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サメ兵器シャークウェポン  作者: アースゴース
第3章 真・異世界決戦編 サメ&地球VS魔道帝国マジック・モンス
58/77

第58話


 色とりどりの惑星らしきものが回転している。まるで宇宙のような場所。

 だが、そこは俺の想像する宇宙とは似ても似つかない……(おぞ)ましい場所だった。


 生物や機械、あるいはそれらを強引に融合させたような、グロテスクな怪物たち。

 やたら手足のある蟲のような奴、(うごめ)く肉塊に見える奴、とにかくドロドロでグチャグチャな奴……同じ形は1つとしてない。


 異形の怪物達が殺し合い、喰らい合う地獄のような場所だった。

 そんな化け物共の中でも、一際異彩を放つ存在が目に入る。


 『アハハハハ!!!』


 全身がメカニカルな装甲に覆われた、人型の異形。

 どことなくピエロのように見えなくもないそれは、殺戮を振りまいていた。


 迫りくる怪物達を、鎧袖一触のもとに蹴散らしながらも、楽に死なないように(もてあそ)び、(なぶ)り、甚振(いたぶ)る。

 非常に悪辣な本性の見える、一方的な蹂躙だった。


 『――』


 そして、奴の瞳が俺を捉えた。

 ヤギやタコのような、横長の瞳孔。

 邪悪な嗜虐趣味。


 間違いない。あの強い化け物は、アルルカンだ。


 『――アハッ!』


 アルルカンは、機械のような顔に邪悪な笑みを浮かべながら、俺に向かってきた。

 いつの間にか、シャークウェポンと化していた俺は、拳を振り上げ――




 ◇




 拳を振り上げた瞬間、場面が切り替わる。

 またしても宇宙のような場所。先程と違ったのは、醜悪な化け物がいないこと。


 だが、もう1つ違いがあった。

 宇宙を悠々と泳ぎ、傲岸不遜に俺を睥睨(へいげい)する超巨大なサメが存在すること。


 そいつは、まるで()()()()()()()()()()()()()()目で俺を見つめる。

 時折、フスンと鼻を鳴らすような動作をすることから、本当にわずかに笑いどころのあるクソ映画でも見ているようだった。


 そいつはしばらく俺を見ていると、おもむろに大口を開け……体当りをぶちかましてきた。

 いや、喰わないのかよ。


 「喰えよっ!」

 「どうしたのよ」


 隣にはアルルカン。服も破れていないし、怪我も無い。

 俺も、傷跡はあるものの怪我は無かった。額のやつ以外は。


 「いや……幻覚かな、サメを見たんだ。お前は何か見なかったのか?」

 「ふーん……ま、()()()()()は見てないわ」

 「そうか」


 シャークウェポンの外を見ると、ゴーレムがぶっ倒れていた。

 蹴っても叩いても反応が無い上、アルルカンから魔力がなくなってることを教えられたので、俺達の勝利で終わったらしい。

 何か釈然としないが、まあいいか。




 ◇




 「赤いレバーを倒したじゃとぉッッッ!?」


 物凄い剣幕だった。

 博士は、ただでさえ凶悪な顔を歪め、俺に詰め寄った。


 「は、はい……」

 「うむぅ……まあ、緊急事態じゃったからのう。わしも責めることはできんよ。お前の判断を信じよう。それはいいが、普段は絶対に使うなよ?」

 「わ、分かりました」


 剣幕は凄かったが、特にお叱りの言葉などは無かった。やはり、赤いレバーは危険らしい。

 そんなやり取りを見ていたアルルカンが、横から疑問を投げかけた。


 「ねぇ、暴走って何が危険なのよ。別に制御できなくもなかったし」


 アルルカンは俺よりも頭がいい。しかし、シャークウェポンのことに全く興味が無いので、操縦をマスターしてからは訓練もしていない。

 なので、シャークウェポンの機能も知らないものが多いのだ。


 「そうじゃな……まずシャークウェポンの暴走とは、AIの勝手な判断じゃ」

 「AIの?」

 「うむ。このAIはサメそのものでな、とにかく暴れようとする。それを強制停止させるのが、赤いレバーじゃ」

 「なんでそんなAI積んでるのよ」

 「それが問題なんじゃよ」


 そう。どうしても、相性というものは存在する。


 「シャークウェポンのボディには、かのアトランティスから産出される、『オリハルコン』が使用されておる!」

 「オリハルコン!? 裏の組織がこぞって欲しがるようなものを、あろうことかロボットに!?」

 「うむ。オリハルコンはアトランティス……つまり、『海』より採れる金属。故に……サメとの相性が非常に良い」

 「……? クジラとかじゃダメだったの?」

 「そこはな、スポンサーの意向でな」

 「ああ……」


 間違いなく、世界サメ連合の仕業だった。

 スーパーロボットの開発にもスポンサーが口出しする時代、世知辛ぇ……


 「お前が制御できたのは、敵を倒したいという意志と、サメAIの凶暴性が合致した結果だろう」

 「なるほど?」

 「ピンチにならん限り、やめておくことじゃ」


 そう言って、博士はコーヒーを一口飲んだ。


 「おお、そうじゃった。虎鮫よ、お前に頼まれた武器が完成したぞ」

 「本当ですか!?」

 「うむ。次の出撃時には出せるよう、準備しておこう」

 「ありがとうございます!」

 「武器って?」

 「次の出撃ん時まで秘密」

 「ふーん……ま、大したものじゃないでしょ」

 「大したものじゃないかどうかは俺が決めることにするよ」

 「無敵かしら……」


 ロンズデーライトゴーレムの危機も去ったので、ひと段落。

 しかし、これからこんな強敵達と戦うのか……気を引き締めていかなければ。




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