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10話

 そろそろわたしがどんな人間なのかわかってきた頃合いでしょう。

 魔教徒の人たちは馬鹿みたいに飛びかかってくるようなことはせず、かといって逃げるようなこともしません。わたしをぐるりと取り囲んだのです。モテる女は辛いですね。

 その中から一人が一歩前に出てきました。


「お前『魔法使い』か! この裏切り者め!」


 唾を飛ばして罵倒してきました。汚い。


「裏切り者呼ばわりされる(いわ)れはないのですが」


 それを言うなら魔教徒こそが裏切り者でしょう。害悪でしかない悪魔に心酔する人類の裏切り者。


「その体はすでに悪魔様のものだ! すぐにお返しすれば手荒な真似はしない」

「わたしの体は元々わたしのものなのですけど。悪魔から取り返したに過ぎません」


 これでも生き返るの(﹅﹅﹅﹅﹅)大変だったんですよ? 中々信じてもらえないのがちょっぴり悔しかったり。

 魔教徒は手を組んで祈りを捧げるような姿勢になりました。


「悪魔様、どうか見ていてください。すぐに取り返してみせます」

「あ、聞いてませんね。別にいいですけど」


 魔教徒は悪魔のことしか眼中になくて、わたしの言葉など耳に入ってこないようです。魔教徒(こいつら)相手に問答は無用でしたね。反省です。

 悪魔にお祈りは済んで覚悟でも決まったのか、先程とは雰囲気が変わりました。


「お前たち、一斉にかかるぞ! 見たところこいつの魔法は複数人には使えない!」

「一人の乙女に対して大勢で来るのですか? 野蛮ですね。はぁ」


 わたしは肩を竦めます。やれやれです。

 しかしご明察でもありました。話は聞かないくせにしっかり見てるし頭も回るのは、悪魔より厄介な点と言えるでしょう。

 ため息をついていると、魔教徒は本当に一斉に襲い掛かってきました。

 このままでは多勢に無勢というやつになってしまうので、わたしは包囲を突破するために一人に狙いを定めて地面を足裏で蹴りました。

 一気に初速を上げて懐に潜り込み、鼻っ面に拳を叩き込みます。


「ぶばっ?!」

「面白い声どうもです」


 自分の手もちょっぴり痛いですけど、不意打ちを食らった魔教徒は軽々と吹き飛ばされてしまいました。

 わたし、そんなに力持ちじゃないんですけどね。

 腕力は無くても体全体を上手く使えば大人の男性を殴り飛ばすくらいはやってやれないこともないです。

 ジンジンする右手を振りながら、わたしは唖然としている魔教徒の人たちに言ってやりました。




「『剣折りたくば腕六本』って知ってます?」




 素手が武器持ちに勝つには三倍の強さが必要という意味です。

 そしてわたしは三倍以上強いです。

 いやー、一度言ってみたかったんですよね、これ!

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