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サメ兵器シャークウェポン  作者: アースゴース
第3章 真・異世界決戦編 サメ&地球VS魔道帝国マジック・モンス
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第44話 戦士


 向こうの武器はハルバードと巨大ハンマー。城だって一撃で崩せそうだ。

 だが、こっちにも武器がある。新武器が!


 「これが新武器のヘリコプリオン!!!」


 巨大回転(のこぎり)ヘリコプリオン。

 古代のサメの歯を模したそれは、強固な魔怪獣の皮膚であろうと食い破る。

 ちなみに、見た目はブ〇ボに出てきたやつを想像するといい。


 「へへへ……楽しみだ、これで獲物を引き裂くってのは」

 「アンタ、急に何かキャラ違くない? どうしたのよ」

 「……多分、サメが出てるんじゃないか?」

 「ふーん……ま、ほどほどにね」

 「ほどほど……?」


 サメにほどほどもクソもあるのだろうか。

 まあそんなことはいいとして……今はとにかくダルガングを殺すことだ!


 「このまま素首切り落としてやる!!!」

 「ハイヨー! バトルマスキュラー!!!」

 『ヒヒィィィィン!!!』


 力強い蹄鉄(ていてつ)の音を響かせ、バトルマスキュラーがダルガングへと迫る。

 向こうからも走ってきているので、俺達の接触は早かった。


 ヘリコプリオンの回転する刃が、ダルガングの首を狙う。

 しかし、それはハルバードによって弾かれた。


 『ぬぅん!!』

 「うおっ危ねっ」


 さらに、空いた方のハンマーが振るわれる。

 バト(きん)(バトルマスキュラーの愛称)がバックステップで回避しなければ当たっていただろう。


 「まだまだぁ!!」

 『甘いわ!!』


 ギャリギャリと回転する刃で胴体を狙う。

 しかし、隕鉄号が静かに動くことで避けられた。


 「ならこれはどう!?」


 アルルカンが、左手でショットガンを放った。

 不意打ちじみたそれは、ダルガングの顔面を的確に狙ったものだった。


 『甘いと言っておろうが!!!』

 「うっそ……直撃したのに!?」


 超大口径の銃身から放たれた弾丸は、肌によって受け止められた。

 どうやら、巨人族ともなれば皮膚も硬いらしい。デカいショットガンを至近距離から受けても、ほとんど無傷で済む程度には。


 『隙あり!!!』

 「どわッッッ!?」

 「うっ!?」


 ハンマーの一撃を横っ腹に受ける。

 前に戦った戦鎚のメイガス・ナイトとは、まるで比べ物にならない衝撃がコックピットを襲った。

 危うく落馬しかけたが、それはバト筋がうまくフォローしてくれた。


 「クソッ! 何て馬鹿力だ。ボディが潰れちまった」

 「一旦仕切り直すわよ!」


 アルルカンがバト筋を操り、距離を取る。


 「ミサイルで空から爆撃するか?」

 「でも、今背中についてるのはロケットブースターじゃないから直線にしか飛べないわよ?」

 「そうだったな……じゃあミサイルで不意打ちか?」

 「鍔迫(つばぜ)り合いに持ち込めたら、いけるかもしれない」

 「やるか」

 「やりましょ」


 そういうことになった。

 勿論スピーカーは切ってあるので、今の会話はダルガングに聞かれていない。


 「ハイヨー!!! バトルマスキュラー!!!」

 『ヒヒィィィィ!!!』

 「おおぉぉ……」

 『ぬぅ!』


 ヘリコプリオンでハルバードを押さえつけ、ショットガンでハンマーを狙う。

 そうして、一瞬だけ隙ができた。


 「ジョーズミサイル発射ァ!!! 死ねぇぇぇぇ!!!」


 鍔迫り合いの最中、いきなりミサイルが発射された。

 この卑怯とも取れる不意打ちを、ダルガングは全て受けた。


 「よし、全弾命中! 多分死んでねぇけど……」

 「はぁ? それマジで言ってる?」


 賭けてもいいが、まだ奴は生きている。所謂(いわゆる)『やったか!?』でやってないアレである。

 いや、それを抜きにしたとして、ショットガンを至近距離で受けも効かなかったのだ。大怪我をしていても、生きている可能性は非常に高い。


 「考えてもみろ。流星群を粉砕した奴が、隕石を一撃も食らわなかったと思うか?」

 「それは……畳みかけるわよ!!!」

 「おう!!!」


 俺は更に、指先から怪光線を放った。

 だがしかし……


 『トァァッッッ!!!』

 『ギィィィィンッッッ!!!』

 「あぁ!? 無傷だと!?」


 煙が晴れる前に、ダルガングと隕鉄号が飛び出した。

 そして、一気に武器を振り下ろしてきたのだ。


 「ヤバ――」


 俺は咄嗟(とっさ)にヘリコプリオンを盾にしたのだが……


 ゴワシャッッッ!!!


 「あ……!?」


 ヘリコプリオンの柄がへし折れ、肩のパーツが破壊されてしまった。

 もう使い物にならない……いや、()()()()使()()()()()()が、それは最後まで取っておく。


 「チィッ! こうなったら!」

 「どうするのよ!?」

 「こうするんだ!」


 バトルマスキュラーから、ダルガングの上にジャンプする。

 何も、無策でそんなことをしたわけではない。


 「ジョーズパンジャン!!!」

 『ぬううおお!?』


 シャークウェポンが縦方向に回転し、背ビレや尾ビレがダルガングを切りつけた。

 とにかく硬いシャークウェポンならば、全身を武器にできるのだ。


 「バトルマスキュラー!!! 縛れ!!!」

 『ヒヒィィィィン!!!』


 バト筋がダルガングと隕鉄号の周りを駆ける。

 すると、バト筋から魔法の鎖が現れ、その全身縛りつけた。


 『ぬぅ……何のこれしき!!!』

 『ギィィィィ!!!』

 「バトルマスキュラー!!! そのまま耐えろ!!!」

 『ブルルルル!!!』


 抵抗するダルガングと隕鉄号。

 しかし、思った以上にバト筋の力が強かったようで、抜け出せないようだ。


 ならば好都合!

 俺は、ロサンゼルス戦でカマキリに切断されたロケットブースターの代わりである、『ストロンゲストミサイル』によって、ダルガング達の真上に飛んだ。


 「なるほど、これはいいアイデアね!」

 「だろぉ?」


 シャークウェポンを、サメ形態へと変形させる。

 そのまま、ダルガング達へと大口を開け……ミサイルのジェットを噴かしながら落下した。


 「死ねェェェェ!!!」

 『うわおおおお!!!』


 だが、ダルガング達は直前に鎖を引きちぎり、落下するシャークウェポンを迎撃した。

 武器と牙がぶつかり合い、激しい火花が飛び散る。


 『ぬおおおお!!!』

 「バトルマスキュラー!!! ヘリコプリオンをこっちに!!!」

 『ブルル!!!』


 バト筋が念力か何かでヘリコプリオンの刃を浮かし、こちらへ投げてきた。その直後に、ダルガングが俺を弾く。

 俺は空中に投げ出された瞬間、機体を変形させ、人型に戻った。


 「ヘリコプリオンはなぁ……こういう使い方ができんだよ!!!」


 ヘリコプリオンをキャッチし、回転鋸部分をサメの口にはめる。

 そうすると……ヘリコプリオンがとてつもない速さで発射された!


 『何ぃ!?』


 ダルガングは、驚きながらも対応する。しかし、隕鉄号共々、大きな隙ができてしまったのだ。

 それは、ミサイルで一気に接近した俺達にとって、絶好のチャンスだった。


 「決めるぞ!」

 「ええ!」

 『ぬおおおお!?』

 『ギィィィィ!?』


 俺達は、シャークウェポンの武装『フカヒレザー』によって、ダルガングと隕鉄号の首を狙った。


 『させんぞぉ!!!』

 「そう来ると思ってたわ!!!」


 勿論、ダルガングは武器で防いできた。

 だが、俺達はそれこそを狙っていたのだ。


 「ロケットパァンチ!!!」

 『何ィ!? だが――』


 奴の異名は『流星群』。ならば、真っ直ぐ飛んでくる物体を迎撃するのには慣れているだろう。

 ならば、全部滅茶苦茶にしてやればいい!


 「シャァァァァクトルネェェェェドッッッ!!!」

 『うおおおおぉぉぉぉ!?』

 『ギィィィィンッッッ!?』


 サメの口から放たれた竜巻が、戦場をかき回す。

 反撃のチャンスなど与えない。このまま押し切ってやる。


 『何のこれしきぃ――』

 「竜巻が破られた!!! けど……」

 「――まだ終わりじゃないわ!!!」


 竜巻が、武器を大きく振るったダルガングによってかき消された。


 「死ねぇ!!!」


 俺は飛んできた()()を腕にはめ、そのまま隕鉄号の首を狙う。


 『隕鉄号!!! そうはさせん――』

 「そう来ると思ったぞ!!!」

 『何――ガハッ!?』

 『ギィィィィ――!?』


 隕鉄号への攻撃を阻止しようとしたダルガングの胸から、灰色の刃が生えてきた。

 それは、背後にいたバトルマスキュラーが、シャークウェポンの左手を念力で浮かし、『フカヒレザー』によって貫いたのだった。


 さらにダメ押しとして、複数の魔法と、バトルマスキュラーが魔法によって頭部に生やした角が、ダルガングの身体を(えぐ)った。


 その直後に、隕鉄号の首がフカヒレザーによって切り裂かれ、魔怪獣が基準でも大量の血が噴き出した。

 喉の肉ごとごっそりと裂いたので、もう助からないだろう。


 「おお!!!」

 「やったわね!!!」


 そういいつつ、油断なく構えておく。

 すると、息も絶え絶えのダルガングがこちらを見て、満足気な笑みを浮かべた。


 『見事だ!!! 戦士よ!!!』

 『ギィィィィン……』


 ダルガングと隕鉄号は、立ったまま沈黙した。

 彼らが騙し討ちをするとも思えない。完全に死んだのだろう。


 「……恐ろしい強敵だった。シャークウェポンがボコボコにへこんでる」

 「そうね……」


 勝利の余韻(よいん)にひたりつつ、暴走を待つ。

 ……が、一向に暴走は来なかった。


 「あれ? おかしいな」

 「暴走しないの? どっかイカれたんじゃないの?」

 「ならいいが……!?」

 「何……この気配は!?」


 鈍感な俺でも分かるほどに、強大な気配を感じ取った。

 その気配は、『影でできた巨大な右手』という姿で現れた。


 「手が、ダルガングと隕鉄号を掴んで……」

 「消えた……?」


 その手は、ダルガング達の死体を包み込むように掴むと、跡形もなく消え去った。


 「な、何だったんだ」

 「分からないわ。でも、嫌な予感がする」


 強敵に打ち勝ったというのに、白けてしまった気分だ。

 暴走の手ごたえを感じたのでさっさと止め、迎えを待った……




 ◇




 「ダルガングの件、感謝する」

 「いえ……」


 あの後、ダルガングを仕留めたことを、ヴィクセントに感謝された。

 そのついでに、現れた巨大な手が何だったのかを聞いた。

 すると、予想外の答えが返って来た。


 「あの手は。あれは……マジック・モンスの魔王、その右腕だ」

 「魔王の!?」

 「ああ……気を引き締めろ、決戦の時は近いだろう。もしかしたら、ダルガングを超える強敵が現れるかもしれん」


 ダルガング以上と聞いて辟易(へきえき)したが、そうも言ってられない。備えがいる。

 その後俺は、本間博士に合いに行き、シャークウェポンの強化について話し合った……




 【『流星群の』ダルガング・ボラックレス】体型:人型 身長:80メートル 分類:巨人族

 ・巨人族の中でも一際巨大で、英雄と謳われる存在。

 生まれつき魔力が少ないながらも、魔王の流星群を全て打ち砕いた。

 ハルバードは『竜断ち』、ハンマーは『星屑』。一振りで千の魔獣を屠り、万の軍勢を薙ぎ払うとされる。

 ――魔法を使えないダルガングは、一族の中では落ちこぼれだった。しかし、ある日、転機か訪れる。隕鉄号との出会いだ。彼らは幾多もの戦場を駆け抜け、ついには魔王と邂逅する。それが、彼らの伝説の始まりだった。

 『伝説が……死んだ?』

 『……これは、どうなるんだ』


 【隕鉄号】体型:四足歩行 身長:90メートル 分類:哺乳類

 ・ダルガングの駆る、ジャイアント・ウォーホース。

 色は金属光沢のある灰と茶が混じったような色で、顔にまるで宇宙(星空)のような色の流星がある。

 身体は巨大かつ非常に頑強で、他の巨戦争馬と比較しても筋肉量などがまるで違う。魔力はまるでないが、身体の頑丈さと持久力は群を抜いていた。

 ――かつてダルガングは、流れ星が落ちてきた場所でこの馬と出会ったという。故に、隕鉄号。彼らは生涯の友となった。友とならば、いつかは空の星にも届くと信じて。

 『今では定かではないが、ジャイアント・ウォーホースではなかったのかもしれない』

 『でも、ダルガング様の友であることは変わりないっスよね』



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