だが、今は動かなくてもいい。

 グリットには、信頼できる仲間がいるからだ。


 『うぉぉぉぉ!!! トキシックビィィィィム!!!』

 『雷電磁大光球!!!』

 『キャノン・ボール!!!』

 『キェェェェッッッ!!!』

 『チェェェェストォォォォッッッ!!!』


 野に放たれたアンデッド魔怪獣はほとんど殲滅されている。まさに死屍累々、魔怪獣の屍山血河が作り出された。

 残るは、ダルガングとイスゲだけになったのだ。


 『おのれぇぇぇぇ!!!』

 『ふん、ずっと研究室に引きこもっていれば良いものを……わざわざ出てきてしまったのだからなぁ』

 『黙れクソアバズレ女狐がぁぁぁぁ!!!』

 『誰がアバズレだ……まあいい。お前には興味はないが、ダルガングとなら1対1で勝負してやろう』

 『何ぃぃぃぃ!?』


 イスゲは困惑した。

 わざわざ有利な状況を捨て、タイマンで勝負など考えられなかったからだ。


 『無礼()てんのかぁぁぁぁ!!! それとも梅毒が頭まで回ったか淫売がぁぁぁぁ!? ならお望み通りタイイチにしてやるよぉぉぉぉ!!! ダァァァァクネス・アンデッドォォォォッッッ!!!』


 イスゲは杖を振り、ダルガングと隕鉄号に魔法をかけた。

 アンデッドを強化するこの魔法は、『ダークネス・アンデッド』。神聖魔法である『ターン・アンデッド』に対抗するためにイスゲが生み出した、アンデッドのための魔法だ。

 闇に包まれたダルガング達は、更なる力を得た。


 『やっちまえぇぇぇぇ!!! 『流星群の』ダルガング・ボラックレスと隕鉄号ぉぉぉぉ!!!』

 『『急所突きの』ヴィクセント、灼熱地獄の竜の槍(レブリガーヘルカイト)。いざ参る!!!』


 マジック・モンスでも有数の実力者が3人……地球上で、世紀の戦いが始まる……ッッッ!!!




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