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誰かの温もりを探して 〜現代文学・短編集〜  作者: 忍野木さりや


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23/33

曇り空の下で


 公営団地の人が減った。

 黄ばんだカーテンの隙間からは小さな広場が見えた。そっと見下ろすと、錆びた遊具が風にキコキコと揺られていた。

 玄関にはゴミ袋の山があった。コバエが飛び回る。破れた袋には虫が群がる。

 三百十三号室の小太りの老人が、玄関で膝を抱えていた。こちらをギョロリと見下ろすと、しっしと追い払うような仕草をする。

 赤い服を着た少女がエレベーターを降りた。歯の無いお婆ちゃんは花壇に何かを埋めていた。

 カマキリが潰れていた。お腹は無事なようで、まるまると柔らかなお腹を頂く。団地の奥の工場跡からは、こちらを睨む複数の目があった。慌てて団地に引き返す。広場に向かうと、ペットボトルが地面に並べてあった。曇り空の下で、濁った表面が陰気な日を反射した。

 小太りの老人は消えていた。

 部屋に戻ると、ゴミ袋の山を越えて寝室に向かう。

 今日もご飯は無い。

 ベットの上でお父さんが横になっていた。ハエムシが飛んでいる。

 床に溜まった汁を踏まないようにお父さんに近づくと、薄くなった頭皮に身体を擦り付けた。

 早く起きて。

 日が沈んでいった。

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