春眠 ー君の暁までー
緑の草むらをベッドに
君は小さく丸まって眠っている
花は咲き乱れて蝶が舞い、生き物たちに見守られて、大切に愛されて
君はただ眠っている
傷を癒している
エネルギーをもらっている
病を治している
暗く深い森の中、人は誰も近づけないその奥に
暖かい春の光が降り注ぐ草のベッドで
君は小さく丸まって眠っている
優しい夢を見ているのか、微笑み、小さく口を尖らせて、歌うように
君はただ眠っている
力をもらっている
成長している
心を育てている
森の外は厳しい冬、けれど君のまわりのそこだけは
春、春、春、
ライラックが香り、ミモザの雨が降り、星々を散りばめたように花が咲く
白い鹿がやってくる、兎が寄り添って、栗鼠が走る
春の暖かい風に蝶が舞い、ぬるむ水のせせらぎが小声で歌うと
森は祝福の夢を贈る
世界は冬
君の眠る森の広場、それ以外は全て冬
君は眠る、森の奥で、君の小さな春の世界で
1人小さく丸まって
いつか来る春の日まで
いつか世界に訪れる春の日まで
君の暁まで