表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サメ兵器シャークウェポン  作者: アースゴース
第3章 真・異世界決戦編 サメ&地球VS魔道帝国マジック・モンス
48/77

第48話 エビ大金星


 『キューイッッッ!!!』

 『ギョオオオオォォォォ!!!』

 「ダオラァァァァンッッッ!!!」


 元ミナミヌマエビであるダオランと、羽の生えたウツボの戦いは熾烈(しれつ)を極めた。


 『ギョオオオオ!!』

 『キュイッ!!! キュイッ!!!』


 しかし、確かに熾烈なのだが、それはウツボの方だけのように見えた。


 ダオランは荒々しく噛みつくウツボを見切り、不必要には近づかない。それどころか、避けた隙に、ハサミで目などの弱点を攻撃していた。

 また、避けられない攻撃に対しては、自分を包み込む(から)を上手く使用し、ダメージを最小限に抑えているようだ。


 ……こいつは本当にミナミヌマエビなのか?

 妙に戦い慣れてるというか、戦い方が堅実すぎるというか。


 そうやって戦いを見ていると、アンドロマリウスがやってきた。

 今日は、シャークウェポンはお休みだ。サウナのダメージが思ったよりも深かったらしい。

 これがサウナ・ショックか。


 『先輩!!! あのエビは何だ!?』

 「あいつは俺の飼ってたエビが巨大化した奴だ!! 殺さないでくれ!!!」

 『よし分かったぜ!!!』


 キズナは、威勢よくウツボに立ち向かっていった。

 ダオランとウツボ、どちらもアンドロマリウスよりはるかに大きいのだが、それくらいの差なら簡単に(くつがえ)すのがキズナだ。


 一飛びでウツボの上に着地したキズナは、毒蛇の槍『フェルドランス』にて、その体表面を何度も突き刺した。


 『ギョアアアアァァァァ!?』

 『おおっと!』

 『キューイ!!!』

 『サンキュー!!』


 痛みで暴れるウツボを、ダオランが抑える。

 ――ここでとてつもなくいやらしいのが、フェルドランスにからにじみ出る()である。


 この『毒』は、ゾウでも一滴足らずで死に至らしめる、凶悪な致死毒である。

 だが、身体が大きい魔怪獣には、全身に毒が回らず決定打にならないことが多い。


 なので、この毒と合わせて、耐えがたい激痛を与える毒を送り込む。

 そうすることで、魔怪獣が痛みで暴れるほどに、血液とともに毒が回り……死に至る。

 なお、外気に触れるとすぐに無毒化するので、事後処理は安全である。


 つまり、何がいいたいのかというと。

 致死毒を注入され、ダオランという盾を貫けないウツボは、詰みなのだ。


 『ギ、ギョオオオオ……』


 ウツボは力を失い、地面に落ちた。

 しばらくはうねっていたのだが、やがて動かなくなった。


 「うおおおお!!! ダオラァァァァン!!! キズナァァァァ!!!」

 『キュゥゥゥゥイ!!!』

 『うおおおおおおおおッッッ!!!』 


 俺は息と声が続く限り、1人と1匹を(たた)えた。

 それに合わせるかのように、雄叫(おたけ)びと勝鬨(かちどき)が上がったのだった。




 ◇




 「これはこれは……興味深いですねぇ」

 「うむ。まさかこの放射線がここまでの効果とは……」


 キズナとともにウツボを仕留めたダオランは、何と、元のサイズに戻った。

 取りあえず仮のボトルに入れていると、そこに本間博士と牧島(まきしま)嶺緒(ねお)がやってきた。


 「サメ先輩、エビに急速回復装置を使ったというのは本当ですか?」

 「ああ……腕が取れてたんだ。もう5年以上飼ってる奴なんだ、つい……」

 「5年? ミナミヌマエビが? ……まあいい。虎鮫よ、しばらくはそのエビ――」

 「ダオランです」

 「ダオランは預からせてもらうが、良いか?」

 「いいですけど……本間博士に限ってないとは思いますが、殺したりしたら許しませんよ」

 「安心せい。細心の注意は払う」


 ダオランをボトルごと手渡した。

 別に俺も、本間博士や嶺緒がヘマをするとは思ってない。


 色々と便宜(べんぎ)を図ってもらってるし、危険人物であること以外はいい人だ。

 俺が大怪我を負うことに対して、俺の家族へ直接出向いて説明してくれたこともある。

 シャークウェポンのパイロットとしての訓練だって、強制されないどころか、そもそも無い。本当に自由だ。


 そんな博士だからこそ、俺は信頼している。

 まあ、魔怪獣であるバトルマスキュラーや、液体金属の怪獣でさえ生きているんだ。心配はないだろう。


 「おお、そうじゃった。シャークウェポンの修理が完了したぞ」

 「本当ですか!?」

 「ああ、サウナもある」

 「え、マジでつけてくれたんですか?」

 「おまけみたいなものじゃよ。コックピットは無駄に広いでな」


 無駄に広いからってサウナをつけていいわけではない。

 これが普通のロボットだと、電気系統が一発でアウトだろう。しかし、シャークウェポンは何から何まで全部が防水。

 理論上はフロントガラスを開けっ放しにしながら海の中で戦える。というか、俺ならできる。サメだから。


 「私は急速回復装置を量産しましょうか。それとも、ワンオフで大きいのを作りましょうか」

 「人員は回す、どっちもじゃ」

 「フフフ……楽しみですねぇ」


 研究者同士、気が合うようだ。

 そんな博士達と別れ、俺は家に帰った。




 【ダオラン】体型:エビ 身長:50メートル 分類:節足動物

 ・虎鮫の飼っているミナミヌマエビ。

 急速回復装置から発生する特殊な放射線を浴び、巨大化した。小さくなったり大きくなったりできるようになった。

 これといった特殊能力は無いが、とにかくタフで力強い。また、頭もよく堅実な戦いをする。

 元がミナミヌマエビとは思えない、どのような状況でも対応できるオールラウンダー。

 『お、俺のアクアリウムボトルが……』

 『……ドンマイ』


 【スカイ・ギャング】体型:魚・飛行 身長:60メートル 分類:魚類

 ・海のギャングであるウツボが空に進出した存在。

 竜種であるワームの血を、わずかであるが引いているとされ、戦闘力自体は脅威。

 一部を除いた甲殻類系魔獣の天敵で、よく水辺に現れては捕食している姿が目撃されている。

 『獲ったどー!!』

 『てててんてーんてんてん』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ