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サメ兵器シャークウェポン  作者: アースゴース
第3章 真・異世界決戦編 サメ&地球VS魔道帝国マジック・モンス
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第56話 逆転


 「まずは雲を呼び寄せてやる。シャークトルネード!!!」


 シャークウェポンが大口を開け、竜巻を放つ。

 すると風向きが変わり、空に暗雲が立ち込めた。


 「こんな使い方もあるのねぇ」

 「風のちょっとした応用だ」


 これで太陽光を吸収される心配はない。

 ロンズデーライトゴーレムの方を見ると、アンドロマリウスが上に乗っており、槍で小突いたりしていた。


 「あんまり効果はなさそうだな」


 傷一つついていない。

 しかし、顔辺りを攻撃されると、鬱陶(うっとう)しそうに顔を払いのける動作をしていた。

 恐らく、鬱陶しいなどの感情ではなく、目やセンサーの機能がそこにあるのかもしれない。


 「よーし、ロケットブースター改め、ストロンゲストミサイル……の下に隠されたこの推進機(スラスター)があるからな。今日は空が飛び放題だ」

 「そんなのついてたの? いつの間に」

 「俺はお前と違ってシャークウェポンの研究を惜しまないからな。いつもシャークウェポンに乗ってるんだよ」

 「ちょっと、アンタそれって……アタシが天才だから努力は無い……ってコト!?」

 「嫌味か、貴様ッッッ」


 アルルカンの才能は認めよう。だが、血と殺戮(さつりく)を好む性格破綻者(せいかくはたんしゃ)だ。

 そんな風に言い合いながら、空を飛ぶ。ゴーレムが拳を振るうが、こっちのほうが速いのでかすりもしない。


 「何か拍子抜けね? あのパンチも打ってこないし」

 「そうだなぁ」


 恐ろしい風圧だが、バランスを失うという程でもない。

 あのパンチはコケ脅しの演出だったとでもいうのだろうか。


 「よし、ビーム系の武装……はちょっと怖いので、取りあえずミサイルを試してみよう」

 「アンタにしては賢明な判断ね」


 俺はどこかのレバーを引く。すると、背中のストロンゲストミサイルが発射され、着弾。

 爆炎と無数の破片が飛び散った後には、黒焦げのゴーレムがいた。


 「おっ、効いてるぞ!!」

 「ミサイルは有効みたいね!!」


 光明を見つけた俺達は、とにかくミサイルを撃ちまくった。

 それを見たキズナは、メカトパスに乗って離脱していた。巻き込まれちゃダメだもんな。


 「はは、全身真っ黒だな」

 「あれじゃあ吸収もできなさそうね」


 露骨(ろこつ)に動きも(にぶ)ってきたようだ。

 超魔獣と恐れられているようだが……その中でも弱い部類だったのだろうか。だとしたら、強い奴は……


 「まあいいか。シャークウェポン、出力最大! このまま突っ込んでバラバラにしてやるぜ」

 「ロンズデーライトゴーレムに体当りを放てッ!!!」


 シャークウェポンが光に包まれる。

 その姿はさながらシャインスパークのようで、一段と力強さが(みなぎ)っていた。


 「楽しみね!?」

 「ああ! さあ行こ――」


 俺達の目に飛び込んだのは、黒く変色したゴーレムの頭部などではなく……超高速で迫る、黄金に輝く拳だった。




 ◇




 キズナは、その瞬間を目撃した。

 鈍い動きだったはずのゴーレムが、とてつもない速度でシャークウェポンを迎撃する様を。


 真正面から拳を受けたシャークウェポンは、全身を(ひしゃ)げながら墜落。

 無慈悲に追撃を加えるゴーレムの拳からは、殴打の度に(まばゆ)い閃光が放たれていた。


 「何てこった! シャークウェポンがぺしゃんこに!?」


 あの頑丈なシャークウェポンが、見るも無残な姿になっている。

 辛うじて原型はとどめているものの、戦闘どころか、動かすことすらままならないことは明白だった。


 恐らくは、中の先輩2人(虎鮫とアルルカン)も無事ではない。

 サメになることで驚異の身体能力を手に入れた虎鮫と、元から高水準の強さを持つアルルカン。

 そんな2人でも、あの威力を受け続けては、無事では済まないだろう。


 助けたいが、アンドロマリウスの装備では相性が悪いどころではない。

 全身余すところなく硬いロンズデーライトゴーレムに効く武装が無いのだ。

 ビーム兵器はあるが、吸収されてシャークウェポンと同じ末路をたどるかもしれない。


 「だが、引き離すことくらいはできる!!!」


 キズナの意志に沿って、AI操作のメカトパスが動き出した。

 その8本のメカ・フットが、ゴーレムの頭部に絡みついた。


 「トキシックビーム逆噴射!!!」


 そして、メカトパスの上に乗るアンドロマリウスが、虚空に向かってビームを放つ。

 逆噴射による推力によって、全身が『超メタル・サイバー・マッスル』で作られ、反重力装置まで組み込まれたメカトパスが更なる怪力を得た。

 何とか大破したシャークウェポンからゴーレムを引き離すことに成功したのだ。


 「狙うならこっちにしろってな!!!」


 ターゲットをキズナへと変えたゴーレム。

 黒く変色した場所は、いつしか透き通る黄金に戻り、鈍い動きで剛腕を振り回す。

 そして、残った黒焦げ部分が超エネルギーの衝撃波と化し、町を破壊し尽くした。


 「当たるかってんだ!!!」


 しかし、メカトパスUFO形態の機動力は目を見張るものがある。

 例え上にアンドロマリウスを乗せていたとしても、元々シャークウェポンを乗せることを想定した作りなので、何も問題はない。

 空を縦横無尽に飛び回るメカトパスには、ゆっくりとした動きのゴーレムの攻撃は、一撃たりとも当たらなかった。


 だからこそ、感情の無いはずのゴーレムも、ついにしびれを切らしたのだ。


 「ヤッベあの構えは……!!!」


 その構えは、つい先程、町に巨大なクレーターを作り出したものだった。

 焦げた部分は、恐らくエネルギーを蓄積した場所。そのエネルギーを消費し、再びあの爆発を引き起こそうというのだろう。


 「しくじったな! せめて一泡……お!?」


 いよいよ破壊の光が臨界点に達したその瞬間だった。

 ダイヤモンドよりも硬いその胴体が、()()()()()()()()


 『オオオオォォォォ……』


 ロンズデーライトゴーレムが、初めてうめき声のような、空洞を通る風の音のようなものを発する。

 半分に分かたれた500メートルもの巨体が、地面に倒れ伏す……その前に。まるで逆再生のように修復され、元通りになった。


 「自己修復まですんのか!? それに、あのシャークウェポンは……」


 シャークウェポンだった。だが、キズナの知っているそれではない。


 (ひしゃ)げて歪んだ装甲の隙間からは、極彩色のエネルギーが噴き出ていた。

 右脚は骨組みだけになり、コックピットがあるはずの頭部は吹き抜け状態。

 半分が砕けたとしても、以前にも増して凶暴性を隠しもせず、目につくもの全てを喰らわんとするサメの顔。


 その姿はまさに海の覇者、サメであった。


 「とんでもねぇ力だ……あの金ピカゴーレムよりも!!!」


 キズナは感じ取った。

 この虫の息ともいうべきシャークウェポンが、破壊の限りを尽くしたゴーレムより、はるか高みの次元に存在することを。


 『GHOOOOAAAAAAAA!!!』


 怒り狂うシャークウェポンが、牙を剥く!!!




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