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20話

 わたしの指先に摘ままれた透き通った美しい石。

 それは紛れもない〝ダイヤモンド〟でした。

 わたしの魔法によって人骨から作り出した〝人工ダイヤモンド〟または〝合成ダイヤモンド〟と呼ばれる代物です。

 高熱と高圧力で骨から炭素を抽出してなんちゃらかんちゃらって感じで、ちょちょいと作れちゃったりします。これ以上は本当に企業秘密。


「魂……? 父さんと母さんの?」

「はい。さすがに21gとはいきませんけどね」


 21gのダイヤモンドではピンと来ない人が多いかもしれませんが、100カラット以上のダイヤモンドと言えば何となく伝わるでしょうか。値段にしたら30億は下らないでしょう。

 宝石によく使われる「カラット」とは重さの単位で、1カラット=0.2gなんです。これ、テストに出ますよ。なんちゃって。


「これをくれるんですか?」

「30万ほどでお譲りしましょう」


 手を伸ばす息子さんからダイヤモンドを遠ざけてニッコリと笑います。

 もちろん有料ですとも。

 え? なんですか? こんな高価なものをタダで譲るわけないじゃないですかヤダなー。こっちだって命かけて商売やっているので、子どもが相手でも容赦はしません。

 全ての者に平等に。わたしの信条です。


「払えないのならば、次の街で質屋にでも売りましょう」


 それと(あわ)せて捕らえておいた魔教徒を差し出せば、しばらくはお金に困ることは無いでしょう。


「どうしますか?」


 息子さんの目を見つめて、問いかけます。


「我々が支払いましょう」

「おや」


 そこへ現れたのは、この村の村長さんでしょうか。貫禄のある老人さんで、見るからに〝村長〟って感じがします。


「よろしいですかな?」

「必要な金額さえ集まれば、わたしはそれでも構いませんよ」


 頷きながらわたしがそう言うと、集まってきた村人さんたちが「俺も」「私も」と、どんどん名乗りを上げ始めました。

 あのご両親は、この村で随分と人望があったようです。羨ましいですね。

 息子さんはとても良い環境で育ったようです。


「でも30万なんて大金──!」

「君のご両親にはここの誰もが世話になった。これは我々の総意だ。そして貴女にもとてもお世話になった。そのお礼も含めれば30万なんて安いものだ」


 息子さんの言葉を遮って、村長さんが言います。まあ確かに、魔教徒の件も含めれば30万は安かったですね。今からでも値段を引き上げちゃいましょうか……。

 ──いえ、やめておきましょう。商売は何事も信用と心象が大切ですから。

 わたしだって、空気くらい読めるんですよ? なんと言っても超絶優秀な美少女ですから。どや。

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