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サメ兵器シャークウェポン  作者: アースゴース
第3章 真・異世界決戦編 サメ&地球VS魔道帝国マジック・モンス
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第70話 矢倍高校連合軍VSマジック・モンス軍団その3 『アンデッド・ダルガング&不死者隕鉄号』と『アンデッド魔怪獣軍団』と『イスゲ・ミゴソク』


 『ヒャハハッハ!! 行けぇ!!! アンデッド軍団よ!!!』

 『ゾボボボボ!!!』


 闇から現れたアンデッド魔怪獣が、一斉に走り出す。

 知能も理性も無い彼らが向かう先は、アンドロマリウス、魔皇我(マオーガ)遥駆砲丸(キャノンボール)のロボット達。


 数の利とゾンビ化によって限界を超えたパワーを宿した彼らは、実に強敵である。

 しかし、3人は確かな連携によって不死身ともいえるゾンビ達を、確実に(ほうむ)り去った。


 『数ガ多イ……ガ』

 『オレ達の敵じゃねぇぜ!!!』


 まさに鎧袖一触。

 数々の魔怪獣を退けた彼らにとって、知性や理性を持たないゾンビは、カモがネギを背負ってやってきたようなものだった。

 そう、魔怪獣の本当の強みとは、高い知能と野性的直観……フィジカルだけでは、余程でない限り弱肉強食の世界では生きていけない。


 そして、イスゲの使役するアンデッド魔怪獣の中に、余程の魔怪獣は存在しなかった。

 ――ただ、3体を除いては。


 『ブラッシィィィィ……』


 巨大な肉塊のゴーレム、フラッシュゴーレムが大暴れする。

 体格はロンズデーライトゴーレムと同じく500メートル程……その巨体が動くというだけでも脅威だった。


 『オオオオッッッ!!!』

 『ギィィィィンッッッ!!!』


 そして、不死者として不本意な復活をとげたダルガングと隕鉄号。

 生前の勘などが失われているのがせめてもの救いだったのだが、彼らは元々魔力が少なかった故に身体能力だけで他の魔怪獣を凌駕する実力を持っていた。


 『ヒャハハハハ! 魔力無しのゴミにしては中々やる!! 追加をくれてやろう!!!』

 『ナニッ』


 イスゲが呪文を(つぶや)くと、闇から新たにアンデッド魔怪獣が出現した。

 しかも、今回は3倍以上に増えている。この男、性格は下劣極まりないクズだが、実力だけは本物なのである。


 『数が、多いなッ!!!』

 『塵芥共ガァ~!!! 再ビ永劫ノ眠リヘ誘ッテヤル!!!』


 3人が対応するものの、限界は近い。

 パイロット自身には問題なくとも、機体のエネルギーは減るばかりである。


 『ブラッシブラッシィィィィ!!!』

 『ヌオオオオッッッ!?』


 肉でできているが故に伸縮自在のフラッシュゴーレムが、大量のゾンビ魔怪獣の対応に追われる彼らに向け、手足を伸ばして攻撃してきたのだ。

 身長500メートル……脚だけでも200メートルはある大質量が直撃した魔皇我は、周囲の魔怪獣をなぎ倒しながら派手に吹っ飛んだ。


 『魔皇我!!!』

 『ダメですキズナ! 助けに行くのは危険すぎる!』

 『クソッ!!!』


 自分達を庇い、分離することもなく攻撃を受け止めた魔皇我に対し、キズナとレイジアンガーができることはなかった。


 『オオオオォォォォッッッ!!!』

 『ギィィィィンッッッ!!!』

 『強い! 強すぎる! あの2人は、本当に真正面からこのダルガング殿を討ち取ったのか!?』


 それどころか、ダルガングと隕鉄号に追い込まれていた。

 キズナの得意とするヒットアンドアウェイには付き合わず、全力で距離を詰めてくる。

 かと言って距離を取って攻撃しようとすると、魔怪獣の残骸を高速で蹴り飛ばす……


 はっきり言って、ゾンビ化による知能の低下は誤差の範囲だった。

 長年に渡って染みついた戦闘経験は、ゾンビとなっても全く衰えることは無かった。


 『ヒャハハハハ!!! 魔法の使えん劣等種と裏切者同士お似合いだなぁぁぁぁ!!! フラッシュゴーレム!!! そのまま踏み潰してしまえ!!!』

 『ブラッシブラッシ!』

 『うおおおおぉぉぉぉ!?』


 ダルガングに足止めを受けたタイミングで、フラッシュゴーレムが()()()()()()()()

 通常のゴーレムにはない弾力性を活かし、大ジャンプしたのだ。


 その姿はまるでボディプレス。

 逃げ場のない彼らを襲う、死神の飛来だった。


 『ここまでかぁ!?』

 『くっ、とにかく、少しでも離脱を!』


 少しでも範囲の外に出ようとするが、ダルガングに邪魔される。

 最早これまでかと思われたその時……救いの手が現れた。


 『ブラッ……シ……ッ』


 今にも地面に着こうとしていたフラッシュゴーレムの巨体が、()()()()()()()

 血肉をまき散らしながら派手に吹き飛び、多数の魔怪獣を巻き込んで倒れ伏す。


 『遅くなってすまないねぇ、万能の力を持ってたって上手くいかないこともあるんだよ』

 『来てくれたのか! 信じてたぜ、グリットォ!!!』


 助けにきたのは、綺羅輝爛星きらきらぼし煌絢赫耀爍シャイニングリットことグリット。そして――


 『オオオオォォォォ……!!!』

 『ろ、ロンズデーライトゴーレムだとぉぉぉぉ!? 馬鹿な、何故魔力も無しに動けるぅぅぅぅ!?』


 ロンズデーライトゴーレム。

 シャークウェポンによって全ての魔力を失い、ゴーレムとして成り立たなくなったはずの、宝石の塊。

 それが今や、生きているかのように動いていた。


 『ボクの()()は特別でね、何だってできるんだ』

 『ほざけぇぇぇぇ!!! ウスノロが増えたところで何ができる!!! アンデッド軍団よ!!! 奴らを殺せぇぇぇぇ!!!』

 『グギャアアアアアアアア!!!』


 地を埋め尽くす程のアンデッド魔怪獣軍団。

 500メートルの巨体が増えたとはいえ、数の利はイスゲにある。

 だが、地球の未来を憂う者は矢倍高校だけではなかった。


 ドスドスと、大地を踏めしめる複数の足音が聞こえる。

 アンデッドのものではない。もっと重く、そして硬い……正義に満ちたものだった。


 『あれは……!?』

 『あれはボクらとはまた違った防衛組織の主力量産機であるアーマード・サムライシリーズだね』


 抜き身の刀を掲げながら、全力疾走で迫りくる超重量級の侍。

 その圧倒的な威容は、アンデッドと化して全ての感情を失ったはずの魔怪獣達に、原始的恐怖を思い出させるほどだった。


 『胤餓死魔(たねがしま)隊は後方支援!!! 狩魔駆羅(かまくら)隊は私に続け!!! 殺魔(さつま)隊は各個撃破せよ!!!』

 『了解!!!』

 『キエェェェェッッッ!!!』

 『チェストォォォォッッッ!!!』

 『チェストマジック・モンスッッッ!!!』


 勇ましい侍が刀、槍、弓、火縄銃といった戦国時代的武装で、ゾンビ魔怪獣を討ち取って行く。

 見た目は古いが、中身は天才にして本間博士の永遠のライバル、狭間(はざま)寄光(よりみつ)博士が手掛けた最新の武装。

 一発で魔怪獣の頭から足元まで真っ二つにするくらい訳ないのだ。


 『クソクソクソクソクソクソ魔力の欠片も無い生物モドキが雑魚ゾンビ如きを蹴散らした程度で思い上がるなよぉぉぉぉ!? 貴様らゴミムシ共は地獄の苦しみを味合わせてやるよぉぉぉぉ!!! 行けよデカブツ共!!! 少ねぇ魔力の癖して星砕いて英雄だ何だの持て(はや)されてたんだろ!? その実力を見せてみろやぁぁぁぁ!!!』


 イスゲがダルガングと隕鉄号を操る。

 彼らは比喩でなく一騎当千の実力を持っている。例えそれが鋼の侍であろうと、蹴散らせる力があった。


 巨大武器、ハルバードの『竜断ち』とハンマーの『星屑』が振るわれる。

 マジック・モンスですら伝説と謳われた素材を惜しみなく使用し、古の巨人達が鍛え上げた究極の二振り。

 流星群を一つ残らず砕いたそれは、精強なアーマード・サムライ達を雑兵の如く蹴散らす――はずだった。


 『ハアアアアァァァァッッッ!!!』

 『オ、オオオオォォォォッッッ!!!』

 『ギィィン!!! ギィィィィッッッン!!!』

 『何だとぉぉぉぉ!? おのれぇぇぇぇ!!! 邪魔立てするか女狐ぇぇぇぇ!!!』


 マジック・モンスでは『急所突き』との異名で恐れられた女傑。

 そのヴィクセントが、()()で戦場にやってきた。()には、1本の槍を(たずさえ)えて……


 『お前が出てくるとはな、イスゲ。そしてダルガングに隕鉄号……墓暴きでもしたか、死にぞこないが』

 『戦時中だぞ墓暴きして何が悪いか言ってみろぉぉぉぉ!!! それに肉体なんざ魂を縛り付けるための器でしかねぇんだよぉぉぉぉ!!! 魂の無い死体は単なる器だぁぁぁぁ!!!』

 『そう言う貴様は、随分(ずいぶん)矮小(わいしょう)な器をしているのだな』

 『黙れ黙れ黙れ淫売のクソ女狐がぁぁぁぁ!!! 無駄にデケェ図体しやがってよぉぉぉぉ!!! 亡国の姫だか何だか知らねぇがお高くとまりやがってぇぇぇぇ!!! いつもいつも見下しやがってぇぇぇぇ!!! 獣人モドキの魔獣女がぁぁぁぁ!!!』


 イスゲの指摘する通り、ヴィクセントは、獣人の姿をしていなかった。

 今の彼女は、巨大な金色をした九尾のキツネと化し、空中に浮いていたのだ。


 口に(くわ)えた槍をまるで動かさずに話して見せる彼女は、マジック・モンスの住民から見ても異様な威圧感を発していた。


 『イスゲ、貴様は八つ裂きにしても事足りん。地獄に突き落としてくれようぞ』

 『――今更天国なんざ行けるかああああぁぁぁぁ!!!』


 細い体とは裏腹に、大声を張り上げるイスゲ。

 その姿は、自分を大きく見せようとするのにも、自分の存在を誇示するものにも見えた。


 ヴィクセントとイスゲ……マジック・モンスでも有数の実力者同士の戦い。

 必ずどちらかが死ぬ。その事実を、お互いが感じ取っていた。




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